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【カブガールが行く】四国の酷道「国道494号」で霧の中をツーリング

2024.10.19

【カブガールが行く】四国の酷道『国道494号』で霧の中をクロスカブでツーリング

酷道とは、国道という区分にありながらも、その酷い様子や険しさからマニア・愛好家の間で愛されている道のこと。なにを隠そう、この記事を書いている筆者にとっても酷道探索は大好物。永遠のツーリングテーマのひとつです。

今回は、愛媛県松山市から高知県須崎市を繋ぐ国道494号を大冒険。険しい四国山地を抜ける、アグレッシブな山道をどうぞご覧あれ!

県境は落石注意!

訪れたのは、高知県仁淀町。その水の美しさから『仁淀ブルー』と呼ばれる一級河川、仁淀川で有名なスポットです。街の中からすでに道幅は狭く、車同士のすれ違いが難しいほどの道幅のところもあり、レトロな街並みにマッチしてタイムスリップしたような気分になります。

残念ながら雨によって仁淀川はどんよりと濁り、この先の道が不安になるような不穏な空気が漂っていましたが…霧が浮かぶ山々は神秘的で美しく、仙人に会えそうな冒険感を秘めていました。

仁淀の集落から494号を北へと進むと、10分としないうちに山道へと入ります。道は広くなったり狭まったりと改良の軌跡が見え、まさに今工事中という箇所もあります。集落が点在している区間については、今後も少しずつ通行しやすい道へと変わっていくのかもしれませんね。

さて、ポツポツと点在する集落を抜け切れば、道はさらに険しくなります。道路脇には「落石注意」「異常気象時通行規制区間」の標識も。気が引き締まります。

今回の旅での最初の難関は、高知―愛媛の県境付近。周囲が山深くなるにつれて路面の荒れが増えてきました。「落石注意」の説得力が増すこの場所は、過去に崩落があった跡でしょうか。

道路脇に積まれた黒い土嚢袋はいつ頃のものなのでしょう。苔が生えて草に覆われ、自然に還りつつあるように見えます。

もちろん、文字通りの落石が見られるスポットもありました。落石防護網がいかに大切か、感じずにはいられない景色です。

不思議だったのが、県境まであと少しのところまで来た時のことです。ただでさえ狭い道を走っているにも関わらず、高知県土木事務所による「幅員減少」の看板が道路脇に立てられていたのです。

これ以上狭くなってしまっては、車1台が通るにも苦労すること間違いありません。「一体なにがあるんだ?」訝しみながらもスピードを緩め、前へと進んでいくと…待ち受けていたのは、無残にもなぎ倒された電柱でした。

確認できたのは道路上に倒れていたのが1本と、崖から落ちていたのが数本。後ほど調べたところによると、数年前に崩落して長らく通行止めになっていた箇所のよう。崖下の電柱の中にはぐにゃりと大きく折れ曲がったものもあり、崩落時の衝撃の強さを物語っていました。

そんなこんなで県境、境野隧道を抜ければ愛媛県に突入です。

ラストは落ち葉まみれの“THE 酷道”な道を下って、無事人里へと到着です。落ち葉と雨水が組み合わさると、思っている以上に派手にスリップをするので要注意。最後まで気を抜けない峠越えでした。

霧に包まれた黒森峠

国道494号、続いてのお目当ては、この道一番の酷道区間と言われている『黒森峠』です。山の中を縫うように作られたその形状は、まるでミミズが這ったよう。15kmほどの短い区間の中にヘアピンカーブ、路面の荒れ、崖っぷちの挟道といった酷道のエッセンスがギュッと詰め込まれた道なのです。

久万高原町の集落を抜けると、さっそくその洗礼が始まりました。路肩に重機が停めてあるかと思ったら、そのすぐ隣にギッシリと積み重ねられていたのは…大量の杉の木と枝です!

路肩は伐採後の廃棄物の仮置き場になっているようで、雨に湿った木の皮からはいい香りがします。よく見ると周辺には林道への入り口がたくさんあり(一般車両は進入禁止です)、国道沿いとは思えないほどに林業が盛んな地域なのでした。

そして左右を杉林に囲まれながら走ることわずか5分ほど、標高が上がるにつれて、周囲には霧が出始めました。

見通しの悪い峠道で、さらに視界まで悪くする霧。通常の旅行中であれば「最悪な日に来てしまった」と思うところかもしれませんが、酷道を堪能するためにやって来た筆者にとってはそれほど大きな問題ではありません。

唯一、周囲の景色が見えないところは残念でしたが…もともと黒森峠は景観がそれほどよくはなく、鬱蒼とした山の中を通るタイプの道です。むしろおどろおどろしい雰囲気が増してよかったのかもしれませんね。

黒森峠の頂点付近まで来ると、霧は一層濃くなり10m先を見るのにも苦労するほど。そんな中で右へ、左へと激しく道がカーブするのだからスリルは満点です。

もちろん臆病な性格の筆者は、時速20~30kmほどのペースでゆっくりトコトコと走行しました。交通量は少ないですが、曲がりなりとも国道。カーブの先から対向車が迫って来る可能性は十分あるのですから!

…とはいえ、今回酷道区間を走行している間にすれ違った車両はゼロ。酷道が酷道である所以を感じつつも、山を下って街に着いたところで今回のツーリングは終了しました。

国道494号の酷道区間は、合計30kmちょっとと短いながらも酷道エッセンスがギュギュっと濃縮。挟道や林道の雰囲気を味わって山深さを体感できながらも、路面の荒れ・落ち葉・落石などは中ぐらいのレベルであることから、酷道初心者の方にもおすすめできる道だと感じています。

ただし標高や天気の関係から、今回のように霧が出る可能性があります。慣れない方は晴天の日をオススメすると同時に、慣れている方であっても土砂崩れなどの危険があるため、激しい雨天の日は絶対に走行しないようにしましょう。

文/高木はるか

アウトドア系ライター。つよく、しぶとく、たくましくをモットーにバイクとキャンプしてます。 愛車はversys650、クロスカブ110、スーパーカブ90。

高木はるかの記事は下記のサイトから
https://riding-camping-haruka.com

編集/inox.

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