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「スラムダンク勝利学」の著者・辻󠄀秀一さんに学ぶ、人生がうまくいく〝ご機嫌マネジメント〟術

2024.10.12

ベストセラー『スラムダンク勝利学(集英社インターナショナル)』の著者であり、“人生の質=クオリティーオブライフ(QOL)”のサポートを志すスポーツドクターでもある辻󠄀秀一先生。

今回は辻󠄀先生の講演から一部抜粋し、人生の質を上げるためのメンタルトレーング=「ご機嫌」でいるための心の整え方について学ぶ。

不機嫌によって失っている人生の質

現在はメンタルトレーニングを専門とするスポーツドクターである辻󠄀先生だが、過去は内科医として目まぐるしい毎日を過ごしていたという。

「働きまくっていましたね。昭和生まれですし、大学までバスケットボールをやっていましたし、気合と根性、もう全てこれでやりくりしていました。勉強もスポーツも、そして仕事も。でもどこかで限界を感じていて、気合と根性だけでずっと働くことってできるんだろうか?と疑問に思うようになったんです」。

そんな頃、先生は人生を大きく変える映画と出会う。

「『パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー』というクラウンドクターの映画を見たんです。今でも年に何回も見るんですが、この映画はクオリティオブライフ、人生には質があるんだっていうことを強烈に謳っている映画で、それが刺さりましたね。

そして実際、彼が来日されたときに、「質を決めているのは自分自身の心の状態です」という話をされたんですね。そこで初めて、心が大事だということに恥ずかしながら30歳過ぎで気付かされました」。

そして辻󠄀先生はアメリカで進んでいる「応用スポーツ心理学」を学ぶ。その中でメンタルトレーニング、すなわち心を整えるトレーニングと出会い、今では数々のオリンピアンやアーティスト、教育関係者などをサポート。

「同じ1日でも落ち込んで過ごすとその日の質って落ちませんか? 不安なまま行動すると、同じ行動をしていても行動の質が落ちませんか? イライラして物事を考えていると考えている質が落ちますよね? むかつきながら誰かと話すとその会話の質が落ちますよね。

私たちの人生には思考の質や時間の質、行動の質、関係の質が確かに存在していますが、それらは目に見えないからあまり意識することがないんです。そしてその質は自らの心の状態が決めているということを皆さん、忘れているんです」。

人生の質が下がる「イライラ」や「怒り」、「不安」=「不機嫌」の正体

なぜ私たちは人生の質が低下してしまうストレスフルな生活や「不機嫌」な状態に陥ってしまうのか?

「生きるというパフォーマンスは二つの構成要素で出来ています。それは内容と質です。

皆さんは必ず何かをやっていますよね。手帳にはいつも予定を書いていますし、明日も朝からやる事がいっぱいあるはずです。そして自分のするべき内容を考えながら常に行動し続けています。

一方で私たちには心の状態もあって、それが自分自身のパフォーマンス、生きる質を決めているということを忘れがちです。だから内容だけに機嫌を左右されてしまう。

例えば、今私が何を話すかは皆さんには決められないですよね。でも思った通りの話じゃないと、せっかく来たけどつまらなかったってなりませんか? 天気が良かったらご機嫌で心が整ったわ、となるけれど、朝から雨も風も強くて自分の心は乱れっぱなしだったわ、となりませんか? 

これは、自分が機嫌よくいるかどうかは自分で決められるはずなのに、常に外によって自分の心を決めることが習慣になっているということです。すなわち、生きるというパフォーマンスの質が外によって決められているということでもあります」。

私たちはこのような思考の構造を持ちやすいとのことだが、当然、自分が願った通りのことがいつも起きるわけではない。

「だからストレスを感じて落ち込んだり、不安になったりイライラして、気が付くと僕たちは機嫌が悪くなっているんです」。

この不機嫌な状態、心が整わず、乱れ、ストレスフルな状態で行動をしてもその質は低く、私たちが願う「ウェルビーイング」からはかけ離れてしまうのだと辻󠄀先生は言う。

質の高い人生=「ウェルビーイング」に必要なのは、自分で自分の機嫌をとる能力

「僕たちは大抵、やらなければいけないことに追われ、他人や外のせいにしてストレスを溜めて、そして休みの日にどう発散するかをやっています。でも働いている時間も自分の人生の一部ですよね。ですから自分の心は自分で整えられて、ご機嫌に質の高い時間を過ごせるんだっていうこの可能性を手放すのは勿体無い。

私が関わっているオリンピック選手たちにだって審判のミスジャッジは起こるし、強い選手はいるし、飛行機で海外行ったときに荷物が届かなかったこともあるし、いろんなことが起きます。でもパフォーマンスを大事にするために、どんな所に行っても自分の心を整えて、ご機嫌にやるべきことをやるトレーニング、習慣、能力を身につけるんです。

自分の心を大事に整えて、「ご機嫌」でやるべきことをやる。これが出来ている人生こそが豊かな人生「ウェルビーイング」なんじゃないかなと思うわけです」。

ご機嫌でいるためのメンタルトレーニングとは思考の習慣でありスキルである

私たちは自分ではコントロールできない外に依存し、外によって自分の心を決めてしまう構造を持ちやすいからこそ、質の高い人生を送るために自分の心を整え、ご機嫌でいられる訓練をし、コントロールするスキルを身につけることが大切なのだ。

「メンタルトレーニングというのはすなわち思考の習慣をつけることです。これはスキルですから一回話を聞いただけではやっぱりできないんです。僕たちがお箸を自由に持って話しながらお蕎麦が食べられるのも、何回も使ったからですよね。

でも私たちはこのトレーニングをしないまま大人になってしまう。学校の保健体育や道徳の時間でも、人に優しくしなさいっていうのは教わりますけど、自分の心を自分で整えましょう、自分で自分の機嫌を取りましょうという授業はないですよね。

だから不機嫌の海の中にずっといて、「これさえ良くなれば」って考えて余計に疲れて。これではQOLは低いままですよね。ウェルビーイングじゃない」。

では、自分らしく「ご機嫌」でいるためのメンタルトレーニングとは具体的にはどういうものなのだろうか? 今すぐに実行できる2つの方法を教えてくれた。

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