昨今、世間を賑わせているカメムシの大量発生。夜、灯りに大量のカメムシがやってきている姿を見たことがある方も多いことでしょう。僕のようなカメムシ好きにとっては嬉しい光景ですが、カメムシが苦手な方にとってはこれ以上ないくらいの嫌なことだと思います。今回はどんなカメムシが大量発生しているのか? 大量発生の理由、そしてカメムシ対策の方法について解説します。
大量発生しているカメムシとは?
一言でカメムシと言っても、日本には何と約1400種ものカメムシが生息しています。多種多様で、実は夏の風物詩・セミや水の中で暮らすタガメもカメムシの仲間なのです。ここでは、そんな中から最近大量発生しているカメムシ3種類を紹介します。きっと、見たことがあるカメムシもいるはずです。
(1) ツヤアオカメムシ
1.5cmほどのカメムシで、ツヤのある緑色の体をしています。様々な植物の実の汁を吸う習性があり、大量発生すると大きな被害を引き起こします。灯りに集まる習性がかなり強く、家の灯りにも大量にやってくるため、見かける機会はとても多いカメムシです。
(2) チャバネアオカメムシ
1~1.2cmほどの小さなカメムシで、緑色の体に茶色い翅を持つのが特徴。ツヤアオカメムシ同様にいろいろな実の汁を吸い、夜の灯りにも大量にやってきます。
(3) クサギカメムシ
1.3~1.8cmほどのカメムシで、茶色い体をしています。様々な植物の茎、葉、実から汁を吸います。家の中に侵入してくることもあり、多くの方が一度は見たことがあるはず。〝最も臭いカメムシ〟とも言われています。
カメムシが大量発生する理由
カメムシの大量発生の理由を説明する前に、まずはカメムシが1年間、どういう暮らしをしているかについて知る必要があります。ここでは代表的な例としてツヤアオカメムシについて紹介しましょう。
春、成虫が越冬から目覚めると、様々な植物の汁を吸うため、被害をもたらします。そして、スギやヒノキなどがたくさん生えている場所に移動し、産卵。ここで、冬を越した成虫は死にますが、卵から生まれた幼虫はスギやヒノキの球果を食べて成長し、秋には人間が生活する場所にも現れるように……。寒い冬がやってくると、葉っぱの裏などで越冬します。
そんな一年を送っているわけですが、大量発生のポイントは2つあります。
1つ目は幼虫が食べるスギやヒノキの球果がたくさんできると、より多くの幼虫が成虫になることができるということです。成虫になると翅を使って飛ぶことができるようになるため、街に大量の個体が現れます。
2つ目は地球温暖化の影響で冬が暖かくなってきていることです。成虫で冬を越していても全ての個体が冬を乗り切れるわけではなく、冬の寒さに負けて死んでしまう個体もいます。しかしながら、暖冬により、より多くのカメムシが冬を乗り越えることができているため、目にするカメムシも増えていると考えられます。
大量発生している理由には以上のようなことが考えられていますが、実はまだ分かっていないことも多くあります。