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【ヒャダインの温故知新アナリティクス】AIが怖いよ、でも一緒に生きていかなきゃね。

2024.10.20

AI

 AIの進化が爆速ですね。「ChatGPT-4o」になり精度もさらに上がりました。動画や音楽をあっという間に生成し、歌詞だけ入れたら歌付きでおしゃれなサウンドを叩き出してくれる世の中です。おいおい、これって手放しで喜んでいいのでしょうか。

 確かに労働力不足の現代、シンギュラリティでまかなえるものはお任せしちゃっていいのかもしれません。しかしなんか肌感としてね、みんなまだAIをなめてると思うんです。テレビCMでもAIに喋らせる、という表現のところではいまだに「ハイワカリマシタ、ゴシュジンサマ」的なロボ声の演出とかしてるし。いまやAIのお喋りは滑らかなアナウンサー声の方がしっくりくるはずなのにね。我々人類よりはるかに知能が高いAIはあくまで「人間の機能拡張」で、統べることができる下位のものと捉える神経が私にはわからないのです。

 さて、このコラムは温故知新がテーマですのでAIを取り扱った作品を思い返してみましょう。まずはスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』、なんと1968年の作品です。木星に向かう宇宙船ディスカバリー号のAI「HAL9000」が異常をきたし船員の任務を妨害しはじめる様子は底知れない恐怖感がありました。人間と対話できたHALはiPhoneのSiriを思い起こさせます。暇つぶしの会話相手として、Siriは最高! でも、万が一普段の会話やweb履歴などなどをディープラーニングしているとしたらおっかない話ではあります。そして乗り物を運転するHAL、私も愛用しているテスラの自動運転はまさに現代のHALの姿でしょう。そして、そこにエラーが起きると人間なんて簡単に死んでしまいます。まあ、まだ日本では自動運転がほとんど解禁されていませんが。

 HALが人間を排除しようというロジックになったのは「反乱」とはちょっと違うかもしれませんが、その後のアクション映画『ターミネーター』はしっかりAIが人類に反旗を翻し人類滅亡を企てるという1984年の作品。シュワちゃんのキャッチーなビジュアルもあり、SFアクションとして快活なイメージもありますが、結構ありえるお話ではあります。人類より知能が高いAIが人間に従属しなきゃいけない理由なんてないわけだし。何年後にはSFというか予見的なネオドキュメンタリーになってたらおっかないですよね。

AIは人間にとって下位の存在ではないかもしれない

 さらにいうと映画『マトリックス』はAIとの対決に敗北した人間が機械にエネルギーを供給する動力源になるという恐ろしい内容です。僕たちはバッテリーとしてAIに命を捧げる代わりにAIは仮想現実で嘘の世界を体験させてくれるという。このプロット考えた人エグいですよね。『ターミネーター』ではただ邪魔な存在だった人類をエネルギー源という下位の物に転落させるという発想がすごい。そう、序盤で私が危惧したようにAIは統べることができる下位の存在ではないかもしれないのです。

 21世紀になる前、すでにAIの危険性について警鐘を鳴らしていたハリウッド映画は、今となっては先見の明と言えるよな、なんて感じます。「AIといえば、ボス戦でザラキばかり唱えるドラクエⅣのクリフトでしょ」というファミコン脳はもう捨てなきゃいけない。ブライもメダパニばっかり唱えてたな。最新のドラクエはいいタイミングでベホマ唱えてくれますよ、僧侶職。そして2024年、作曲まで自動でされちゃった。私も廃業の可能性があるかもしれない。不安になったからChat GPTに聞いてみました。

 〈総括すると、AIの登場により作曲のプロセスは変化しますが、作曲家の役割がなくなるというよりは、新たな創造的なアシストツールとしての位置づけが強まると考えられます。作曲家は依然として、個性的な音楽を生み出す主体として重要な存在であり続けるでしょう。〉

ですって。ほっ、ひと安心!

文/ヒャダイン

ヒャダインヒャダイン
音楽クリエイター。1980年大阪府生まれ。本名・前山田健一。3歳でピアノを始め、音楽キャリアをスタート。京都大学卒業後、本格的な作家活動を開始。様々なアーティストへ楽曲提供を行ない、自身もタレントとして活動。

※「ヒャダインの温故知新アナリティクス」は、雑誌「DIME」で好評連載中。本記事は、DIME11月号に掲載されたものです。

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