音楽の多様な楽しみ方を提案するスピーカーが増えている。中でもユニークなのは、熊本県八代市の「八代産畳表認知向上・需要拡大推進協議会」が日本音響研究所と共同で開発した『畳スピーカー TTM-V20』だ。
畳スピーカーとは?
「1畳の畳に振動スピーカーを4基搭載しています。畳の上にゴロ寝をすると全身で音と振動に浸れる〝ボディソニック搭載畳〟です」(八代市農林水産部・フードバレー推進課の小林和也さん)
製品にはBluetooth対応アンプ(出力200W)が付属。スマホなどの音源をBluetooth経由でワイヤレス受信して再生できる。
八代市は、畳表の原料となるイ草の栽培面積と畳表の生産量で日本一を誇る。しかし、住環境の変化などで生産量は年々減少。今では全盛期のわずか4~5%にとどまる。2019年に八代産イ草・畳表の再興を目指して同協議会が発足され、その第1弾商品として2021年に『畳スピーカー』の開発が始まったという。
2022年には「鼓動する畳」のネーミングでプロトタイプを製作。全国各地で体験会を行なったところ、企業やユーザーの反応に手応えを感じ、約1年で製品化に漕ぎ着け、今年7月から正式に一般販売をスタートした。
「畳の上に寝転んだ時、体の接触する部分から音を感じるように振動スピーカーを配置していることから、映画館のような臨場感を味わえるという反響が多く、畳ベッドとして使いたいという声もいただいています」(小林さん)
すでにシアター施設などから導入についての問い合わせがあり、今後は温浴施設の休憩所などにも導入を働きかけていく予定だ。
「『畳スピーカー』を通じて、より多くの人に八代産の畳の触り心地や香りの良さを知っていただきたいですね」(小林さん)
『畳スピーカー』のような新提案はオーディオ業界で加速中だ。ゲーミングシートに組み込んだものや、スピーカー搭載のショルダーストラップも登場。音楽の聴き方の自由度は確実に広がっている。
【DIMEの読み】
『畳スピーカー』は現状、アンプなどを作動させるために外部電源へつなぐ必要があり、配線面にはまだまだ課題も。充電式にするなど、使いやすく進化できるかが、普及のカギになりそうだ。
YATSUSHIRO TATAMIx『畳スピーカー TTM-V20』
低音域が体に伝わって臨場感豊かなリスニングを楽しめる〝鼓動する畳〟。熊本・八代産畳の高いクッション性とリラックスできる香りも特徴だ。サイズはW1760×H 880×D55mm。販売は山中産業が行なう。27万4780円。
4基の振動スピーカーが体にサウンドを伝える
体が接触する部分に90mm径のスピーカーが4基組み込まれている。畳にあるケーブルを付属のアンプに接続し、ACアダプターから電源を供給する仕組み。
畳以外でも、全身を音で包む音響機器も続々商品化
パイオニアとレカロが共同開発した音場体感シート。シート全体から立体的なサウンドを再生する。10月1日発売予定。
氷川音響研究所の『fuiigo』。重低音に振動と揺れを加え、映画館のような重厚感を再現。7万円。
取材・文/安藤政弘
※音場体感シートの写真はイメージであり、同製品は共同特許出願中。
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2024年8月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。