■連載/綿谷さちこのクレカの強化書
メルペイは2024年10月17日、「後払い決済新機能発表会」を開催。後払い決済サービスの新機能を発表した。発表会に登壇した執行役員 VP of Growth Fintechの李 希成氏。
メルペイの後払い決済サービス
メルカリの子会社であるメルペイのミッションは、“信用を創造して、なめらかな社会を創る”こと。職業や勤続年数、年収、家族構成といった従来の属性情報だけでなく、『メルカリ』の取引履歴や評価などの利用実績を元に利用上限額を決める独自のAI与信取引(信用取引)を実施している。
独自のAI与信を用いて、まず『メルカリ』内で後払い決済サービスを開始。2019年4月には街の店舗などでも利用できる『メルペイスマート払い』をスタートした。発表会に登壇した李氏は、「従来の方法では取引ができなかった人にも、サービスを届けることができるようになった」と、その成果について語った。
これまでの7年以上の運用実績から、一括の「翌月払い」に加えて、毎月定額を支払う「定額払い」、少額融資の『メルペイスマートマネー』、クレジットカードの『メルカード』と、次々とサービスを展開。2024年6月末時点でメルペイの利用者数は1788万人、『メルカード』の発行枚数は340万枚超にも上る。
世界と日本の後払い決済サービス
後払い決済(BNPL-Buy Now Pay Later-)の市場は、グローバルで拡大を続けている。アメリカでは審査のハードルが高く、クレジットカードを持てない人が多い。一般的な後払い決済の方法はデビットカードのリボ払いで、それには手数料がかかってしまう。そのため審査も簡易で、アプリですぐに使える後払い決済サービスが拡大している。日本でも市場拡大が見込まれ、2027年に約2兆4503億円に達すると予測されている。
2024年10月にメルペイが行なった調査によると、日本では3人に1人が後払い決済を利用。その内、クレジットカードを持っている人は8割超に上り、クレジットカードを利用する上で課題と感じる点が、後払い決済サービスを利用する理由に繋がっていることがわかった。
この調査によって浮き彫りになったクレジットカード利用の課題は、「ついお金を使いすぎてしまう」、「利用金額を把握しにくい」こと。これに対して後払い決済サービスを利用する理由は、「支払うタイミングを調整できるから」、「利用金額が把握しやすい」ことが上げられた。「後払い決済は単なるクレカの代替ではなく、利便性を元に併用されているのが実態」だと李氏は言う。
『メルカード』の分割払いに新たに2回払いを開始
クレジットカードの『メルカード』では、2024年9月24日から『メルカリ』で買い物をした時に、支払い回数を指定できる「分割払い」を提供開始。分割は3回、5回、6回、10回、12回、18回、24回より選択でき、実質年率15.0%の分割手数料が必要になる。
この「分割払い」の新たなサービスとして、手数料0円の2回払いを10月17日より開始した。李氏は「より計画的に、より柔軟に支払える選択肢が追加になった」と意気込む。
特徴は次の3つで、①アプリで管理しやすい、②高額商品が購入しやすい、③ポイント還元が得られること。アプリで支払い回数を選ぶと毎月の支払い金額や手数料、合計支払い金額などがわかる。フリマは1点ものが多いので、高額商品に対しても分割払いがあることで購入しやすくなる。また、『メルカード』での決済は分割払いもポイント還元の対象になるので、最大4%のポイントが獲得できる。
何回払いにするのかによって月々の支払い金額や手数料などがわかりやすい。
通常、クレカでは2回払いは分割手数料がかからないことが多い。とはいえ、「7割の人がそのことを知りません」と李氏。「このサービス開始をきっかけに、2回払いも柔軟な支払い方法の選択肢として知って欲しい」と言う。
『メルカリ』の買い物で利用できる新たな分割払いの登場で、メルペイでは3回払い以上の分割払いにおいても、手数料実質0円のキャンペーンを実施。初回限定で最大6回、上限5000ポイントになる。期間は2024年10月18日~12月26日。
2024年12月26日まで手数料実質0円のキャンペーンを実施中。
今後、『メルカリ』以外のネットショップ、『メルカリShops』、街の店舗などの買い物でも分割払いが利用できるよう検討を進めていくとのこと。これからの展開にも注目したい。
取材・文/綿谷禎子