10月16日は国連が定めた世界食料デーだ。国連食糧農業機関(FAO)が設立された日を記念して、世界中の人が食べ物について考える日として定められている。2024年は「食の権利を、よりよい生活と未来のために」というテーマのもと、さまざまなイベントが全国で開催される。
今年の食料デーを迎えた今、多くの人の「食」の記憶に、夏のコメ不足があげられるはず。日本人にとって大切な主食である米が、いとも簡単に店舗から消えてしまった。現在は治まったものの、価格は依然として高騰したままである。さらに、一部の人々の買占めが原因だったという報道もあり、不安に駆られた消費者にのみ、責任があるかのような印象を与えている。
日本の食料事情も安泰ではなく、さまざまな問題を孕み、脆弱だという認識が広まっている今こそ、食料に関して真剣に考えるチャンスでもある。最近はコメ不足を受けて農家が直接、SNSで情報を発信する動きも出てきた。食べ物に関する意識を高めることが、私の食料を守ることにつながる。
食料問題関連のイベントに参加しよう
FAOは10月から一か月間、食料問題を考える「貧困なくそうキャンペーン」を実施し、SNSを使った寄付やフードドライブ、チャリティショップでの購入による募金などを開催している。また、全国のNPOが独自で開催する食料問題に関する活動も増えてきた。
NPO法人TABLE FOR TWOはおにぎりに関する写真に「#OnigiriAction」をつけてSNSまたは特設サイトに投稿すると、貧困国の5食分の学校給食(100円)を協賛パートナーが提供してくれる取り組みを行っている。今年で10年目を迎える活動で、今年8月までに約1億8000万食の給食を貧困地域に提供した実績をもつ。
SNS投稿だけでなく、今年は東京ドームシティとWITH HARAJUKU(東京都渋谷区神宮前)で、リアルイベントも開催する。19日にWITH HARAJUKUで行われるイベントでは、おにぎりフォトスポットを設置するほか、 おにぎりモチーフのペーパークラフトを自由に工作できる。
また、都立工芸高校定時制ねぶた造形研究部による技法体験コーナーでは、工芸高校ねぶた部の生徒達が参加して、ねぶた技法が体験できるワークショップを実施するなど、楽しみながら食料問題を考えるきっかけを作ってくれる。
今回、おにぎりアクションのパートナー企業であるエプソンではオリジナルのおにぎりのデザインペーパーを提供するなど、企業の参加も目立ちはじめた。今回提供する、無料のデザインペーパーのダウンロードはこちらから。
ニコニコのり(大阪府大阪市)もおにぎりアクション2024に参画。来月16日までおにぎりと一緒に撮った笑顔の写真や海苔を使用したおにぎりの写真をニコニコのり公式InstagramまたはXをフォローして「#ニコニコのりとおにぎりアクション」(または#OnigiriAction)を着けて投稿すると、お米や同社新商品などをプレゼントするキャンペーンを実施している。
ハロウインも食を考えるきっかけに
認定NPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパンはハロウイン期間の今月、「ハロウイン・フードドライブ キャンペーン2024」を実施中で、学校や家庭、商店街などでフードドライブを呼び掛けている。合言葉は「Trash or Treat(ゴミ?それともごちそう?)」で、ハロウインのイベントと掛け合わせて子どもたちへの関心を呼び掛けた。
ユナイテッドピープルでは今月末まで、食料に関する映画を上映する。映画「もったいないキッチン」「0円キッチン」「グレート・グリーン・ウォール」の3作品を上映。作品を通じて、一人一人が食料問題を真剣に考えようと訴えている。
今年7月に発表された「世界の食料安全保障と栄養の現状2024」では地球上の全員が食べるのに十分な食料が生産されているにも関わらず、11人に一人が充分な食事を摂取できず、飢餓状態にあると指摘している。まずはイベントに参加して、日本の食料事情の現状に興味を持つことから始めたい。16日のランチタイムは「#世界食料デー」をつけて、SNSに投稿しよう。
文/柿川鮎子