いずれは「全世界の手話翻訳」も可能になるか
さて、手話というものはそれ自体がたったひとつの言語として成立している……というわけでは全くない。
上述のようにイギリスではBSL、アメリカではASLという全く異なる手話が使われている。日本の場合はJSLだ。従って、日本国内の国際空港の掲示板でAIアバターにJSL通訳を実行させたとしても、ASL話者には当然通じない。
このあたり、今現在の手話翻訳プラットフォームの欠点とも言える。が、同時にAIの進化は著しいという点も考慮するべきである。
データさえ集めることができれば、世界各国の手話言語を翻訳できるプラットフォームは確立可能のはず。Google翻訳やDeepLのように、手話同士を相互翻訳してくれる便利なアプリも出てきそうだ。それが実現した場合、オンラインで「国際手話会議」ということもできるかもしれない。
人間のようなAIアバター
また、ここではAIアバターにも注目する必要がある。
今一度、Signapseが生成したAIアバターを見ていただきたい。アニメーションや雑なCGなどではなく、「ほぼ人間」という見た目である。知らない人が見れば、本物の人間と間違えてしまうであろうクオリティーだ。
人間そっくりのAIアバターが入力された文章を読み上げたり、何かしらの動作をさせたりといった技術は既に確立されている。様々な言語を、ネイティブ並みのイントネーションで朗読するAIアバターを作成できるプラットフォームというのもこの世に存在している。
その流れを見ると、「次は手話ではないか」と考えるのは至って自然ではないか。
【参考】
SureTalk
Signapse AI
文/澤田真一