日本で数日間楽しむ縦走系の「山登り」や「トレッキング」「ハイキング」というと「美しい大自然」を楽しめる反面、「宿泊環境」はその正反対であることが多いだろう。山小屋にはシャワーや風呂がなかったりトイレは汚く、寝るのは見知らぬ客と蚕小屋のような狭いスペースで時には1枚の敷布団を共有し雑魚寝することも一般的だ。
それはアウトドア大国オーストラリアもでも同じである。
だがそんなオーストラリアでは近年、「ラグシュアリーで優雅なトレッキングやハイキング」が人気を呼んでいる。宿泊施設は「グランピング」や「秘境リゾート」などのラグジュアリー要素が加わったものだ。
その「グランピング」も日本でよく見る「夕食に高級バーベキュー食材が用意されている」といったレベルではなく、腕利きシェフが用意し別棟のレストランで提供される3コースディナーであることもままある。また宿泊施設もふかふかなベッドに粋なインテリアがされた高級テントロッジが殆どである。まるで「5つ星ホテルレベルのサービスを大自然の中で受けられる」というタイプのグランピングなのだ。
そんな日本の「3K登山」とはひとあじ違うオーストラリアの「ラグジュアリーなトレッキング」の様子をお伝えしよう。
「山小屋」とは一線を画す「ヴィラ」や「コテージ」も
オーストラリアの東南部に位置する「タスマニア島」。アウトドア大国オーストラリアの中でも「大自然の宝庫」と呼べる場所で、トレッキングも盛ん。オーストラリアのみならず海外からも数日から1週間程度の「縦走」を楽しみに来る人が多い。
もちろんテントを担いでの縦走もできるが、「山小屋」泊もできる。とはいえその「山小屋」は「こじんまりとしたリゾートホテル」と見間違うほど優雅なところも多い。その一つが「Wukalina Walk」というトレッキングルート内にある「Krakani Lumi」だ。
宿泊客の憩いの場となる広い食堂兼テラス
ダブルサイズのふかふかなマットレスが用意されており、ウォンバットという有袋類の毛皮がかけられている。
また、ヴィラタイプにも宿泊できる。2〜3ベッドルーム高級別荘仕様。フル装備のキッチンもあり、グループでディナーも楽しめる。あつい湯が出るシャワールームもあり、トレッキングの汗もしっかり流せる。ちなみにオーストラリアでは家にいるときから「お湯に浸かる」ことをせずシャワーだけの人がほとんどなので、そもそも高級ホテルでもバスタブがないところが多い。
絶景ビーチを見渡せる高台にあるヴィラ
ツインタイプの部屋
そしてまたしっかり運動した後の楽しみの一つである「食事」もなかなかのものだ。「Wukalina Walk」では5〜6品の大皿が並べられる。
先住民ガイドが用意した地産の食事と地産のワインを楽しむ。このトレッキングツアーのために世界各地から集まったそれまで会ったこともない仲間たちと星空を見上げながら過ごす夜は特別な思い出になる。
フレッシュなオイスターまで提供され、シーフードが豊富なタスマニア島ならでは
初めて食すポッサム(小型の有袋類)のシチューはサワークリームと一緒にいただいた。少しクセがあるが、猪に似た風味で美味しい