最近では「ロマンス詐欺」の被害が頻繁に報道されています。特に、SNSやマッチングアプリなどを通じて、直接会ったことがない人に恋愛感情を抱かせる「SNS型ロマンス詐欺」は大きな社会問題となっています。
ロマンス詐欺の被害に遭ってしまうと、被害金を取り戻すことはかなり難しいです。
回収の見込みがないにもかかわらず、「被害金を回収する」と称して高額の着手金を請求する弁護士もいるようなので、十分ご注意ください。
本記事では、SNS型ロマンス詐欺のよくある手口や、ロマンス詐欺に関連する弁護士の逮捕事例などを紹介します。
1. SNS型ロマンス詐欺とは
「ロマンス詐欺」とは、恋愛感情などを利用して相手を騙し、金品を詐取することをいいます。
「結婚資金を投資で増やそう」「会いたいから日本に行くための旅費を払ってほしい」などと言って、2人の将来のために必要であると思いこませ、多額のお金を支払わせるのがロマンス詐欺のよくある手口です。
近年では、SNSやマッチングアプリなどを通じた「SNS型ロマンス詐欺」が横行しています。SNS型ロマンス詐欺の特徴は、直接会ったことがないにもかかわらず、巧みな話術で被害者に恋愛感情を抱かせ、信頼を得たところで金品を要求する点です。
SNSやマッチングアプリを通じて出会いを求めるのは、現代社会に合った便利な方法であるものの、SNS型ロマンス詐欺のような危険が潜んでいることに十分ご注意ください。
SNS型ロマンス詐欺については、警察庁の特殊詐欺対策ページでも注意喚起がなされているので、併せてご参照ください。
参考:SNS型ロマンス詐欺 直接会ったことないその人、本物ですか?|警察庁 特殊詐欺対策ページ
2. ロマンス詐欺の被害金は回収が難しい
ロマンス詐欺に騙されてお金を支払ってしまうと、その被害金を取り戻せるケースはほとんどありません。
ロマンス詐欺の被害金を取り戻すことが困難であるのは、主に以下の理由によります。
・被害に気付いて詐欺業者の口座を凍結してもらっても、その時点ですでに出金されており、残高がほとんどないケースが多い
・暗号資産(仮想通貨)など匿名性の高い方法で送金させるケースが多く、その場合は詐欺業者の特定が非常に困難である
など
ロマンス詐欺の被害金の回収が難しいことについては、各都道府県の弁護士会も相次いで注意喚起をしています。
参考:国際ロマンス詐欺案件を取り扱う弁護士業務広告の注意点|東京弁護士会
参考:【重要】国際ロマンス・投資・副業等の詐欺被害案件に関する弁護士への依頼にあたってのご注意|広島弁護士会
ロマンス詐欺に対しては、とにかく被害に遭わないことが何よりも大切です。よくある手口を理解した上で、インターネット上で会ったことのない人から送金を依頼されたら、必ず断りましょう。
3. ロマンス詐欺に関する弁護士の起訴事例
ロマンス詐欺の被害金を回収すると称して、広告会社に名義貸しをして法律事務をさせたとして、弁護士法違反の疑いで弁護士が起訴された事件が報道されました。
2024年9月に開かれた初公判において、被告人である弁護士は起訴内容を認めたとのことです。
参考:ロマンス詐欺救済うたい名義貸し 弁護士を2年業務停止|日本経済新聞
前述のとおり、ロマンス詐欺の被害金を回収することは困難で、弁護士がそのことを知らないはずはありません。
しかし、被害金を取り戻したいと藁にも縋る思いの被害者に対して、弁護士が回収可能性の低いことを十分に説明せず、高額の着手金を支払わせる二次被害が多数発生しているようです。
繰り返しになりますが、ロマンス詐欺は被害に遭わないことが何よりも大事で、被害に遭ってしまったらお金を取り戻すことは困難です。
自分の財産を守るため、ロマンス詐欺について正しい知識を身に着け、詐欺師や悪徳弁護士に騙されないようにしましょう。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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