座位時間を減らすと腰痛の悪化を防げる
ソファや椅子に座って過ごす時間を短くすることは、腰痛の悪化を防ぐ効果的な方法であるかもしれない。腰痛リスクのある人が6カ月間、毎日わずかでも座位時間を減らすことで、腰痛の悪化を抑えられる可能性を示唆した研究結果が報告された。
論文の筆頭著者であるトゥルク大学(フィンランド)のJooa Norha氏は、「腰痛や座位時間が長過ぎる傾向があり、腰の健康が心配な人は、仕事中や余暇中の座位時間を減らす方法を考えてみるとよいだろう」と助言している。研究結果の詳細は、「BMJ Open」に9月28日掲載された。
Norha氏らによると、座位時間の長さが背中の健康と腰痛に与える影響については、あまり研究されていないという。この点を明らかにするために、今回の研究で同氏らは、過体重または肥満でメタボリックシンドロームを有する40~65歳の成人64人を対象に、6カ月にわたる座位時間を減少させる介入が腰痛と腰痛関連の障害、傍脊柱筋(脊柱起立筋と横突棘筋)のインスリン感受性(グルコース取り込み)および脂肪含有率に及ぼす影響を調べた。対象者のうち、33人は座位時間を毎日1時間減らすことを目指す群(介入群)、残る31人は通常通りに過ごす群(対照群)にランダムに割り付けられた。
その結果、対照群では介入群に比べて腰痛の強度は有意に増加していたが、介入群では変化が認められなかった。また、試験期間中に、痛みに関連する障害は両群で増加していた。しかし、痛みに関連する障害、オスヴェストリー能力指数(Oswestry Disability Index;ODI、腰痛・下肢痛による日常生活動作への影響を測定する尺度)、脊柱起立筋のグルコース取り込みおよび脂肪含有率の変化に関しては、有意な群間差は認められなかった。
Norha氏はこれらの結果について、「驚きはなかった」と話す。同氏は、「本研究の対象者は、座位時間が長く、運動をほとんど行わない、やや体重の増えたごく普通の中年成人だった。これらの要因は、心血管疾患のリスクだけでなく腰痛リスクも高める」と話す。
ただし、活動量を増やすことで腰痛が抑制されるメカニズムは明らかにされていない。本研究では、対象者の背筋のMRI検査が実施されたが、「腰痛の変化と、背筋の脂肪量や糖代謝の変化との間に関連は認められなかった」とNorha氏は説明している。
Norha氏は、腰痛持ちの人に対して運動を行うことを勧めている。同氏は、「ただ立っているだけよりも、歩行やより活発な運動などの身体活動の方が効果的であることに留意することが重要だ」とトゥルク大学のニュースリリースで述べている。(HealthDay News 2024年10月3日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://bmjopen.bmj.com/content/14/9/e084305
Press Release
https://www.utu.fi/en/news/press-release/reducing-daily-sitting-may-prevent-back-pain
構成/DIME編集部
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