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日本人の刹那主義思想がこの10年で1.5倍に拡大「明るい将来」に限界を感じて「今を生きる」を重視する傾向

2024.10.27

世界最大規模の世論調査会社であるイプソスから、世界がどのように変化しているかを包括的に把握する「グローバルトレンド2024」が発表された。

同レポートの政治関連する(ヌーヴォー・ニヒリズム)において、日本では「今を生きる」刹那主義の価値観を持つ人が、この10年間で15ポイント上昇し、約1.5倍に増加していることが判明したという。

本稿では同社リリースを元に、その概要をお伝えする。

日本人の「今を生きる」刹那主義思想、10年間で1.5倍に拡大(グラフ1)

「重要なのは今日を楽しむことであり、明日のことは明日考えるようにしている」という設問に対し、「同意する」日本人は45%であり、2013年の調査時の30%に比べ15%上昇していることがわかった。

「不確実な未来をコントロールする力は自分にはないから、現在を楽しもう」、「未来はなるようにしかならないから今を楽しもう」と考えている人が増えているようだ。

刹那主義思想は世界でも拡大しており、日本人の割合としてはグローバルほどまでとはいかないものの、確実に増加の傾向にあることが明らかになった。

■日本人の政治不信はグローバル平均よりも低いものの拡大傾向(表1、2、3、グラフ2)

日本人の政治や政治家への不信感は、グローバル平均よりも低く、「既存の政党や政治家は、自分のような人間を気にかけてない」は62%(表1)が、「この国の政府は、私のような人間の悩みを優先していない」には59%(表2)が、さらに、「選挙で選ばれた役職者は、自分のような人々の懸念を優先しないため、選挙で投票する意味はない」は43%(表3)が同意すると回答している。

しかし、2024年に同社が発表した「ポピュリズムに関するグローバル調査2024」では、「既存の政党や政治家は、自分のような人間を気にかけてない」に同意するという回答は7年間で約1.6倍に拡大している(グラフ2)。

今回の調査結果について

イプソス株式会社代表取締役社長 内田俊一 氏

今回の調査では、日々の政治や経済事由に対するストレスの高まりから、明るい将来や夢を求めることができなくなり、“今この瞬間を楽しむ”、“不確実な未来の心配ではなく、明日はなんとかなるだろう”という、刹那主義的態度が高まっていることが明らかになりました。

これは世界でも同様の傾向にあります。物価高などに関連する個々人の経済状況の改善が見られないことや政治への不信感の高まりが原因ではと考えられます。

人々の希望とその現実のギャップを埋めていくような、そうした政策が求められているのではないでしょうか。

調査概要
調査対象/世界50市場5万237人(日本人1000人)
・米国、カナダ、香港特別行政区、イスラエル、マレーシア、ニュージーランド、南アフリカ、トルコ、ベトナムでは18~74歳、タイでは20~74歳、インドネシアとシンガポールでは21~74歳、その他すべての市場では16~74歳の合計5万237人
実施日/2024年2月15日~4月23日
調査機関/イプソス
調査方法/混合方式の「IndiaBus」を使用したインドと対面方式を使用したザンビアを除くすべての市場で、イプソスオンラインパネルを使用して実施された。

関連情報
https://www.ipsos.com/ja-jp

構成/清水眞希

 

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