10月1日に召集された臨時国会において、自由民主党の石破茂氏が第102代内閣総理大臣に指名された。石破首相は同日夜に記者会見を開き、「ルールを守る政治」「日本を守る」「国民を守る」「地方を守る」「若者や女性の機会を守る」などの方針を掲げ、政権運営に意欲を示した。
一方、最大野党である立憲民主党も9月23日に代表選挙を実施。候補者は野田佳彦元首相、枝野幸男元党代表、泉健太前党代表、吉田晴美衆議院議員の4名が立候補し、熾烈な争いとなった。
野田氏が決選投票で新代表に選出
代表選挙では、第1回目の投票で野田氏が267ポイント、枝野氏が206ポイントを獲得し、決選投票へ進んだ。決選投票では、野田氏が232ポイント、枝野氏が180ポイントを獲得し、野田氏が新代表に選ばれた。
これにより、野田氏は今後、立憲民主党を率いて次期衆議院選挙に臨むことになる。野田氏はどのような人物なのだろうか。
野田新代表は1957年に千葉県船橋市で生まれた。県立船橋高校を経て早稲田大学政治経済学部に進学し、その後、松下政経塾に入塾して政治の基礎を学んだ。1987年には千葉県議会議員に初当選し、1993年に衆議院議員として国政に初進出した。以降、国会対策委員長や財務大臣などの要職を歴任し、2011年に第95代の内閣総理大臣に就任した経歴を持つ。
選択的夫婦別姓制度の早期実現を表明
代表選挙を通じて、野田新代表は様々な政策を掲げてきた。たとえば、地域活性化策として「令和版国立農業公社」の創設を提唱し、就農を希望する人材に研修と給与を提供し、農業地域での雇用創出を目指している。また、憲法改正については「議論の余地がある」との立場を示し、全く変更を加えないとすることは適切でないとしている。経済政策では、消費税の半額を所得税額から控除し、そのうち一部を給付金として支給する「税額控除制度」を導入することを主張している。
また、選択的夫婦別姓制度の導入について「速やかに実現を目指す」と述べ、婚姻平等法の制定も訴えていた。
次期衆議院選挙に向けた展望
野田新代表は代表選に関する政策を発表した際、「近い将来、解散総選挙が行われることを見据え、今回の選挙戦は政権交代の前哨戦と位置づけた」と述べた。その予測は、10月15日公示、10月27日投開票での解散総選挙を表明した石破首相の表明により現実のものとなった。
もし総選挙が行われた場合、立憲民主党がどれだけ議席を伸ばせるかが注目されると同時に、他党の票動向も焦点となるだろう。野田代表は10月4日に代表就任後初の定例会見を行い、「政治の信頼回復」「企業・団体献金の禁止」「分厚い中間層の復活」「安定した外交・安全保障戦略」「超高齢社会に対応した確かな年金・医療・介護・福祉の充実」「子育て支援と教育の充実」「地域再生」の「7つの約束」を掲げ、次期衆議院選挙に臨む方針を示した。
翌日には新執行役員の人事が承認され、野田新体制の下で選挙準備が本格化している。有権者がどのような選択をするのか、選挙戦の行方に注目が集まっている。
文/小林英介