10月から11月ごろにかけて、各学校で運動会が数多く開催されています。
運動会では、どんなに安全確保に努めていても、子どもがケガをしてしまう事故がしばしば発生します。運動会で子どもがケガをしたときは、災害共済給付や損害賠償の請求を検討しましょう。
本記事では、運動会で子どもがけがをした場合に補償を受ける方法を解説します。
1. 学校の運動会で子どもがケガをした場合に、補償を受ける方法
学校の運動会で子どもがケガをした場合には、以下の方法によって補償を受けられることがあります。
(1)日本スポーツ振興センターの災害共済給付
(2)加害者に対する損害賠償請求
(3)学校側に対する損害賠償請求
1-1. 日本スポーツ振興センターの災害共済給付
学校の管理下で発生したケガについては、日本スポーツ振興センターの災害共済給付の対象となります。
災害共済給付の内容は、以下のとおりです。
(a)医療費
1つの災害(ケガなど)につき、保険診療の医療費総額が5,000円以上となる場合に、原則として当該医療費総額の4割が補償されます。
治療用装具の購入費用についても、災害共済給付の対象となります。
(b)障害見舞金
ケガが治りきらずに後遺症が残った場合は、その程度によって等級(第1級~第14級)が認定され、等級に応じた額の障害見舞金(4,000万円~88万円)が支給されます。
(c)死亡見舞金
子どもが死亡した場合は、最大3,000万円の死亡見舞金が支給されます。
1-2. 加害者に対する損害賠償請求
運動会における子どものけがが、他の子どもの行為に起因して発生した場合には、加害児童・生徒に対して不法行為に基づく損害賠償を請求できることがあります(民法709条)。
加害児童・生徒がおおむね12歳前後以上の場合は、民法上の責任能力(民法712条)が認められることが多く、その場合は本人が損害賠償責任を負います。
一方、本人に責任能力が認められない場合は、監督義務者である保護者が損害賠償責任を負います(民法714条1項)。
加害児童・生徒またはその保護者に損害賠償責任が認められるときは、治療費や慰謝料などの損害賠償を請求可能です。
ただし、被害者側にも何らかの過失がある場合は、過失割合に応じて損害賠償が減額されることがあります(民法722条2項)。
1-3. 学校側に対する損害賠償請求
教諭が適切な監督を怠ったために子どもが運動会でケガをした場合は、学校の運営者(国・自治体・学校法人など)に対して損害賠償を請求できることがあります(民法715条1項、国家賠償法1条1項)。
私立学校の場合に限り、監督責任を怠った教諭本人に対しても、不法行為に基づく損害賠償を請求可能です(民法709条)。
また、学校の設備の設置または管理に瑕疵があったことが原因で、子どもが運動会でケガをした場合にも、学校の運営者に対して損害賠償を請求できます(民法709条、国家賠償法2条1項)。