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国交省が全国一斉に完全キャッシュレスの路線バス実証実験を主導、現実的にキャッシュレス化は可能なのか?

2024.10.26

キャッシュレス決済の対応銘柄は「路線それぞれ」

今回の実証実験は、国交省からキャッシュレス決済銘柄について「これを使うように」という指示が一切ない。つまり、銘柄についてはほぼ各事業者の自由裁量なのだ。

たとえば、横浜市交通局のベイサイドブルーと109系統特急の場合、利用できるキャッシュレス決済銘柄は交通系ICカード、一日乗車券、クレジットカード・デビットカードなどのタッチ決済、敬老特別乗車証、福祉特別乗車券等、市営バス定期券である。ただし、ベイサイドブルーはそれに加えてQRコード決済も利用可能だ。このように、同じ事業者のバスでも路線によって対応銘柄に差異を設けている場合もあるのだ。

が、それぞれの事業者の対応を観察してみると、「旅客輸送路線」は案の定クレカのタッチ決済を導入している場合が多い。

参画事業者のひとつ、西日本鉄道の博多駅~福岡空港国際線とFukuoka BRTの対応キャッシュレス決済銘柄は、交通系ICカード、タッチ決済、SUNQパスなどの各種乗車券。空港と市内をつなぐ路線や、市内の見どころを巡る路線では外国人観光客を想定したタッチ決済対応が必須のようだ。

地方の生活路線での実証実験に期待

しかし、以上の路線はいずれも「キャッシュレス決済を使い慣れた人が一定数存在する地域」のバスである。

今後、この実証実験の発展を期待するとしたら、観光路線ではない地方の生活路線でのオペレーション開始ではないだろうか。

もちろん、集客の多い地域のバスとは違い、地元住民が高齢化して環境客も見込めない地域のバスは「キャッシュレス化する以前」の問題が山積している。しかし、キャッシュレスがもたらす利便性は地域を問わないはずで、該当の地域に対する「経済のDX化」をもたらすには欠かせないステップではないか。

いずれにせよ、今は国交省の実証実験の成り行きに注目するべきだろう。

【参考】
完全キャッシュレスバスの実証運行の実施路線を選定しました!-国土交通省
<宇都宮駅東口エリア>完全キャッシュレスバスの実証運行を実施いたします!-関東自動車株式会社
ベイサイドブルーと109系統特急は完全キャッシュレスに! 完全キャッシュレスバスの実証運行を実施します-横浜市交通局
国土交通省が主導する『完全キャッシュレスバス実証運行』の参加事業者に採択されました!-西日本鉄道(PDF資料)

文/澤田真一

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