ご当地メニューの展開は、マクドナルドの日本列島を3つのエリアに分けたものから、スターバックスの47都道府県ごとのフラペチーノまで全国に店舗をチェーン展開する企業でしばしば実施されている。
これは新規ファンの獲得というよりも、すでに顧客になっている人に日本各地の味をそのブランドのテイストで提供することで新たな体験を提供したり、少し離れている人にトピックを提供することで呼び戻す意味合いのほうが強い。
讃岐うどん専門店「丸亀製麺」では、47都道府県で各地域の食文化を活かした釜揚げうどんを提供する企画「わがまち釜揚げうどん47」を、2024年11月1日(金)より実施する。発表会にてその狙いについて聞いた。
1年越しで約600レシピから厳選した47種類のご当地うどん
丸亀製麺・マーケティング本部の宮林里美氏によると、丸亀製麺でご当地商品を全国一斉に展開をするのは、初めての取り組みだという。
「我々が目指すのは、外食産業ではなく、感動創造業。人の感動は人の手から生まれると信じております。もっとお店に来てくださるお客様に、そして地元のお客様がワクワクするような、もっと地元の方々と繋がっていけるような特別なうどんが作れないかなというふうに考えていました。そこで『わがまち釜揚げうどん47』を実施することにいたしました」(丸亀製麺・マーケティング本部 宮林氏)
実施にあたり、まずは昨年2023年11月より社内にいた全国の麺職人を対象にアイデアを公募。応募された約600超の1つ1つのレシピに目を通し、社内の商品開発、食材の購買部門、営業やマーケティング部門などを股に掛けながら変更と試作を繰り返し、1年越しに47個の商品が完成。毎日、何杯も何杯も食べ続けてやっと完成に至った。
東京都内の店舗で提供されるのは、「江戸前!塩ちゃんこつけ汁」。開発を担当した麺職人によると、東京には相撲という代表的な文化があり、そこから力士の体作り、勝負に挑むための食事が考えられていた。ちゃんこ鍋は、相撲では手をつくと負けてしまうことから、牛や豚などの4本足の動物は避け、鶏を使用している。そんな背景も汲みながら、「塩ちゃんこつけ汁」を考案したという。具だくさんのつけ汁とうどんがマッチして、ちゃんこの〆のうどんだけを気軽に楽しめるのは、定番としてもアリではないかと感じた。
一転、ぐっと東京から離れた広島県で提供されるのは「牡蠣バター醤油つけ汁」。プリッとした広島県産の浜ゆで牡蠣をカリッと揚げ、バターを添えている。醤油ベースのつけ出汁は甘辛く、うどんにもよく絡む。通常のオペレーションではここまで癖があり、かつ手間のかかるメニューを提供するのは難しいだけに、期間限定イベントならではのメニューといえる。
これ以外にも、変わったところでは京都府の「宇治抹茶カルボナーラつけ汁」、兵庫県の「玉ねぎポタージュつけ汁」など、かつてうどんとの組み合わせで提供された店舗がなさそうなメニューもあり、複数めぐっていろいろ食べてみたくなる。価格はどの県を食べても並は790円、大は950円だ。
京都の「宇治抹茶カルボナーラつけ汁」にはごぼうのかき揚げ天が別添えでセットになっている。
10都道府県を訪問してスタンプを集めた人には抽選でキッチンカーの派遣も実施
まず、11月1日(金)の「釜揚げうどんの日」には、1日限定の特別価格で提供。さらに、丸亀製麺オリジナルアイテムが当たる「わがまち釜揚げうどん47」スマホスタンプラリーも同日より実施する。スタンプは1都道府県につき1つもらえる。スマホスタンプラリーの参加者にはもれなくオリジナルスマホ壁紙を配布。スタンプ3つで「釜揚げうどん」キーホルダー、5つで「わがまち釜揚げうどん47」ロゴ入りTシャツ、7つで『釜揚げうどん』ポシェットへの応募が可能となり、抽選でプレゼントされる。
さらにスタンプを10個集めた人の中から抽選で5名に、丸亀製麺のキッチンカーが当選者のもとを訪れ、わがまち釜揚げうどんが振る舞われるという。また、「わがまち釜揚げうどん47」の焼き印入りのオリジナル釜揚げ桶もプレゼントされる。
メニューの提供は、各店舗限定数で、予定数がなくなり次第終了となる。10個スタンプを集めることを目指すならば、スタートダッシュが肝心だろう。
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取材・文/北本祐子