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〝いい古墳あります〟 樹木葬や散骨に続く新しい「墓」のカタチ

2024.10.27

樹木葬の進化系&和風版として注目を集める「古墳墓」サービスとは? 運営会社に伺ったお話も紹介しています。

自分の「墓」について考えたことはありますか?

「墓離れ」ともいわれる現代では、費用や管理の面から墓石を持たない・持ちたいと思わない人が増えているといいます。

そこで今回は、墓石に代わり人気上昇中の供養方法「樹木葬」を中心に、令和の墓事情をご紹介。記事の後半では、樹木葬の進化系&和風版として注目を集める「古墳墓」サービスについて、運営会社に伺ったお話も紹介しています。

令和のシェアが多いのは墓石型より樹木葬

お寺や公営霊園にある一般的な従来の墓は、「墓石型」と呼ばれるものです。

一般的な墓石型は比較的高額な購入費用や管理費用がかかることに加え、自分の死後に継承者が必要なことや、移住した場合の管理が大変なことなど、不安点が少なくありません。子供や孫に迷惑をかけたくないし、顔も知らない昔のご先祖さまよりも愛する家族であるペットと一緒の墓に入りたいという考え方も多くなっています。

そんな現代で、墓石型に代わって伸びているのが「樹木葬」や「散骨」「納骨堂」などの市場です。特に人気が高い供養方法は樹木葬で、「第12回 お墓の消費者全国実態調査(2021年)」※ によると、2020年に引き続き一般墓や納骨堂を抜いてシェア率1位を獲得。回答者の半数近い約46%の人が樹木葬を選ぶ結果になりました。

※参照:PR Times|第12回 お墓の消費者全国実態調査(2021年)

樹木葬の新形態?古墳墓が購入できる「古墳の窓口」とは

一般的な樹木葬とは、墓石を建てず、墓標として樹木や草花を植えて供養する埋葬方法のことです。

実はいくつかの種類があり、山林のような広大な土地に埋葬する里山型や、整備された土地をシンボルツリーや草花が彩る庭園・公園型など、用途や立地に合わせて様々なタイプが販売されています。

そんな樹木葬の新形態として今注目を集めているのが、古墳に眠ることができる「古墳墓」です。

【古墳とは】
3~7 世紀に王や豪族などの有力者を葬る場として造られた日本古来の墓。土を高く盛った墳丘墓で、鍵穴のような形状をした「前方後円墳」などが有名。

古墳と聞くと、「墓」としての認識があまりないという人も多いのではないでしょうか。かくいう筆者も昔教科書で見た歴史的なモノのうちのひとつというイメージが強く、墓は墓でも自分の身内が眠っている墓とは別物という印象を持っていました。

自分が死後、あの古墳に葬られるなんて…なんとも不思議で冗談のようですが、実際に叶えることができるんです。

画像出典:PR Times|【いい古墳あります】竹田恒泰が古墳購入の登録窓口を開設

古墳墓の購入・検討ができるのは、2024年8月にリリースされた「古墳の窓口」というサービス。Webサイトからお客さま登録をすることで、古墳墓の購入までの一連の流れをサポートしてくれるとか。現在はまだ建設中とのことですが、Webサイトでは日本古来の姿をした本格的な前方後円墳の完成イメージや区画マップを見ることができます。

草花や樹木などの自然あふれる敷地内はバリアフリー設計で、駐車場や管理事務所兼休憩所、トイレなどの施設を完備。宗教不問・承継者不要で利用できる点も魅力です。2人用やペット可の区画もあり、夫婦2人きりや単身でペットと静かに眠りたいという現代ならではのニーズにも応えてくれます。

古墳墓の販売企業に話を聞いてみた

ここからは、「古墳の窓口」の運営会社であり、古墳墓の提案・販売している前方後円墳の代表取締役・竹田恒泰(つねやす)氏に伺ったお話をご紹介します。

【株式会社前方後円墳】
2024年4月創業。古墳型墓や神道式樹木葬の企画・設計・販売を行うスタートアップ企業。同年8月に古墳墓の予約や購入ができるサービス「古墳の窓口」をリリース。

――古墳を「樹木葬」とする発想のきっかけは何だったのでしょうか?サービス立ち上げの背景について教えてください。

私の父方のお墓は古墳で、小さいときから墓参りで古墳に手を合わせ、葬儀なども神式に親しんできました。母方は仏式の一般墓で、葬儀も仏式です。そのため、神式と仏式の両方があることは、自然なことでした。

