各サイズの履ける期間、ブランドやモデル別の相性度もレコメンド!
3D計測なので、立体的なサイズが表示されるのは予想どおりだったが、驚いたのはサイズレコメンドとして、子どもの足の成長速度を考慮し、計測した足に対してシューズのおすすめサイズと履ける期間まで表示され、さらにもうひとつ上のサイズの履ける期間までも表示されること。これは2024年6月末時点で計測者数が270万人を超えたZOZOMATで得た10万件以上の子どもの足の計測データに基づき、AIが予測しているという。
子どもの足の成長速度を考慮した各サイズのシューズを履ける期間を表示
また靴は、ブランドやモデルによってサイズにばらつきがあるが、子どもの足型との相性度も数字で表示される。「このサイズレコメンドには、独自に収集したシューズの履き心地に関するデータ、ZOZOTOWNに登録されているシューズのサイズ情報等を活用した、ZOZO独自のAIを使用しています」(藤井氏)
藤井氏によると、子どもでもZOZOMATで足のサイズを計測することは可能だが、対応シューズが展開する各サイズから相性度の高いサイズをおすすめするサイズレコメンドが対応していなかったという。
「15歳以下のお子様ですと足の大きさも日々成長していくので、計測時点の足に対してサイズをレコメンドしても、その靴を買いに来たとき(サイトを見た時)には相性のよいサイズが変わってしまっていることが多々あります。その大きくなるスピードを加味したレコメンドができるサービスを提供したかったですが、当時はまだAIも現在のように一般化していませんでしたので、それができませんでした」(藤井氏)
キッズシューズをECで購入する際のサイズ選びの迷いや、小さい子どもはサイズが合っていないことに気づいても、それを自分でうまく伝えられないことが多いので、親がサイズアウトに気付きにくいなどの課題を解決したいという思いに加え、より幅広い層のユーザーにZOZOMATを利用してもらい、ECで迷わず靴を購入してほしいという思いからZOZOMAT for Kidsの開発をすすめたという。
成長速度の違いも、AIが予測
だがここで、素朴な疑問が。AIが多くの蓄積されたデータから相性度の高いサイズを予測するとはいえ、子どもの成長は個人差があるので、平均値だけでフィットするとは思えないが…?
「1回だけの計測ですと、確かに統計の平均値からしか予測することができないのですが、2回3回と計測を重ねていくと、計測したお子さんはどういう速度で成長しているかをAIが学習できるので、計測回数を多くしていただければしていただくほど、その個人に合わせた成長予測の精度が上がるようになっています。そのためZOZOMAT for Kidsでは、6ヶ月に1回計測を推奨するような仕組みにしております」(藤井氏)
もうひとつ、素朴な疑問として浮かんだのは、このマットを使ってサイズや、シューズとの相性度がわかれば、他のECサイトやリアル店舗でも購入可能だということ。それでは開発費を使って「ZOZOMAT for Kids」を開発したり、マットを無料提供したりするだけ損な気がするが…?
「この計測データはZOZOTOWN以外でのご購入にも役立ちますが、品揃えが多く幅広い商品から選べるなどファッションECとしての強みがございますので、そこはあまり心配していません。現在ZOZOMAT for Kidsはスニーカー、サンダル、スリッポン、レインシューズなどの幅広いカテゴリーから100型以上に在対応しており、今後順次対応型数は増えていきます。約8万点のキッズ向けシューズを取り扱うZOZOTOWNならではのアイテム数と、当社の強みであるファッションテックを活かした計測テクノロジーの掛け合わせにより、『最もシューズが買いやすいEC』を目指します」(藤井氏)
ちなみにZOZOMAT for Kidsの足型の“計測”に対象年齢はないので、マットにじっと立っていられ、足のサイズが25cm以下であれば何歳でも計測は可能とのこと(ただし、サイズレコメンドは計測時に登録した生年月日に基づく表示となる)。
筆者の圧迫面接のような質問にも快く答えてくれたZOZO 新事業創造本部 計測サービス企画部 ディレクターの藤井裕樹氏
取材・文/桑原恵美子
取材協力/株式会社ZOZO