クルマは必須ではないかもしれないけれど「愛」すべき存在
手軽に体験でき、一度乗ればその魅力がわかると選手たちも口をそろえるカート。
都会で生活しているとクルマがなくても不便を感じないことも多い。
「経済合理性を考えると、クルマは必須ではありません。維持費などを考えたら、タクシーにたくさん乗ったほうが安くつきます。ただ、家からスタートしてキャンプや旅行に出かけるなど、自家用車があるからこその楽しみがあります。クルマって、体験価値を見出しやすいと感じています。それに、トヨタ会長の豊田章男さんが『モノで愛がつくのはクルマだけ』って、おっしゃっています。『愛車』っていいますよね。生活を違う意味で豊かにできるのではないかと感じています。」(谷本社長)
クルマに乗る楽しさのきっかけになればとオープンしたEVカートサーキットは、都市型であるからこそ、手軽にトライでき、新たなコミュニティも創出している。グループで訪れる人もいるが、仕事帰りなどに1人で立ち寄る人も多いという。「タイム」という共通言語ができ、初対面の人たちとの話も弾んでいるそうだ
カートではあるけれど、クルマに乗るきっかけとして、まず1回乗りに来てほしいと話す谷本社長。今回、ドラフトで選ばれ出場している選手たちに、カートを始めたきっかけを聞いてみると、「お父さんがクルマ好きで小さい頃に乗って、好きになりました。」という選手ばかり。
さらには、「サーキットが遠くにしかなかったから、免許を取ってからも自分のクルマがないときは誰かに連れて行ってもらわなければいけなかった。」という声もあり、都市型のサーキットは、興味を持ち始めた人たちにも活用して、よりクルマ好きになってもらえそうな気がした。
将来的には、全天候型の完全屋内EVカートサーキットを作り、よりエンターテイメントとして楽しめる場を増やしていきたいという。子どもの頃からレジャーとして親しんでいると、大人になったときに、すぐにクルマを購入できなくても、クルマに興味を持ち続けるのではないだろうか。「クルマの運転が上手くて損することはないですから。」という谷本社長の言葉がとても印象的だった。
取材協力
株式会社 トムス https://www.tomsracing.co.jp/
シティサーキット東京ベイ https://city-circuit.com/
取材・文/林ゆり