与党の過半数割れという結果に終わった衆議院総選挙。その後の各党の首相指名選挙への対応など、国内政局が揺れ動く中、2024年11月5日にはアメリカ大統領選挙の投開票が控えている。直近の世論調査ではトランプ元大統領の支持率上昇が伝えられているが、決定打には至っていないようだ。
そんな日本の政治・経済にも大きな影響を及ぼすアメリカ大統領選挙を核とした11月の経済・金融イベントに関するリポートが、三井住友DSアセットマネジメント シニアリサーチストラテジスト・相馬詩絵(そうま ふみえ)氏から届いているので概要をお伝えする。
今後のインフレや景気動向を分析するには米国の大統領選挙が最大の注目材料
米国では、11月5日に大統領選挙、議会選挙が行なわれる。共和党候補のトランプ前大統領は、輸入品への関税の引き上げ、移民政策の厳格化といった保護主義的な政策を掲げている一方、民主党候補のハリス副大統領は食料品価格の調整や住宅購入支援政策など、低中所得層へアピールする姿勢を掲げている。
10月以降、トランプ前大統領が優勢であるという見方も強まったが、依然不透明な状況が続いている。
また、実際の政策運営にあたってはいわゆる「ねじれ議会」が生じるかも注目されるため、今後のインフレや景気動向を見る上では、議会選挙の結果も重要と見られる。
11月6~7日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は10月14日の講演で「利下げペースについて一段と慎重になる必要がある」と発言。緩やかな利下げ観測が高まる中で、利下げ幅に加え、パウエル議長の記者会見に注目が集まる。
日本では、15日に7-9月期の実質GDPが公表となる。所得の伸びを受けた個人消費の堅調さなどを背景として、4-6月期(前期比年率+2.9%)に続きプラス成長が見込まれるが、災害等の下押し要因も懸念される。
日銀による利上げのタイミングを見通す上でも、日本経済の回復度合いが注目されている。
構成/清水眞希