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中国に依存しない供給網の構築が進む中、注目が集まる「LFP電池」の可能性

2024.10.22

LFP電池

 持続可能な社会実現へ向けた技術競争が激化。エネルギー貯蔵技術も例外ではない。戦略物資としての車載EV電池の存在感が一層高まっている。

 現在、EV電池の主流は三元系リチウムイオン電池(NMC)だが、NMCはニッケルなどレアメタルの使用を前提としており、環境汚染や有害な労働条件が伴う。また、レアメタルの主産国がロシアであることから生産コストも高騰している。そこでバッテリー性能に劣ることから〝枯れた技術〟と呼ばれたリン酸鉄リチウム(LFP)電池に脚光。構造や配合物を見直して性能を高めた新型LFP電池が次々登場し、主役交代が急速に進む。

 だが、資材の供給面で課題は残る。負極に使われる天然黒鉛をはじめ、EV電池を構成する主要4部材のすべてで80%以上のシェアを誇るなど、中国は圧倒的な立場にある。そこで日本の自動車メーカーはLFP電池の主要材料を国内企業から調達する方針を発表。並行して日産自動車とホンダは国内に試作ラインの建設を計画、トヨタ自動車は出光興産と協業し、次世代EV電池と目される全固体電池の実用化へ向けてアクセルを踏む。日本勢の反転攻勢ひいてはお家芸の復活に期待が集まる。

【DIMEの読み】
黒鉛などを外交カードに用いる中国に対し、日本と欧州連合が連携。車載EV電池の覇権争いは世界規模で進む。リサイクル性を含めた次世代技術でいかに先行できるかが、覇権奪回のカギを握る。

トヨタが開発を進めるバイポーラ型LFP電池

LFP電池2026~2027年に実用化を目指す次世代電池。『アクア』の新モデルに搭載されたニッケル水素電池の構造を応用したもので従来比約2倍のエネルギー密度を見込む。

LMFP電池の想定用途

LMFP電池の想定用途中国EV電池大手Gotionは一充電距離の長いリン酸マンガン鉄リチウム(LMFP)電池を年内に量産化予定。日本の太平洋セメントが2025年頃の量産化を掲げ、追従。

取材・文/渡辺和博

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