「大腸劣化」対策委員会では、「大腸」の機能が衰えることで、全身の健康リスクが高まっている状態を示す「大腸劣化」の認知を広げ、毎日の生活のなかで対策に取り組んでもらうための活動を行っている。
今回、同委員会でコラムを執筆している順天堂大学医学部 小林弘幸教授の著書「腸から生まれ変わるカラダ」の発刊にあたり、全国の20代~60代の男女1,000名を対象に調査を行ったので、その結果をお伝えしよう
ゾンビ腸とは
「ゾンビ腸」とは、バランスの悪い食生活やストレスによって、働きが弱まってしまった大腸のこと。
「ゾンビ腸」の中では悪玉菌が猛威をふるい、外に出るべき老廃物が腐敗して溜まり、毒素が発生しやすくなる。放っておくと、毒素が血管を通じて全身に回り、さまざまな病気を引き起こしてしまう恐れがある。
これを、ゾンビがうごめいて感染を拡大させるイメージに例えて「ゾンビ腸」と呼んでいる。
小林弘幸先生監修「ゾンビ腸チェックリスト」
現代の日本人の腸を脅かす「ゾンビ腸」の実態
前述の「ゾンビ腸チェックシート」で「1. 食生活」、「2. 生活習慣」、「3. 便の状態」の各項目で1,000名にそれぞれ当てはまるものをチェックしてもらい、合計個数で以下の分類に分けた。
0~5個:ピカピカ腸/6~10個:ゾンビ腸予備軍/11~20個:ゾンビ腸/21~40個:重度のゾンビ腸
「ゾンビ腸予備軍以上」を「ゾンビ腸群」として集計したところ、全体で約6割が「ゾンビ腸」のリスクを抱えていることが判明。年齢を重ねるごとに多くなる傾向があり、女性の40代以降では7~8割という結果も出ている。
また、一番若い20代においても、女性で約半数が「ゾンビ腸群」であるという結果となった。20代という若い世代でも腸が不健康である可能性が高まっているようだ。
▲ゾンビ腸同様、不調を抱えるのは女性が多く、30~50代はより多くなる傾向あり
続いて、「普段、気になっているカラダの不調」について聞いたところ、何らかの不調を抱えている人は約8割という結果に。不調を抱えているのは女性の方が多く、特に「だるさ」「肩こり」「イライラ」は、20代女性においても多いことが分かった。
「ピカピカ腸」と「ゾンビ腸」を比較すると、不調の全項目で「ゾンビ腸」の人が85%以上を占める結果に
「ゾンビ腸」の状態では、腸内に溜まっている老廃物が腐敗し、その毒素が腸から血管を通じて全身へと渡り、全身の健康リスクが高まるといわれている。
ゾンビ腸群の人が現在どのぐらいカラダの不調を抱えているのか、各不調の項目ごとに「ピカピカ腸」の人と比較をしたところ、全ての項目でゾンビ腸群が85%以上を占めていた。
中でも、「もの忘れ」「うつ・気分の落ち込み」「体臭」「頭痛」「風邪を引きやすい」「貧血」「乾燥肌」はなんと90%を超える結果に。
このようなことからも、現代の日本人が抱える全身の様々な不調は、ゾンビ腸からくるものではないかと推測できる。
「お腹の健康」のために意識して行っていることランキング、1位「ヨーグルトを食べる」、2位「水を多く飲む」、3位「納豆を食べる」
続いて、健康のバロメータとも言われている便通や便の状態についても調査したところ、常に快便ではないと回答したのが6割以上だった一方、便通に悩んでいる人は約3割に留まっていた。
「快便ではない」ことが日常化し、その状態に慣れてしまっていたり、あまり深刻に考えずにいる人も一定数いるようだが、そういう人こそゾンビ腸の可能性を疑った方がよいかもしれない。
最後に普段からお腹の健康のために意識して行っていることを聞いたところ、4人中3人は日常からお腹の健康のために意識的に何らかの行動をしているということがわかった。
トップ3は、1位「ヨーグルトを食べる」、2位「水を多く飲む」、3位「納豆を食べる」という結果となり、中でも「ヨーグルトを食べる」は41%にものぼり、“お腹の健康”や“腸活”の代表選手としてのイメージが圧倒的に強いことがうかがえる。
調査概要
表題:食生活や健康に関する実態調査
調査主体:「大腸劣化」対策委員会
調査期間:2024年7月6日(土)~7月7日(日)
調査方法・対象:インターネット調査、20代~60代 男女1,000名 全国
順天堂大学医学部 小林弘幸教授によるコメント
年齢を重ねると、便秘をはじめとする消化機能の低下が現れますが、ゾンビ腸にも気をつけなければなりません。
調査の結果からも、30代を越えたあたりからゾンビ腸が増える傾向も見られますが、一方で腸へのケアを怠りがちな若年層(20代)でも約半数がゾンビ腸化していることもわかり、現代を生きる日本人の誰もがゾンビ腸のリスクがあるという実態が見えてきました。
ゾンビ腸と言っても、腸だけの問題ではありません。気づかないうちに進行して、いつの間にか全身の健康にも悪い影響を与えてしまうことがあるのです。「自分は若いから大丈夫」と思い込まず自分の生活を見直す必要があります。
また、ゾンビ腸とそうでない人との比較では、全ての不調の項目でゾンビ腸の方が85%以上を占めるという結果になり、ゾンビ腸の人ほど不調を抱えていることもわかりました。
この結果からもゾンビのウイルスがどんどん感染を拡大させて増殖するように、腸の不調(=不腸)がカラダ全体に伝播し、様々なカラダの不調を引き起こしているのではないかと考えられます。
■ゾンビ腸の対策
ゾンビ腸を撃退するには、「食事」「運動」「睡眠」が基本になりますが、ゾンビ腸は大腸の機能が弱まり、大腸内に老廃物が溜まることから始まるため、「食事」が大事なポイントになってきます。
調査の中で「お腹の健康のために意識していること」では、「ヨーグルト」「水を多く飲む」「納豆」が上位に上がり、中でもヨーグルトは4割を超える人が取り入れていました。
ヨーグルトは様々な種類のものがお店に並んでいますが、大腸を意識するなら「ビフィズス菌入り」のヨーグルトがおすすめです。ビフィズス菌は大腸で働く有益な菌の代表で、ゾンビ腸対策には欠かせない腸内細菌です。
お腹の中にもともと存在するビフィズス菌は、加齢とともに減少していくことが分かっていますが、最近では若い世代でも以前より減っている人が多いと言われます。
ヨーグルトにはビフィズス菌が入っていないものも多いため、ビフィズス菌を摂りたいということであればパッケージをよく確認することをおすすめします。
また、運動においては書籍でも様々な方法をご紹介していますが、正しい運動にこだわりすぎる必要はありません。
こだわりすぎるあまり、億劫になって運動をやめてしまっては本末転倒なので、回数が少なくてもできる範囲で「カラダを動かす」ことを習慣化してみてください。
ゾンビ腸は何歳からでも回復可能です。今日からゾンビ腸対策を始め、健康的なカラダを手に入れましょう。
構成/Ara