日本マクドナルドは、小学館の協力を得て、初の絵本コンクール『ハッピーえほん大賞』を開催する。
このコンクールの発表に先駆け、10月9日にマクドナルド総合研究施設「スタジオM」で発表会見が行なわれた。
6年で販売数が累計6000万冊となった『ほんのハッピーセット』
このコンクールは、マクドナルドの子ども用メニューとして提供している『ハッピーセット』の中で、えほんや図鑑の販売が累計6000万冊に達したことを機に企画されたもの。
マクドナルドのハッピーセットは「子どもたちをハッピーにしたい」という思いから1987年に『お子さまセット』としてスタート。その後、人気メニューとして『ハッピーセット』と名称を変えながら、『ほんのハッピーセット』のプログラムは2018年から始まった。
『ほんのハッピーセット』が登場してから現在までの6年間で発売されたオリジナルのえほんやミニ図鑑の種類は累計80種類以上。通常のえほんや図鑑よりもコンパクトなサイズながら、すでに多くの作品を発表している人気作家たちが手掛けているということもあり、本格的な本としての評価も高い。
日本マクドナルドマーケティング本部ナショナルマーケティング部の西脇大樹部長
発表会見で最初に登壇した日本マクドナルドマーケティング本部ナショナルマーケティング部の西脇大樹部長によると、「2024年度は1000万冊を配布する見込み」だという。西脇氏も3人の子どもたちと店舗に出かけた際には、『ほんのハッピーセット』を楽しんでいると話す。
「手軽に持って行けるし、汚してもそんなに心が痛まないということもあって、親子の時間を作っていくのに役に立っている」と人気の理由を分析しつつ、「子どもの新しい一面を知ることができた」、「マクドナルドのほんがきっかけで子どもが本にハマり、本屋さんで本を購入した」といった声が寄せられていることを明かした。
ハッピーセットに「ほん」を提供する小学館の思い
今回の『ハッピーえほん大賞』にも協力するのは小学館。
小学館第二児童学習局の村松 茂児童創作編集長は、コンクールのポイントを3つ挙げた。
一つ目は年齢に関係なく、誰でも応募できること。応募作品のテーマは「自由」。一般部門と中学生以下の子ども部門があり、未発表のものであれば、合作や共作も応募できる。
例えば、子どもが書いた文章に親が絵をつけてもよいし、きょうだいで話し合って一つの作品を作り、応募することもできる。もちろん、自分だけで作った渾身の一作で応募するのもよい。
二つ目は一般部門でグランプリとなると、『えほんのハッピーセット』として日本中の子どもたちの元へ届けられること。小学館の編集担当が付いて制作を手伝いながら、作品を世の中に発表できる。
自分が書いた絵本が多くの人の手に渡り読んでもらえることは、作家にとって何よりうれしいこと。プロの編集者が制作に入りながら、絵本作家としてデビューするチャンスを掴むこともできる。
そして三つ目は、コンクールの審査員に、絵本作家の鈴木のりたけ氏と、絵本作家で美術家のザ・キャビンカンパニー阿部健太朗氏、吉岡紗希氏の3人が名を連ねていること。
鈴木のりたけ氏は『ぼくのトイレ』や『しごとば』シリーズの著者。近年は子ども目線でのピンチの数々をまとめた『大ピンチずかん』がヒットし、話題となった。
絵本の仕事への第一歩はコンクールだったという鈴木氏は、「先にやられた!くやしーと思うような作品を期待」しているとのコメントを寄せている。
また、ザ・キャビンカンパニーの阿部健太朗氏と吉岡紗希氏は、『がっこうに まにあわない』 『ゆうやけにとけていく』などの著作を持つ。2人ともに大分県出身で、廃校をアトリエにし、絵本や立体造形、アニメーションを生み出している。
阿部氏と吉岡氏も「絵本は人間が生まれて最初に読む本です。この企画を通じて、人間の心底に残り続ける新たな絵本が生まれることを心待ちにしています」とコメント。また、「絵本の泉にどっぷりと浸かりましょう」とも。
小学館で絵本の編集に携わる村松氏は「先生方に最初にお聞きするのは、『何が書きたいですか』ということ。何より書きたいと思う気持ちを大切に」と応募する際の心構えを語った。
NON STYLE 石田明さんがスペシャルサポーター
発表会見の最後には、このコンクールのスペシャルサポーターNON STYLE 石田明さんが登場。石田さんは絵本シリーズ『ノンタン』のミュージカルやハッピーコンサートの脚本演出を手がけるほか、2023年にはクラウドファンディングで絵本『びんぼうがみの子』を出版している。
双子を含む3人の父親だという石田さんは「子どもたちに本を読み聞かせする機会が増えることで、絵本の中にある差別的な表現や恐ろしい表現が気になった」といい、それが自身で絵本を出版しようと思ったきっかけと話す。
週休2日制を会社に直訴したという石田さんは、子どもとの触れ合いの時間に豊かさを感じているそうだ。「パパとしての特別なスキルがなくても、絵本を読み聞かせることで子どもたちは集まってきてくれる」といい、子どもと交流するうえで絵本はとても大切なアイテムだと話す。
また、絵本を読み聞かせるうちに、子どもたちにも変化が見られたそうだ。最初は楽しい気持ちだけだったものが、自分なりの考えを持てるようになり、今では好みに合わせて自分で本を選ぶようになったという。それが子どもたちの成長を感じられる一つの機会となっているのだそう。
会見では石田さんがこのコンクールのために作ったオリジナルの絵本も披露された。
石田さんは最後に、絵本を制作する際「身近にあるものに魂を宿らせる」ことでそのアイデアを得ているとのネタ明かしもした。その日、思ったこと、感じたことを思いついた順に話していくうちに、想像力が共有でき、いつのまにか物語になっていくというのが石田さん流だ。会見で発表された絵本も家族旅行で行った石垣島のヤドカリが主人公となったようだ。
本離れが憂慮されるなかで
本離れがさけばれている昨今、マクドナルドの『えほんのハッピーセット』は子どもたちが本に親しむ、貴重な機会となっている。また、本屋の店舗数が縮小傾向になる中、ハッピーセットで偶然に手にする絵本との出会いは、子どもにとっても、その家族にとっても一つの奇跡といえるだろう。
「絵本づくりでワクワクしてほしい」という石田さんのことばが心に残った。多くの家族へ奇跡の出会いを届ける一冊は、どんなストーリーになるのか今から楽しみだ。
■『ハッピーえほん大賞』概要
応募テーマ:自由
募集内容:未発表の手づくりえほん(過去1年以内に制作したもの)
一般部門(年齢制限なし);8ページ(4見開き)
子ども部門(中学生以下);2ページ(1見開き)~6ページ(3見開き)
応募期間:2024年11月30日(土)~2025年1月15日(水)
詳細は以下のサイトで確認
https://www.mcdonalds.co.jp/family/happyset/book/story-book-contest/