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今こそ発想を変えるチャンス!見落としがちな「日本のグローバル株」という選択肢

2024.10.15

「世界株インデックス」への投資が引き続き人気を集めている。少しでも高いリターンをあげたいと願う投資家からすれば、あまり高い成長が期待できそうもない日本よりも、海外に活路を見出そうとするのはある意味当たり前なのかもしれない。

そんな「世界経済の成長に投資したい」と考える投資家が見落としがちなのが、「日本のグローバル企業(株)」という選択肢。

今回は三井住友DSアセットマネジメント チーフグローバルストラテジスト・白木久史 氏から〝日本のグローバル株〟という視点でのリポートが届いているので、その概要をお伝えする。

画像はイメージです

元祖グローバル企業「コカ・コーラ」

米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の最も成功した投資先の一つとされるのが、世界最大の飲料メーカーといわれるコカ・コーラ社だ。コカ・コーラはその高いブランド力と類を見ないグローバル展開力が特徴で、現在は北朝鮮とキューバを除く全世界200か国以上で販売されている。

ちなみに、現状では世界株インデックスの投資対象は先進国23か国、新興国24か国の計47か国であることからも、コカ・コーラのグローバルな事業展開力のすさまじさがわかる。

■投資家を悩ます新興市場「あるある」

こうしたコカ・コーラに代表されるグローバル株投資のメリットは、わずか1社で広い世界経済をカバーしているため、間接的に新興国・地域の伸び盛りのビジネスに自国通貨で投資ができることだ。

例えば、米国人はコカ・コーラ株のような米国のグローバル企業に米ドルで投資をする場合、(1)為替リスク、(2)世界各国の複雑な規制・税制、(3)英語での適切な情報開示の有無、(4)十分な取引ボリューム・流動性の確保、といった諸問題に悩まされることがない。

そして、こうした新興国市場投資の「あるある」に煩わされることなく、アジア、中南米、アフリカといった成長地域のビジネスに投資をすることができるのだ。

コカ・コーラ株の長期間にわたる素晴らしいリターンは、こうした「世界中の成長機会」への投資の成果と言えそうだ。

「灯台もと暗し」日本のグローバル企業

こうした「グローバル株」は、私たちの身近にも見つけることができる。

例えば、日本の基幹産業である自動車業界には多くの「グローバル企業」がひしめき合っていて、主要各社は高成長の国・地域を中心に積極的な海外展開を進めている。

その代表格であるトヨタ自動車(以下トヨタ)は、2023年に年間約1000万台超の自動車を世界で販売しているが、日本国内向けは僅か約160万台程度に過ぎない。

米国をはじめとする世界170以上の国・地域で広く販売されているのだ。

■米国に集中する世界株インデックス、世界に分散するグローバル企業

一方、世界株インデックスの投資先は資本市場の発達した47か国に限られ、その国別ウエイトの64%超が米国に集中している。

これは、世界株インデックスの国別配分が市場の時価総額で決まるためで、過去に大きく成長してきた米国株のウエイトが大きい一方、今後の成長が期待される新興国のウエイトはどうしても小さくなってしまう。

こうしてみると、将来の経済成長の恩恵を受けたいのであれば、世界株インデックスよりもバランス良く成長市場に展開するグローバル企業の方が優れている可能性がある。

■為替リスクは「グローバル株<世界株インデックス」

また、為替リスクという観点からも、グローバル株への投資には有利な点がありそうだ。

というのも、世界株インデックスはそのほとんど(除く日本株部分)が米ドルを中心とした外貨建てとなるため、為替リスクと背中合わせとなっているからだ。

このため、市場が不安定化する「リスクオフ」の局面では、株安と円高がダブルパンチとなり、投資家は思わぬ痛手を被ることも少なくない。

一方、日本のグローバル株への投資は円建てであるため、投資家は直接的には為替リスクを負うことがない。

そして、わたしたちに代わり海外ビジネスに付随する為替リスクを負っているグローバル企業は、海外生産や外貨建ての借り入れを増やしたり、海外ビジネス全体の通貨ポジションを為替予約やデリバティブ取引でヘッジすることで、そのリスクを巧みにコントロールしている。

このため、外貨建て資産を為替ヘッジ無しで保有する世界株インデックスと比べて、グローバル株への投資により生じる為替リスクはよりマイルドになる傾向がある。

トヨタに見るグローバル企業のパフォーマンス

日本を代表するグローバル企業ともいうべきトヨタの業績は、日本の経済成長だけでなく世界経済の伸びを上回って推移している。

2013年末以降の10年間では、日本の実質GDPは年率+0.5%、世界の実質GDPは同+3.1%(米ドル建て)のペースで拡大しているが、この間トヨタの営業利益は同約+8.9%の増加、米ドル建てでも同約+4.7%の増益となっている(図表3)。

高い成長を背景にトヨタの一株当たり利益(EPS)も、2013年度の115円6銭から、2023年度には同365円94銭と約3.2倍に増加。世界株インデックスのEPSの増加率(同約1.5倍)を凌駕している。

こうした業績の好調を反映して、トヨタの株価は世界株インデックスに遜色ないパフォーマンスを続けている(図表4)。

もちろん、個別株への投資ですから相応の変動リスクを負うこととなる。

例えば、今年度のトヨタ株は、検査データの偽装による生産の一時停止や急激に進んだ円高への懸念などから、調整局面にある。

とはいえ、今後もバランス良く世界に事業を展開させ、世界経済を上回るペースで業績拡大を続けることができるのであれば、トヨタ株のパフォーマンスは長期的には引き続き世界株インデックスを凌駕する可能性がありそうだ。

■まとめに換えて

世界株インデックスへの投資が人気だ。米国株を中心に海外の株式市場に広く投資できる世界株インデックスは、とても便利な投資対象の一つ。

一方で、「世界経済に投資をして成長の果実を得る」という観点からは、大きな為替リスクを負わず日本円で投資ができる日本のグローバル企業(株)は、ユニークかつ有望な投資機会として考えられる。

もちろん、投資の成否を決めるのはその企業の成長性や競争力であることは指摘するまでもないが、成長地域を中心にバランス良くビジネスを展開するトヨタのようなグローバル株は、わたしたちにとって有力な選択肢と言えるだろう。

◎個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

関連情報
http://www.smd-am.co.jp

構成/清水眞希

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