過酷な環境に晒されているビジネスパーソンの悩みは深い。だが、日々の課題の中にこそ人生を豊かにするためのヒントが詰まっている。異色の経歴を持つVTuberが、今回は話題のSNSトラブルについて答えます!
SNS炎上への処方箋
先日とあるタレントさんが、芸人さんのSNSの投稿に「死んでくださーい」と引用返信した件です。タレントさんの行いが許されないのは当然ですが、無関係の人たちまでSNS上で怒っているのが不思議です。失言したタレントさんを追い詰めたいのでしょうか?
【結論】別に怒っているわけではなく、叩ける相手を見つけて叩いているだけ
多くのSNSの炎上は気にするほどじゃない
質問の前提となる事実を知らない人もいると思うので、私の把握している範囲で概要をおさらいしておきます。
人気芸人さんがX(旧:ツイッター)にポジティブなメッセージを添えて文章を投稿したところ、それにYouTubeタレントさんが「死んでくださーい」といった聞くに耐えない暴言を引用返信したというものです。その投稿はすぐに削除されましたが、投稿を目撃していた多くの方たちによって拡散され、炎上しました。
ここ数年、「不意の言動」や「個人間のやり取りでのトラブル」がSNSという表の場に漏れ出てきて衆人の裁きを受ける様子を見る機会が多くなりましたよね。今回に限らずですが、「誹謗中傷」したことは非難されたとしても、それを飛び越えて人格否定したり、過去を掘り返して憶測で〝叩く〟ことはもはや暴力行為です。にもかかわらず、ネット上にはなんとかして自ら敵を作り出して、叩くことに情熱を注ぐ人がいる。限られた人生をそんなことに注げる人が、ある意味で羨ましいです。
ネット炎上や誰かの不祥事なんて、その大多数は私たちの生活に影響を及ぼさない「どうでもいいこと」であり、誰かの失敗や炎上を反面教師として活かすならまだしも、誰かに執着するのは本当にムダなことです。
それにしても、相手に怒声を浴びせたりするような人たちの声は表に出てきやすい……結果として、〝みんな〟が怒っているように見えてしまいます。その様子が「日々の生活に不満を募らせている人」に見つかってしまうと、ストレス発散のためにその炎上に油を注いで……さらに大きな炎上となる。最近、死ぬほどよく見ますね。
ちなみに、私のYouTube配信でこういった説明をした時に「何も批判するなということか!?」という的外れなコメントをいただいたことがあります。私の言いたいのは「言わなきゃいけないことは言ってもいい」けど「言わなきゃ気が済まないことは言わないほうがいい」ということです。この違いさえわかれば、SNSと距離を置いて楽に生活できると思います。
死ぬまで人を追い詰めてしまう「多様性」ってなんなんだ?
さて、質問に戻りましょう。死ぬまで追い詰めるつもりなのかといえば、そんなつもりないと思います。仮に相手が本当に亡くなったとしても、「中傷されるようなことをする人がそもそもが悪い」とか適当な言い訳をして投稿やアカウントを消したりするでしょう。これは実際にあったことで、私が誹謗中傷を受けて発信者情報開示請求を実施した際にも言われました。この国は経済的には豊かになりましたが、代償として心が貧しくなったような気がしますね。
他方で、先進国を中心に「多様性」「寛容さ」の重要性が叫ばれるようになりました。しかし、結果はどうでしょう。多様性の尊重を謳う人が意見の異なる人を排撃しようとしたり、寛容さを求める人が他者に不寛容な態度を示したり……価値観や態度に正解はないはずで、法律の下でそれっぽいふわっとした正解に従って生きているだけの私たちには、まだまだ難しいことです。そもそも、多様性と寛容さがどうあればみんなが幸せになるのか、正解は見えません。そのもやもやから、反発したくなる人が増えてしまっているのかもしれませんね。
まぁ……本当にカオスです。だからこそ、常に視点を自分に向けて、自分の人生の向上のために自分の資源を有効活用できるようにならないといけないと思います。
自分と無関係な事件に怒るなんて時間のムダ。それよりも自分が幸せになるためにどうすればよいのかに時間を使ったほうがよっぽど有意義なのに……。