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「伺います」の正しい使い方とは?覚えておきたい「窺います」や「参ります」との違い

2025.01.27

普段の生活やビジネスシーンで「伺います」という言葉を使うことはありませんか? 「伺います」は敬語で、なおかつ「聞く」や「訪問する」などの多くの意味があるため、使い勝手がよい言葉です。しかし、使う頻度が多すぎて、「正しく使えているのか?」と不安になるかもしれません 「伺います」を使いこなすために、意味や使い方を例文でご紹介します。また、適切ではない使い方もご紹介しますので、参考にしてください。

「伺います」の意味と使い方を例文でご紹介

伺うイメージ

「伺います(うかがいます)」は、謙譲語の動詞「伺う(うかがう)」に丁寧語の助動詞「ます」をつなげた表現です。「伺う」には次の意味があります。

・「聞く」の謙譲語
・「尋ねる」「問う」の謙譲語
・「訪れる」「訪問する」の謙譲語
・神仏の託宣を願う
・大勢の人に説明をする

それぞれの意味での「伺う」の使い方を、例文でご紹介します。

参考:デジタル大辞泉

■意味1.「聞く」の謙譲語

「伺う」は「聞く」の謙譲語として使われます。

・お噂はかねがね伺っております。
・お名前は何度も伺いましたが、実際にお目にかかるのは今日が初めてです。

「聞く」の謙譲語として使われる場合は、「拝聴する」や「お聞きする」といった言葉と置き換えられることがあります。

■意味2.「尋ねる」「問う」の謙譲語

「伺う」は「尋ねる」や「問う」の謙譲語としても使われます。

・この件についてご意見をお伺いします。
・率直なご感想をお伺いしたいのですが……

そもそも謙譲語とは、行為者の向かう先を立てたり、自分側を低めることで相対的に相手を立てたりする言葉です。たとえば「ご意見をお伺いします」では、行為者である「意見を尋ねる自分」ではなく、「行為者の向かう先」である意見を尋ねられる相手を立てています。

■意味3.「訪れる」「訪問する」の謙譲語

「伺う」は「訪れる」や「訪問する」の謙譲語としても使われます。なお、近年は「訪れる」「訪問する」の意味でのみ「伺う」を使う人が増えているといわれています。

・友人を連れて先生のお宅に伺ってもよろしいでしょうか。
・明日、こちらから伺います。

■意味4.神仏の宣託を願う

「伺う」には、神仏の宣託を願うという意味もあります。

・御神託を伺ったところで、すでに決まったものは変えられない。
・最後は神頼みだ。おみくじで神様に伺ってみよう。

■意味5.大勢の人に説明する

「ご機嫌を伺う」の意味から、寄席などで客に話をしたり、大勢の人に説明したりすることを「伺う」と表現することがあります。

・一席、伺ってもよろしいでしょうか。
・彼女はこのエリアの都市計画プランについて、マンションの住民に伺った。

「伺います」と「参ります」の違い

訪問するイメージ

「伺います」と混同しがちな言葉として、「参ります」が挙げられます。いずれも謙譲語の動詞(伺う・参る)に丁寧の助動詞「ます」がつき、行為者の向かう先を立てる表現ですが、使い方や意味が異なるため、違いを確認しておきましょう。

「伺う」は「訪問する」や「尋ねる」の謙譲語ですが、「参る」は「行く」の謙譲語です。「行く」行為者ではなく、行為者の行き先を敬う点に注意が必要です。

・明日、先生のお宅に参ります。

先生のお宅に行く「話者」ではなく、「行き先」である先生のお宅、ひいては先生を立てるために、謙譲語の「参ります」が使われています。

・ご連絡をいただいたので、急いで参りました。

こちらも急いで行く「話者」ではなく、「行き先」である連絡した方を立てるために、謙譲語の「参ります」が使われています。また、「参ります」は、「行く」「来る」を、聞き手に対してへりくだる気持ちをこめて丁重に表現する丁寧語として使うこともあります。

・雨が降って参りました。
・列車が参ります。

また、「参ります」は会話中の第三者を立てる表現ではありません。たとえば、次の佐藤先生とわたしの会話をご覧ください。

・佐藤先生、明日は鈴木先生のところに参ります。

「参ります」は第三者を立てる表現ではないため、行き先である鈴木先生を立てられません。そのため上記の文章では、「参ります」は単に丁寧語として使われ、鈴木先生に対する敬意を示す言葉がない状態です。

会話中の第三者を立てるときには「伺います」を使用しましょう。以下の文章では、行き先である鈴木先生への敬意を「伺います」で表現しています。

・佐藤先生、明日は鈴木先生のところに伺います。

参考:デジタル大辞泉

二重敬語かも!「伺います」の使い方

先輩と話すイメージ

「伺います」はさまざまな意味を持つ謙譲語であり、丁寧語としても使われる言葉です。使用範囲が広いため、日常会話の中でも頻繁に登場しますが、しばしば誤用も見られます。よくある誤用や二重敬語をご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

■「お伺いします」

「伺う」自体が謙譲語のため、「お……する」の形で謙譲語にすると、謙譲語を二重に使うことになります。同じ種類の敬語を二重に使う二重敬語は、一般的には適切な表現とされていません。そのため、「お伺いします」は本来であれば正しい表現ではありません。

しかし、習慣として定着しているため、間違いともいえないと考えられています。使うときは、二重敬語であることを意識し、過剰な表現になっていないか吟味してください。

■「お伺いいたします」

「お……いたす」も謙譲語を作る表現です。そのため、「お伺いいたします」は謙譲語を二重に使った二重敬語です。

しかし、「お伺いします」と同様、習慣として定着しているため、間違いとはいえません。過剰な敬語表現となっていないか確認しながら使うようにしてください。

■「お伺いさせていただきます」

「お……させていただく」は、相手もしくは第三者の許可を受けて自分側が行為をし、そのことにより自分側が恩恵を受ける意味で使われます。そのため、「お伺いさせていただきます」は、話者が相手・第三者の許可を得て訪問し、そのことにより話者が恩恵を受けるという意味になります。

相手・第三者の許可が不要なときや、訪問により恩恵を受けないときは、不適切かもしれません。使う場面を選ぶようにしてください。

■「伺っていただく」「伺ってくださる」

「伺っていただく」「伺ってくださる」は、いずれも話者を立てる表現のため、自分が主語となるときは不適切と考えられます。ただし、次のように第三者や聞き手が主語となるときは、間違いではありません。

・鈴木さんが先生のところに伺ってくださいました。
・先生にわたしの家まで伺っていただきました。

■「伺ってください」

「伺う」は謙譲語のため、主語が自分側にならないときには不適切です。そのため、「担当者に伺ってください」「先生のご自宅に伺ってください」のように、第三者や聞き手が主語となるときは使えません。「担当者にお聞きしてください」「先生のご自宅にお訪ねください」のように尊敬表現を用いてください。

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