父が三男であるため、他に古墳型墓を築造しようとしましたが、難航しておりました。霊園や石材店とやりとりをしていたところ、友人たちが古墳型墓に興味を示すようになり、「そのような墓が造れるなら造りたい」という声が寄せられるようになりました。それが、古墳墓を造ることになったきっかけです。

昨年新規に販売された墓所の52%が樹木葬墓だったという報道を見かけ、古墳型の樹木葬墓があったら良いと思うようになりました。古墳型の墓は全国に数か所ありますが、いずれも形を模倣しただけで、古墳とはいえない代物でした。

そこで、古墳文化を再現した「本物の古墳」を造ろうと、株式会社前方後円墳を立ち上げた次第です。

「樹木葬」とは、墓石を建てない一般的なお墓の形態で、様々なものがあります。墓石を建てないということであれば、もともと日本には古墳があります。それは日本式の樹木葬といってもいいのではないでしょうか。シンプルでありながら、凛とした佇まいの前方後円墳は、日本の美を体現したものといえるでしょう。

――墓石や納骨堂、一般の樹木葬などと比べた古墳墓ならではの特徴と魅力を教えてください。

最大の特徴は「古墳に眠る」ということ、そのものだと思います。普通はお墓の話で盛り上がることなどありませんが、私が古墳の話をすると、楽しみながら聞いてくれ、話が盛り上がることが多いので、そのように感じています。

その上で、重要な特徴について述べます。

(1)永代にわたり神社が祭祀を行う
私たちが築造する古墳墓は、年に2度(春分の日と秋分の日)、地元の神社の神主による御霊祭(みたまさい)を行います。この祭典では、埋葬された方のお名前を毎回、奏上します。価格は通常の樹木葬と同程度ですが、古墳墓では丁寧な祭祀が行われ、手抜きがないといえるでしょう。その点も古墳墓の特徴です。

(2)承継者不在でも大丈夫(檀家義務もなし)
私たちが築造する古墳墓では、永代にわたる管理費・植栽維持費は、お申込時に一括してお支払いいただきますので、毎年のお支払いはありません。承継者が不在でも問題ありません。子や孫に墓の負担を負わせたくないという方にもぴったりです。

古墳墓は、利用者に代わって霊園が管理します。そして(1)でも述べたように、神社が祭祀を担います。

(3)最後は土にかえる
古墳墓には区画のある「永代祭祀墓」と、一つの区画に複数の御骨を納めていく「合祀墓」の2種類があります。前者は骨壺、後者は袋を用います。前者は永代期間の定めがあり、その期間を経過すると、同じ古墳の中にある「合祀墓」の方に遷座いたします。「合祀墓」の底面は土になっているので、長い時間をかけて、御骨は土にかえることになります。

近年は海洋散骨が人気なようですが、もっとも後悔する人が多いのも海洋散骨だそうです。海に御骨をまいてしまうと、永遠に漂い続けるのみで、決して土にかえることはありません。

――お客さまからいただいたお声や、現地見学会の反響を教えてください。

現在販売中の古墳墓は千葉県と香川県にありますが、いずれも建設中で未完成です。にもかかわらず、多くの方が説明会や現地見学ツアーにご参加くださいました。

多くの方が関心してくださったのは、神社が古墳を守り、御霊を鎮めることです。永代にわたる管理費と祭祀の費用が、すでに諸費用の中に入っているということに驚く方もいらっしゃいました。「なんか死ぬのが楽しみになってきました」ということをおっしゃったお客さまが2人いらっしゃいます。

変わりゆく「墓」のカタチ

近年の墓事情と、樹木葬の進化系として話題の古墳墓についてご紹介しました。

「死後は先祖と同じ墓に入る」という常識が常識ではなくなっている近頃は、死後の身の振り方も自身で自由に決めるという考えが主流になってきました。それに伴い、供養の方法やサービスの形態も多様化しています。

残される家族はもちろん、何より自分自身のために、生前の自分が納得できる「墓」を探してみてはいかがでしょうか?

取材協力:株式会社前方後円墳
Web
「古墳の窓口」

取材・文/黒岩ヨシコ

編集/inox.

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