DIME MAGAZINE
運転免許証の更新手数料。決して高額というわけではないが、これを支払うたびにいろいろと慌てたり「あっ、現金持ってなかったっけ！」と声に出したりしてしまったりする。
幸いにも、この更新手数料は全国都道府県で「キャッシュレス化」が進められている。
これは都道府県の収入証紙の廃止と直結する取り組みでもある。時代遅れになった収入証紙の扱いを取りやめ、代わりにキャッシュレス決済を導入する動きが全国各地で発生しているのだ。
しかし、中には問題も……。
キャッシュレス決済「のみ」に踏み切った埼玉県
今年1月、埼玉県の運転免許センターでちょっとした騒動が起こった。
運転免許証更新料を払えない人が相次いだのだ。しかしこれは、その人がお金を持っていないということではない。むしろ、お金を持ってきたからこそ支払えなかったのだ。
2024年から、埼玉県では行政手続きに伴う手数料の決済は原則としてキャッシュレス「のみ」とした。現金ではそれを支払うことができない、ということだ。ところが、その事実を知らない人が相次いでしまい、特に普段からキャッシュレス決済を使っていない人に混乱が生じてしまったようだ。
都道府県が手数料のキャッシュレス決済に踏み切ること自体は現代の流れとも言えるが、現金の受付を一切しなくなった例は非常に珍しい。
「収入証紙の廃止」と「現金決済の非対応化」は別物
この問題を語るにあたってまず認識すべき点は、「収入証紙の廃止」は「現金決済の非対応化」と必ずしも同義ではないということだ。
まずは京都府の例を見ていこう。京都府では令和4年即ち2022年の10月から、運転免許更新手数料を含めた警察手数料の支払いに収入証紙を使う昔ながらの方法を取りやめた。その代わりに登場したのが、2通りの方法である。
ひとつは、窓口で直接手数料を支払う方法。これはキャッシュレス決済の他、現金でも受け付ける。もうひとつは、納付書をコンビニまたは金融機関に持ち込み支払う方法である。もっとも、殆どの運転免許証所持者は手間のかからない前者を選ぶだろう。
言い換えれば、京都府では埼玉県のような騒動はまず起きないということだ。そして、中には「収入証紙を残しつつ、キャッシュレス決済にも対応する」という方針を選んだ自治体も存在する。
収入証紙を継続する県も
静岡県は、この記事を執筆している2024年10月11日現在も収入証紙の廃止を決定していない。
静岡県の運営する『ふじのくにメディアチャンネル』の該当ページには、こう記載されている。
令和5年10月には、静岡県の窓口における手数料の支払について、従来の収入証紙による納付に加え、クレジットカード、スマホアプリ決済等の支払方法を可能とするため、証紙条例の改正を行いました。
静岡県内の運転免許センターでは、令和6年1月15日から運転免許関係手数料に関し、県民の方々の利便性向上のため、支払方法を拡大しました。これまでの、静岡県収入証紙を現金で購入する方法に加え、クレジットカード等のキャッシュレス決済を導入することとなりました。
（【静岡県民に朗報】キャッシュレス決済ができる施設が増えました！-ふじのくにメディアチャンネル）
このように、静岡県は京都府とはまた角度の異なる「現金決済の余地」を残している。したがって、県の施設や市町の窓口では今でも1万円から1円までの金種の収入証紙が販売されている。
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