極悪な泥道でも苦にならない走破性
アイサイトXとは、アイサイトの充実した最先端の先進運転支援システムに加え、GPS通信衛星や準天頂衛星の「みちびき」から受信した情報と、3D高精度地図データを組み合わせ、高速道路上における自車の位置をさらに正確に把握。渋滞時ハンズオフ機能を始め、渋滞発進アシスト、車線変更をほぼ自動でアシストしてくれるアクティブレーンチェンジ機能、カーブ手前速度制御、料金所前速度制御まで備わるのだから、一段と安心・安全・快適だ。
今回、そんな新ストロングハイブリッド、高応答AWD、そして脱出性能を高めるXモードを搭載する、最低地上高200mmの新型クロストレックに、クローズドコースのアップダウンとS字カーブがある舗装路と、極悪な泥道で短時間、試乗する機会を得た。
舗装路での印象は、まず、ハイブリッド感=モーター走行感覚が大きく高まり、よりスムーズかつトルキーな加速力が得られるようになったこと(これはモータ―パワーが増大したのだから当たり前)。そして、登坂路でのゆとりが大幅にUP。マイルドハイブリッドモデルもなかなかの登坂性能を備えていたが、それにも増して急坂をグイグイと涼しい顔をして登っていくのである。何しろ、今回のストロングハイブリッド化による最大の売りが、2・5Lエンジンと駆動モーターの27.5kg-mの組み合わせによる大トルク。そしてボクサーサウンドを抑えた車内の静粛性は、ストロングハイブリッド化されたことでEV走行比率が増え、全域でより高まったのは当然。開発陣も想定外だったというファルケンのオールシーズンタイヤによるロードノイズの圧巻の小ささ、快適すぎる上質な乗り心地の良さは依然、ハイレベルというしかない。
マイルドハイブリッドモデルとのドライブフィールの違いは操縦性にも表れていた。つまり、マイルドハイブリッドモデルのフロントヘビーに対して、ストロングハイブリッドモデルは前後50:50に近い重量配分となったことで、曲がりやすさが一段と向上しているように思えたのだ(重心は不変)。
今回の試乗では、極悪な泥道にも踏み込んだのだが、オールシーズンタイヤ&スバル自慢のAWD、大トルクによる走破性の高さを改めて実感。まさにオンロードでもオフロードでも、文句なしの走行性能、走破性を、極めて高い快適性・安全性能とともに誰もが味わうことができ、その完成度の高さに目を見張らされることになった。詳しい燃費性能は未発表だが、繰り返すけれど、それにスバルAWD車史上最上の燃費性能が加わるのだから、もはや全方位死角なし。最強のストロングハイブリッド・コンパクトクロスオーバーモデルに仕上がっていると期待していいだろう。
なお、価格については、通常のアイサイトVer.3搭載のプレミアムS-HEVはマイルドハイブリッドのツーリングAWDに対して約35万円高、アイサイトX搭載のプレミアムS-HEV EXはプレミアムS-HEVより約20万円高と説明されている。価格を含めた正式発表は12月まで待っていただきたい。
文/青山尚暉
写真/スバル、雪岡直樹(マイルドハイブリッドモデル)