■連載/阿部純子のトレンド探検隊
ユーザーの声を反映して進化を続けるカインズオリジナル商品
「カインズ」は日本型のホームセンターの草分け的な存在として、1978年に1号店をオープン以降、大型の店舗を全国に展開してきた。
2007年の「SPA宣言」により、カインズでしか買えないオリジナル商品の開発に着手。2018年にはIT 技術を活用した、快適な購買体験の実現を目指す「IT小売業宣言」を出し、第三創業期としてホームセンターの枠にとらわれない様々な取り組みを展開してきた。
カインズのオリジナル商品を集めた「CAINZ 商品発表会2024」が開催され、くらしの課題を“コスパ”“タイパ”で解決するカインズオリジナル商品が多数展示された。
カインズのオリジナル商品は、生活必需品から趣味の領域まで多岐にわたり、国内外のデザイン賞を数多く受賞するなど対外的な評価も高い。
「2007年のSPA宣言以降、オリジナル商品の売上の規模はおよそ2.3倍にまで拡大しました。現在は、日常のくらしを自分らしくカスタムしていく『くらしDIY』をブランドコンセプトにしています。
昨年9月に、商品の持っている価値をよりわかりやすくお客様にお伝えするために、ひとつだったカインズブランドを、新たに8つのプロダクトブランドにいたしました。これらのブランドはお客様のくらしのシーンやくらしのニーズから、課題やテーマを抽出して商品開発を進めています。
今では部署や品番を超えたチームによる商品開発が進み、より商品がモジュール化されていき、くらしのシーンに溶け込んで、より便利な形で使える商品が次々と生まれてくるようになりました。
8つのプロダクトブランドはその数がおよそ6000SKU(在庫管理における最小の管理単位)にまでいたるようになりました。また、従来の商品も、新しい8つのプロダクトブランドをベースに刷新を進めている状況です。
店舗では10万SKUほど取り扱っていますが、そのうちおよそ2万5000SKUほどが新商品やリニューアルを含めたカインズオリジナル商品になります」(カインズ株式会社代表取締役社長 CEO 高家正行氏)
カインズオリジナル商品から気になる商品をチェック!
「撒くだけで防草出来る人工砂」(598円)
可燃ごみの灰を再処理して無害化させた「撒くだけで防草できる人工砂」は、雑草対策をしたい場所に撒くだけで、雑草が生えにくい状態を作るという商品。
可燃ごみの灰から作る人工砂は道路の工事現場などで以前から使われていたが、焼却灰を人工砂にリサイクルするには特殊な設備が必要で、埼玉県にあるリサイクル加工施設の視察に行ったカインズの担当者が、人工砂の可能性の高さに惹かれ、雑草対策のカインズオリジナル商品として販売することになった。
人工砂は無機質で吸水性が高いため、雑草の種子が発芽するために必要な水分や養分の大半を吸収、植物が育ちにくい環境にすることで雑草の繁殖を防止する。下記画像は人工砂を使用して2年経過しても雑草を抑制している様子(画像提供:「となりのカインズさん」 )。
人工砂は雑草が根付きにくい状態にするため、撒いた後に生えてきた雑草があっても簡単に引き抜けるので、草むしりの手間も大幅に省ける。
灰でできていることから成分としては無機質。化学物質は使用していないため、人や動物に無害でペットを飼っている家庭でも安心して使用できる。
1袋約15kg入りで、1m²に対して5~10cm厚で撒くのが目安。5cm厚だと約3~4袋、10cm厚だと約7~8袋に使用となる。
「アルミ収納ベンチ」(17800円~)
ガーデニング用の小道具、ほうき&ちりとり、じょうろ、灯油缶など、庭やベランダに散乱しがちな、室内にはしまえない道具をきれいに片付けられる「アルミ収納ベンチ」。大容量で雨にも濡れず、アシストダンパーが付いているので静かに開閉できる。
ベンチとして腰かけることができ、庭仕事中の休憩や日光浴にも。横幅90cm~180cm、スリム・ワイドなど奥行きのサイズも豊富で、黒、ベージュ、木目調とカラーバリエーションも。
「汚れがつきにくい長持ち浴槽コーティング」(3980円)
プロ向けコーティング剤「Keeper」とカインズが共同で開発したバスタブ用の「汚れがつきにくい長持ち浴槽コーティング」。自動車コーティングに使われるKeeperの技術を浴槽に応用。コーティングの膜により汚れをはじいて、つきにくくする。汚れた際も落ちやすいため日々のお風呂掃除がかなり楽に。
