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FDA認可で業界激震!? AirPods Pro2に搭載される「ヒアリング補助機能」が拓く未来

2024.10.22

最新ガジェット考察  AirPods Pro2の「ヒアリング補助機能」

Appleは2024年9月12日、AirPods Pro 2に搭載された「ヒアリング補助機能」が、アメリカのFDA(食品医薬品局)から正式に認可されたことを発表しました。これにより、AirPods Pro 2は軽度から中等度の聴覚障害を持つユーザー向けに、ヒアリング補助機能を果たすデバイスとして新たに位置づけられます。この発表は、補聴器業界にとって大きな衝撃であり、技術革新と価格競争の激化が予想されます。このサービス自体は秋から提供開始とのことで、新たな需要の開拓が期待されます。

AirPods Pro 2のヒアリング補助機能と市場への影響

「ヒアリング補助機能」を搭載したAirPods Pro 2がFDAの認可を受けたことは、テクノロジー業界と医療業界にとってエポックメイキングな出来事です。AirPods Pro 2は既に人気のあるワイヤレスイヤホンですが、この「ヒアリング補助機能」の追加により、補聴器市場に大きな影響を与えることが期待されます。

従来、補聴器は高価で医療機器としての規制も厳しかったため、一般消費者が手に入れるのは容易ではありませんでした。しかし、AirPods Pro 2は既に幅広いユーザーに使用されている製品であり、価格的にも手の届く範囲にあります。

編集部注:日本国内において、「補聴器」は管理医療機器として一定の基準をクリアする必要があります。一部「補聴器」という表現の記事などもありますが、本記事ではAppleのリリースに合わせて「ヒアリング補助機能」として記載します。

「ヒアリング補助機能」のテクノロジーとその特徴

AirPods Pro 2の「ヒアリング補助機能」は、Appleの卓越した音響技術をベースにしています。ユーザーは、このデバイスを通じて音声を増幅し、背景のノイズを軽減することができ、聴覚障害を持つユーザーがより自然にコミュニケーションを取ることが可能となります。さらに、この機能はAppleのエコシステムに組み込まれており、iPhoneやApple Watchとシームレスに連携することが可能です。これにより、ユーザーは複数のデバイスを連携させ、日常的な健康管理や聴覚補助の機能を最大限に活用できます。

株価と業界への影響

Appleの補聴器市場への参入は、既存の補聴器メーカーにとって競争激化の大きな要因となっています。FDAの認可後、大手補聴器メーカーの株価は一時的に下落を経験しました。これらの企業は、Appleが市場に投入した低価格かつ多機能な補聴器に対抗するために、技術革新を進め、より高度な医療サービスを提供する必要に迫られています。

一方、Appleの株価はAirPods Pro 2の「ヒアリング補助機能」の発表後、上昇傾向にあります。Appleは、「ヒアリング補助機能」だけでなく健康管理機能を搭載した製品群を提供しており、今後も医療機器分野への進出を強化していくと予測されています。特にAppleが提供するサービスは、既存の補聴器メーカーよりも大規模なユーザーベースを抱えているため、市場に与える影響は計り知れません。

補聴器市場の未来

今回のAppleの「ヒアリング補助機能」の認可は、補聴器市場全体に対する新たな時代の到来を示唆しています。従来の補聴器は、医療機器としての規制が厳しく、購入が困難で高額でしたが、AirPods Pro 2はその障壁を打ち破り、誰もが手にしやすい補聴器として市場に登場しました。これにより、補聴器市場は今後、価格競争と技術革新のスピードを加速させることが予想されます。

加えて、Appleがこれまでに培ってきたテクノロジーと医療の融合によって、より多くの消費者が健康管理の一環としてスマートデバイスを活用できる環境が整いつつあります。例えば、Apple Watchの心電図機能や血中酸素濃度測定機能のように、AirPods Pro 2も単なる音響デバイスから、医療サポートデバイスとしての役割が拡大していくでしょう。

改善点と今後の展望

とはいえ、AirPods Pro 2の「ヒアリング補助機能」は万能ではなく、現時点でユーザーのニーズを完全に満たすわけではありません。従来の補聴器と比べて、精密なカスタマイズや専門的な調整ができるかどうかは課題の一つです。現状、軽度から中等度の聴覚障害を持つユーザーには有用ですが、重度の聴覚障害者に対応するためには、さらに高度な技術が必要となるでしょう。

今後、Appleはこの分野での技術開発を続け、より広範なユーザー層に対応する製品を提供することが期待されます。

競合他社の動向と戦略

ここでは大手補聴器メーカーである3社の動向をみていきます。

スイスの補聴器メーカー「Sonova」は、AI技術を活用した次世代補聴器の開発に力を入れており、ノイズ抑制や自動調整機能の高度化を図っています。彼らはまた、リモートケアプラットフォームを導入し、ユーザーが自宅で簡単に補聴器を調整できるようにするなど、Appleにはないサービス面での強化を進めています。

デンマークの補聴器メーカー「Demant」は、デジタルヘルスケアに焦点を当て、ユーザーの健康データを活用した個別化医療の提供を目指しています。特に聴覚テストから調整まで一連の流れをデジタル化し、専門家による調整の精度を高めることに注力しています。

米国の補聴器メーカー「Starkey」は、補聴器の小型化とデザイン性に力を入れており、スタイリッシュなデバイスや最新AI補聴器の開発をするなど、補聴器業界の先駆者としても知られています。また健康モニタリング機能の統合を強化し、聴覚補助だけでなく全体的な健康管理を目指す製品ラインを拡充しています。

これらの企業は、AppleのAirPods Pro 2が補聴器市場で急速に勢力を拡大することが想定される中、従来の補聴器技術に付加価値を提供することで差別化を図る必要があります。テクノロジー企業と医療機器企業の競争が激化する中で、補聴器の次世代モデルやデジタルヘルスケアの提供が重要な戦略となるはずです。

結論:新たな補聴器の時代へ

AppleがFDAの認可を受け、AirPods Pro 2に「ヒアリング補助機能」を搭載したことで、補聴器市場は大きな変革期を迎えています。これまで高価で専門的なデバイスとして扱われていた補聴器が、より多機能で手軽に入手可能な製品へと進化し、ユーザーにとっての選択肢が広がりました。

今後もAppleは、テクノロジーと医療を融合させた新たな製品を開発し続けるでしょう。

この変化は、単に補聴器市場だけでなく、広く医療デバイス業界全体にも波及する可能性があり、Appleの動向は引き続き注目されるべきポイントといえるでしょう。

何より、世界保健機構によれば世界では約15億人が難聴を抱えており、聴覚に影響を及ぼす可能性のある騒音の中で3人に1人が暮らしていることを考えれば、AirPods Pro2の「ヒアリング補助機能」がもたらす影響は今後拡大していくと考えられます。

文/鈴木林太郎

【参考文献】
https://www.apple.com/jp/newsroom/2024/09/apple-introduces-airpods-4-and-a-hearing-health-experience-with-airpods-pro-2/
https://www.sonova.com/japan/ja
https://www.demant.com/
https://www.starkeyjp.com/

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