予めの書き方は?
「予め」は漢字で記載されることもありますが、平仮名で「あらかじめ」と記載することも少なくありません。
漢字・平仮名のどちらでも問題ありませんが、公的な文書では「あらかじめ」と平仮名表記が良いかもしれません。私的な文書では「予め」、企業のお知らせといった公的な意味合いのある文書では「あらかじめ」のように使い分けても良いでしょう。
■常用漢字表とは?
公的な文書で「あらかじめ」と平仮名表記するほうが良い理由としては、「あらかじめ」が常用漢字表に記載されていない読み方だという点が挙げられます。
常用漢字表とは、文化庁の文化審議会国語分科会が発表した表で、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すものです。法令や公用文書、新聞、放送などの公共性が高い場面では、表に従った記載が望ましいといわれています。
ただし、プライベートな文章を規定するものではないため、あくまでも公的な意味合いがある文章を記載するときのみ意識するようにしてください。また、固有名詞も常用漢字表では規定されません。
常用漢字表では2,136の漢字を取り上げ、字体と音訓、語例などを示しています。「予」も表内に取り上げられている漢字の一つですが、読み方は「ヨ」のみ記載されているため、「ヨ」以外の読み方のときは漢字ではなく平仮名を使うほうが良いでしょう。
■「予め」以外の平仮名が望ましい漢字
「予め」以外にも、次の漢字の読み方は常用漢字表にないため、公的な文章では平仮名のほうが望ましいと考えられます。
・いまだ(未だ)
・おおむね(概ね)
・とどめる(止める、留める)
なお、「止める」と「留める」の「とめる」の読み方は表中にあるため、公的な文章でも漢字表記できます。
「予め」「あらかじめ」の使い方・書き方に注意しよう
「予め」はビジネスシーンでよく用いられる言葉ですが、「予め……ください」と表現すると命令していることになるため注意が必要です。目上の方や取引先と話すときは、語尾を「していただけませんか」や「していただけますと幸いです」と変えるほうが良いかもしれません。
また、「予め」は常用漢字表にない表現のため、公的な文章では平仮名で記載するほうが望ましいとされています。文章によって漢字・平仮名を使い分けるようにしてください。
構成/林 泉