コーティング剤、ポリウレタンフォーム、マイクロファイバークロスのセットで、スポンジでコーティング剤を塗り、クロスで2回拭き上げる。一度コーティングすれば180日間持続。
「すき間を埋めるキッチンマット L-Fit」(1280円~)
カインズの公式Instagramで、最初の10日間で700万回もの動画再生をされて話題になった「すき間を埋めるキッチンマット L-Fit」。6mmの厚さでクッション性があり、体圧を分散するので、調理のため長時間作業していても疲れにくいところもポイント。
L字の折り目がキッチンと床の隙間にぴったりフィットし、掃除機が届きにくい、すき間に入りがちな米粒のような細かなごみが溜まりにくく、床掃除の手間も削減。滑りにくい素材なので、マットの上を動いてもずれることなく、汚れがついても水拭きや中性洗剤でさっと拭き取れる。
無地(モカ、ピンク、ベージュ、グレーの4色)のほか、柄付きタイプも。45cm幅は長さ120、180、240cm、60cm幅は長さ240cmのサイズで展開。
「Pitapaシリーズ」
ピタっとしてくっついてずれない「Pitapaシリーズ」は、敷パッド、クッション、ラグなど様々な商品で展開されている。
敷パッドは寝ているうちにずれてしまって、起きてから元の位置を戻すのが面倒。ずれないように角をゴムバンドで固定したり、すべり止めの素材を使っている敷パッドもあるが、
使っているうちにゴムバンドが伸びてしまったり、すべり止め素材も寝相が悪いとずれてしまうことも。
「敷パッドPitapa」は全面にすべり止めのメッシュ加工が施されているので、動いてもずれなくてストレスフリー。ベッドにのせるだけでセットも楽なので洗濯の頻度も上がり衛生的。
Pitapaの敷パッドに秋冬版が登場。「【2024秋冬】保温性のある敷パッド Pitapa」(2980円~)は、保温性を高めてくれるアルミシートが入っており暖かさもバツグン。カラーはブラック、ベージュ、ブラウン、パープルの4色展開、シングル、セミダブル、ダブルのサイズがある。
ずれにくいPitapaシリーズには、イス用クッション「ずれにくいシートクッション Pitapa」(1480円)や、「【2024秋冬】保温性のあるラグ Pitapa」(1780円~)も。ラグはホットカーペットや床暖房でも使用でき、クッション性や手触りの良さも抜群。アルミ蒸着シート入り保温効果も。50×150cmから190×240cmまでサイズも豊富に展開。ネージュ、楓、シュニー、タンネの4柄とファーグレー。
「新感覚まくら Moffle」シリーズ
三角格子構造のTPE樹脂とメッシュ生地を縫製したまくら「新感覚まくら Moffle」は、弾力性があって頭や首などにかかる圧力が分散されるため、肩こりやストレートネックの悩みがある人にもおすすめ。
弾力性にすぐれていたり、丸洗いできたりなど、様々なタイプ、サイズの商品を展開。浴室でも使える「Moffle お風呂まくら」(2980円)は、お風呂でゆったりくつろぎたい長風呂派におすすめ。防カビ仕様で、使った後は別にシャワーで軽く流して浴室に干しておくか、水が落ちるようにさっと拭けばOK。
【AJの読み】生活の中での商品活用を体感できた『イマーシブ体験型発表会』
今回の発表会は、くらしのシーン別にすべてカインズの商品で演出された群像劇『くらし ららら劇場』と題し、生活の中での商品の活用を想起させる『イマーシブ体験型発表会』という形式で披露された。
父、母、娘、祖父母の一家が日常のくらしの中で、「庭」「玄関」「キッチン」「リビング」「寝室」「風呂・洗面」といったシーン別に、「こんなアイテムがあったら便利」と商品の特徴を交えながらコメディタッチのステージを展開。高家社長も劇に参加して、商品の便利さや、機能だけでない“驚きや喜び”を熱演した。
また、9月から投稿を通じてくらしのアイデアを共有する新しいオンラインサービス「くらシェア」がスタート。日々の生活の中に潜む困りごとを、創意工夫あふれる投稿で解決いくというもので、開始当初は、カインズの従業員が生活者としてひらめいた、くらしをもっと豊かにするアイデアと、それを実現するために必要な商品情報を「くらシェア」に投稿する。
カインズのオンラインショップと連動しているので、気になった商品を購入することが可能。今後はカインズ従業員だけではなく、ユーザーも投稿できるよう機能を追加していくという。
取材・文/阿部純子