子どもの頃、誰もが抱く将来の夢。その“将来”との距離が縮まり、モラトリアムの終わりに備えて少しずつ夢から現実を見始めて、なりたい職業や就職したい業界を具体的に考えるのが高校生の頃と言えるだろう。
では、イマドキの高校生はどんな業界で働き、また、どんな職業に就きたいと考えているのだろうか?
高校生の就職を支援している「ジンジブ」はこのほど、高校1年生~高校4年生(※4年生は定時制課程)1,690人を対象に「なりたい職業」をテーマにしたアンケート調査を実施し、その結果を発表した。
働きたい業界ランキング、1位は「製造・ものづくり業界」
2024年の現役高校生が選ぶ「働きたい業界ランキング」の結果では、「製造・ものづくり業界(16.1%)」が最も多く回答を集めた。次いで2位は「サービス業界(13.2%)」、3位は「宿泊・飲食・観光業界(12.9%)」となり、接客や人と接する業界に人気が集まった。続けて、「建設・建築業界(8.6%)」と「医療・福祉業界(7.5%)」と「IT・通信業界(7.4%)」がそれぞれ上位に入った。
1位の「製造・ものづくり業界」を選んだ理由には、「ものづくりが好きだから」「ものづくり自体に興味があったから」という回答が多く、ものづくりに対する興味があることを理由にあげる高校生が見られた。
2位の「サービス業界」を選んだ理由では、「サービスにも多様なものがあり、興味深かった」「人と関わる仕事がしたい」「楽しそう」という意見が多くあった。3位の「宿泊・飲食・観光業界」には、「ホテルのスタッフの振る舞いが素敵で良い印象を持った」という声や、「飲食が好きだから」「将来経営してみたい」「人の笑顔をつくりたい」という声があがった。
4位の「建設・建築業界」には「やりがいがありそう」、5位の「医療・福祉業界」には「人の役に立ちたい」「医療・福祉に興味がある」。「IT・通信業界」には「パソコンを触るのが好き」「プログラミングに興味がある」などの声があった。
なりたい職業ランキング、1位は「接客職」
2024年の現役高校生が選ぶ「なりたい職業ランキング」の1位は「接客職」となった。その背景には、高校生がアルバイトを通じて接客業務に触れる機会があり経験を生かせると感じる点や、「人と話すこと、接客が好き」という点からも興味が高いことがわかる。2位は「ものづくり職人」だった。ものを作る楽しさや面白さに魅力を感じるという意見が目立った。
前回の調査ではランク外だった6位の「調理師」は、料理をすることが好きであったり、日常的に調理をする機会があることから、魅力を感じているようだ。一方、7位の「公務員(警察・消防・自衛隊・市役所職員・教師など)」については、「安定した生活が送れそう」「安定した収入が望める」という声が上がった。「公務員」が安定志向の象徴として人気を集めているのは、2024年の不安定な社会経済状況が背景にあると考えられる。
高校生にとって、これまでの経験の中で、好きなことや興味のある分野であること、人と関わることや笑顔をつくること、誰かの役に立つことなど貢献の心が、「働いてみたい」という意欲につながることが読み解れる。
進路を選択する上で不安なこと、「希望通りの進路に進めるか」「自分のやりたいことが見つかっていない」が上位に
進路を選択する上で不安なことを聞いたところ、「希望通りの進路に進めるか不安」と回答した高校生が35.7%となった。次いで「自分のやりたいことが見つかっていないこと(29.2%)」、「自分の向いていることが見つかっていないこと(26.7%)」という結果になった。
「自分のやりたいことが見つかっていない」ことや、「自分の向いていることが見つかっていない」ことの不安要素が高いのは、自己理解やキャリアビジョンの明確化が不足していることが原因と考えられる。これらの結果から、高校生が進路選択をする際には、自己理解を深めること、社会について理解を深めること、世の中の仕事を知ることが重要だと考えられる。
<調査概要>
調査期間:2024年5月9日~6月21日
調査方法:ジンジブ主催の職業体験イベント「おしごとフェア」に来場した高校生にアンケート回収
調査対象:高校1年生~高校4年生 ※4年生は定時制課程
有効回答:N=1,690人
出典:ジンジブ
構成/こじへい