ビジネスマンは日々、仕事をしながら、メンタルの切り替えが必要なシーンが多々あるものだ。その切り替えに役立つものの一つが「香り」。そもそも、香りは仕事上どう影響を及ぼすのか。
今回は、香りのシーン別活用法や適した香りなどを調香師・鈴木弘法氏に聞いた。
鈴木 弘法氏
HUGONIST株式会社 代表取締役
調香師歴13年。2016年伊勢志摩サミット会場「志摩観光ホテル」をはじめ全国で2,500空間以上に携わるプロの香り空間演出家。
香りが仕事に及ぼす影響
香りは意外と見えないところで仕事やビジネスに影響をもたらすという。鈴木氏は次の2点を挙げる。
●仕事のパフォーマンス向上
「香りの中でも、天然の植物から抽出された精油の中には、交感神経を刺激するものや、リラックス効果が期待できるものもあります。特にレモン、ローズマリー、サイプレスは集中力を高めるといわれており、これらの香りを嗅ぐことが仕事中での気持ちの切り替えに役に立ちます。香水として香りをまとう場合もあれば、仕事をする空間を香らせることで集中、リラックスなど目的に応じた空間を演出することもできます」
●第三者からの印象形成
「香りは記憶との結びつきが強いことが知られています。もし取引先の第三者に対して匂いで不快な印象を与えてしまえば、今後の人付き合いに悪影響を与えかねません。逆に香りで好印象を与えることができれば、信頼につながり、より円滑なコミュニケーションにつながるなどの多くのメリットが考えられます」
ビジネスにおすすめの香り3つ
ぜひビジネスに良い影響をもたらす香りをまといたいものだ。鈴木氏は、ビジネスにおすすめの香りとして、次の3つの香りを挙げる。目的に応じて使い分けることがおすすめだという。
1.柑橘系の香り
「ベルガモットやレモンを主とした柑橘系の香りです。ビジネスマンとしての清潔感を演出するのに効果的です。また、これらの香りは持続性も高くないため、香りがきついなどのリスクが低いといえます」
2.ハーブ調の清涼感のある香り
「ローズマリーやペパーミントが使われたハーブ調の清涼感のある香りです。これらの香りには集中力を高める効果があるため、昼食後の眠気を覚ましパフォーマンスを上げるのにおすすめです」
3.ウッディ系の香り
「シダーウッドなどの自然で深みのあるウッディ系の香りです。このジャンルでは重厚感のある香りが多く、落ち着いた大人の深みを連想させます。ビジネスマンとしての信頼感、大人の余裕を演出するのにおすすめです」
初心者におすすめの香りアイテム
ところで、香りをまとう方法は、香水だけではない。化粧水、制汗剤、アロマなど複数の選択肢がある。
香り初心者はどんな香りアイテムを使うのがおすすめか。
「肌質を改善するなどの機能を重視するのであれば、化粧水などの化粧品。純粋に香りを楽しむのであれば香水がおすすめです」
●香水のおすすめの使い方
「香水については、初心者であれば、濃度や持続性が低く香り立ちが穏やかなコロンやオードトワレを使用すると良いと思います。また胸などの顔に近い位置に香りをつけた場合、鼻をダイレクトに刺激してしまうため、ウエストや手の甲などにつけると良いです。
またつける量として、最初は1~2プッシュで使用するのが望ましいでしょう。香りには単純接触効果があり、嗅げば嗅ぐほど親近感を持つようになります。香水の香りに鼻が慣れてつけすぎてしまう可能性があるため、自分にとっては香り立ちが弱く感じても、第三者からは強く感じる場合があるのでその点には注意が必要です」
●香水をつけるときの注意点
「香水は汗の臭いと混ざったときに、不快感を与える場合があります。そのため香水をまとうタイミングとしては外出前の時間帯がおすすめです。またもし外出中に使用する場合は制汗剤や汗拭きシートなどを使って汗の匂いを抑えたうえで使用するのが望ましいです」
ぜひこれらのアドバイスをヒントに、香りをまとって気分の切り替えやビジネスへの良い影響を享受しよう。