3:石破ショックは2度来る?
国内政治が発火点となり再び市場が動揺する「第2の石破ショック」が来るとしたら、どんな仮説・シナリオが想定されるのか。
まず第一に挙げられるのが、10月27日投開票の衆議院選挙だ。一部では自公連立政権の過半数割れの可能性がささやかれているが、与党連立政権の過半数割れが現実のものとなった場合、政局は流動化し、市場は一時的にリスクオフに傾く可能性がある。
特に、日本政治への関心が高い海外投資家は売りに回る可能性があるため、注意が必要だろう。
また、仮に衆院選を乗り切ったとしても、来年6~7月には参議院選挙がある(※)。
過去の経験則が示すように、時間の経過とともに内閣支持率の低下が続くとすれば、石破政権は参院選前にピンチに陥る可能性が高そうだ。
2001年4月発足の小泉内閣以降、政権発足後9か月間の内閣支持率の変動幅は平均で▲25.0%、中央値で▲27.5%の下落だった。
また、小泉、安倍(第二次)、岸田の在任期間が1000日を超える長期政権を除くと、支持率の下落幅は平均で同▲31.6%、中央値で▲28.0%となっている(図表3)。
こうした経験則から来年の参院選前の内閣支持率は、20~25%程度まで下がっていてもおかしくないだろう。
■青木の法則が警告する政局リスク
石破内閣の支持率が20~25%まで下落した場合、政権交代のリスクが高まる。
いわゆる「青木の法則(青木率、自民党元参院幹事長の青木幹雄氏が提唱した経験則、内閣支持率と与党支持率の合計が60%を下回ると危険水域、50%を下回ると政権が倒れるという法則)」に照らせば、自民党の支持率が足元の約3割を維持できたとしても、内閣と自民党の支持率の合計である「青木率」は危険水域である60%を大きく下回り、政権が転覆するとされる50%前後まで低下する計算になる。
仮に、こうしたシナリオが現実のものとなった場合、政治が機能不全に陥ることへの懸念と、自民党内で「刷新感」のある新しいリーダーが選ばれることへの期待が交錯して、日本株は大きく揺れ動くこととになりそうだ。
まとめに
日本株と政治の関係を振り返ると、安定した日米関係のもとで長期安定政権が続くことが好ましいと言える。
このため、支持率が低く、米国が難色を示しているとされる日米地位協定などの見直しに前向きな石破内閣は、株式市場にとってリスクとなる可能性がある。
特に、来年夏の参院選を前に政局リスクが高まる可能性があるため、投資家としては注意したいところだ。
構成/清水眞希