近年、若年層のトレンドとして見逃せないのが「韓国コスメ」。そのトレンドは一過性ではなく数年に渡って継続している。現在、韓国の複数のメーカーが日本のマーケットに向けた限定品も新規開発しており、日本の小売店では「韓国コスメの新商品」が目白押しだ。
遊び心あふれるトレンド商品を取り扱う「ロフト」も韓国コスメに力を入れる小売の一つ。2024年3~8月の韓国コスメの売上は前年同月比約180%で、健康雑貨の領域内におけるシェアは、韓国コスメだけで約23%も占めている。売上を伸ばした理由と最新韓国コスメの注目トレンドを、ロフトの健康雑貨部でバイヤーを務める工藤恭郁さんに伺った。
鮮度が大切。トレンド感のある韓国コスメのみを店頭に配置
株式会社ロフト 商品本部 健康雑貨部 バイヤーの工藤恭郁さん。
「時の器」をコンセプトに、その時代のトレンドを表すような時間消費型の売場創りを目指す「ロフト」。2024年11月15日(金)まで韓国コスメだけを集めた「ロフト Kコスメフェスティバル 2024AW」を開催し、全621種類を展開している。
Kコスメフェスティバルは今年の春にも開催しているが、今回の参加ブランド数は122ブランドで、前回よりも24ブランド増加。そのうち37ブランドが今回初参加となっており、前回とは違った「目新しさ」を消費者に届けている。
工藤さん「ロフト Kコスメフェスティバル 2024AWに参加しているブランドは弊社で取り扱っている韓国コスメブランドの一部で、ロフト全体としてはさらに多くの韓国コスメブランドを展開しており、力を注いでいます。ラインナップはただ集めているだけではなく、鮮度の高いものを並べているのが弊社の特徴です。世間的には売れている商品でも、弊社で鮮度が保てないと判断した商品は取り扱いを止めることもあります」
ポップベリー「baren フットケアセット」1,980円(税込)
時間消費型の売場創りが功を奏しているという点とともに、ロフトで韓国コスメの売上が伸びているもう一つの理由が、韓国コスメメーカーのマーケティング戦略の変化。日本へと目を向ける韓国メーカーが以前よりも増加し、労力をかけてでも日本での販売を重要視しているのだ。
例えばエッセンスとヤスリがセットになったポップベリー「baren フットケアセット」は韓国のコスメショップ「OLIVEYOUNG」で何年にも渡って人気を博しているかかとケアアイテムだが、エッセンスに配合する尿素の量を日本の法律に合わせて調整し、今年日本に上陸。工藤さんも韓国から来日した韓国コスメメーカーの担当者との商談が以前と比べて大幅に増加し、その勢いを感じていると言う。
ANUA「アゼライン酸15 インテンスカーミングセラム」30mL 2,581円(税込)※11月上旬入荷予定
近年、韓国コスメブランドの中でも人気が高まっている「ANUA」は、韓国では販売しない「日本限定」の商品を新しく開発し、発売。ANUA「アゼライン酸15 インテンスカーミングセラム」は「日本のみでしか販売しない」という契約の元、開発した商品だ。
ANUAは韓国向けと日本向けの開発チームがそれぞれ分かれており、2023年頃より特に日本に向けたマーケティングを強化している、とANUA担当者は話す。
バイヤーが韓国で見つけたブランドも。ロフトが注力する「韓国フレグランス」
COSMIC MANSION「ハンドクリーム」40mL 各1,980円(税込)など。
カテゴリー別に見ると、特にロフトが今トレンド感ある韓国コスメとして注力しているのが「フレグランス」。例えば「COSMIC MANSION」はロフトバイヤーが韓国で見つけ、「どうしてもロフトで販売したい」という想いのもと仕入れに繋がったブランドだ。COSMIC MANSIONはファッションブランド発で、韓国の直営店は3店舗のみの展開と、ほかの日本に上陸しているブランドに比べると小規模。日本の若年層が渡韓して買いたいようなおしゃれなブランドが、ロフトで買えるのは魅力だろう。
TISLO「Perfume Stick」4g 各3,850円(税込)など。
韓国のフレグランスは形状や香りが特徴的。COSMIC MANSIONとともにロフト Kコスメフェスティバル 2024AWをきっかけにロフトで販売をはじめたTISLOの「Perfume Stick」は、まるでリップスティックのような形状をした練り香水だ。
手が汚れることもなくサッと良い香りをまとうことができ、TISLOの担当者によると男性にはウッディ系の「Cedarwood and Quiet Moment」が人気を集めていると言う。
Chi「ハンドクリーム」50mL 各1,430円(税込)など。
「Chi」は韓国各地の特定の空間から着想を得て、香りを通してその空間に行ったかのような体験ができるユニークなフレグランスブランド。「Sachal」はサンダルウッド、タバコ、インセンスが調和し、お香のような香りで「お寺」を彷彿とさせる。
ほかにも「よもぎ」や「水墨」といった香りのハンドクリームとオードパフュームを展開しており、秋冬のギフト需要としても人気が高まりそうだ。