DIME MAGAZINE
ついこのあいだまで酷暑にあえいでいたかと思ったら、季節はもう秋。それどころか10月末には各百貨店で早くも、お歳暮ギフトセンターがオープンする。最近はネットでの情報拡散スピードが速く、「◎◎が人気らしい」と噂になる頃にはもう、完売になっていることもしばしば。早めに情報収集しておきたい。
そこで、歳暮売り上げ日本最大規模を誇る日本橋三越本店の「2024三越のお歳暮 お客さまご試食会」を取材。ベテランバイヤーたちに、今年のお歳暮トレンドを聞いた。
2024年10月7日、日本橋三越本店で開催された「2024三越のお歳暮 お客さまご試食会」の様子。バイヤーおすすめのお歳暮商品を発売前に実際に味わってもらい、SNSなどで拡散してもらうのが狙い
おすすめ（1）…「もしもの時」こそおいしいものを。【ちょっとリッチな常備食】
元日の能登地震を始め、地震や台風、豪雨などの自然災害が多かった2024年。「もしも」の時に調理いらずで簡便に食べられ、保存がきく食品を常備しておくのは常識だが、大切な人には災害時にこそおいしいものを食べて、元気を出してもらいたい…。そんな願いをこめたちょっとリッチな常備食が、お歳暮の新しい形として注目されている。
「お歳暮で人気のホテルの高級スープは具沢山のものが少なかったのですが、『〈二幸〉3種の具だくさんスープ詰合せ』はごろっと大きく切った具材にこだわりました。ちょっと小腹を満たしたいときに手軽に食べられるお夜食やランチとして常備するのもおすすめです」（三越）
「〈二幸〉3種の具だくさんスープ詰合せ」（3,240円）。たっぷりの根菜を使用した昆布とかつおぶしをベースにしたミネストローネ、大きめの鶏モモ肉が入った生姜スープ、舞茸をふんだんに使った濃厚なチャウダーの3種
「〈ホテルオークラ〉山里 おかゆ・雑炊スープ詰合せ」（5,940円）。ホテルオークラの和食堂「山里」謹製の3種の「おかゆ」と2種の「雑炊スープ」
おすすめ（2）…若い世代に喜ばれる、【タイパ重視の時短グルメ】
今やビジネス、日常生活において、無駄な手間を省き、より効率的に物事を行うための重要ポイントとしてすっかり定着した「タイパ（タイムパフォーマンス）」という考え方。特に若い年代ほど、タイパを重視する傾向が顕著といわれている。そこで子育て中だったり、夫婦ともに仕事が多忙だったりする若い年代の家庭に喜ばれるのが、「タイパグルメ」。
「電子レンジや湯せんなど、簡単調理で本格的な味を楽しめる商品や、宴席が続く年末年始に家庭でも手軽に用意できるごちそうがおすすめです」（三越）
「〈シナグロ〉冬のカルツォーネ4種セット」（5,400円）。電子レンジとオーブンで温めるだけで手軽に食べらる、有機小麦粉と天然酵母を使った、もっちり生地の包み焼きピッツァ
冷蔵庫で解凍後、電子レンジで温めるだけで食べられる「〈日本料理なだ万〉料亭の彩り弁当（冷凍）」（5,400円）。お祝いの時に食べることが多い牛すき焼をメインに、ご飯にはずわい蟹を合わせて、お祝い感を演出している
おすすめ（3）…光熱費が気になる年末年始だから…中なら暖まる【温活グルメ】
「今年の夏は暑さが厳しかったので、お中元ではクール食材が好評でした。その冬バージョンとして、温活に着目した商品も種類豊富に揃えています」（三越）。光熱費の高騰で、暖房にかかる電気代を気にしている家庭も多い。体の中から温める食材を使用した温活グルメも喜ばれそうだ。
ボリュームたっぷりの海鮮素材を韓国風の鍋料理に仕上げた「〈佐藤水産〉海鮮チゲ鍋」（10,800円）
「〈ノワ・ドゥ・ブール〉×〈ミュリル〉ガトー・アソルティ」（5,940円）。レンジで温めると、チョコを練り込んだフィナンシェの甘みとしっとり感が増し、マドレーヌはフォンダンショコラのような口どけに
おすすめ（4）…2025年こそ、ラッキーないい年に。【THE・縁起物スイーツ】
「一粒の籾（もみ）が万倍にも実る稲穂になる」という意味から転じて、運気や金運がアップするといわれる吉日「一粒万倍日（いちりゅうまんばいび）」が静かなブーム。三越でも、一粒万倍日に合わせてお財布を買い替える人が多く、財布の売上が大幅にアップするとか…。そこで三越が提案するのが、縁吉事到来の願いを込め、起食材を使ったスイーツ。
「〈ベルアメール〉縁起パレショコラ」（4,428円）。ショコラ専門店〈ベルアメール〉からお届けする、かわいらしい梅の花、富士山などのモチーフや、縁起食材とされる小豆や銀箔を使った三越伊勢丹限定の4種と、人気の定番の詰め合せ。黄色に白のうずまき模様のチョコは伊達巻の見立てで、隠し味に出汁が使われている
おすすめ（5）…愛され続けている“定番”に、新たな発見を。【100年ギフト】
三越のバイヤーによると、お歳暮の悩みで最も多く耳にするのが「いつも同じようなものになってしまう」ということ。「しかし、長年愛され続けている老舗の商品ならではの信頼感、あの人といえばこれ、という安心感もあります。定番のよさも見直して欲しい」（三越）。
そこで今年は、日本で生まれ、愛され続ける「100年ブランド」×日本の地域に根付く「100年食材」が生み出す「100年先まで愛される新定番」“100×100×100”商品を開発。「日本で生まれ、100年以上愛され続けている企業は日本国内の全企業の1%にすぎません。そんな歴史ある100年ブランドで愛され続ける看板商品を、日本各地で100年以上つくられてきた100年食材を使ってアレンジしました。100年後まで愛される新定番商品を目指します」（三越）
お歳暮・お中元の悩みで最も多いのが「マンネリ化への不安」だという
「〈近江かど萬〉×〈二幸〉 近江牛少量すき焼セット」（6,480円）。創業120年以上の近江牛専門店が目利きした小鍋仕立てのすき焼3種セット。王道のすき焼、コク深い洋風仕立てのデミチーズ、さっぱりと仕上げた塩レモンの3種が、電子レンジでそのまま温めるだけで食べられる
「近江牛塩レモンすき焼き」は湯気とともにレモンの香りが広がり、塩味でさっぱり食べられるので、年配者にも喜ばれそう
取材・文/桑原恵美子
取材協力/日本橋三越本店
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