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クルマ離れを食い止めろ!EVカートでドライビングの楽しみ方を発信する「トムス」の戦略

2024.10.07

日本では、若者のクルマ離れといわれている。今回、クルマ離れと表現しているのは、移動のため必要としている場合を除き、お気に入りのクルマを所有し、運転自体を楽しむ若者が減少しているという意味だ。

以前は、モータースポーツが地上波のテレビ番組で放送されていたこともあり、憧れのクルマを運転してみたいと感じる機会も多かったが、現在は、そのような機会はほぼない。

ならば、手軽にドライビングを楽しむことができる場所があれば、興味を持つ人も増えるのではないかと考えていたら、EVカートサーキットが、2023年12月お台場のパレットタウン跡地にオープンした。

運営しているのは「トムス」。モータースポーツファンなら知らない人はいない会社が、EVカートサーキットをオープンさせた狙いは、きっとクルマ好きを増やすために違いないと思い、トムス代表取締役社長の谷本勲さんに、その経緯をうかがった。

クルマとの接点がなくなったことがクルマ離れの一因

シティサーキット東京ベイを運営する株式会社トムス代表取締役社長の谷本勲さん。

「トムス」は、1974年創業のTOYOTAオフィシャルチューナーとしてレース事業を行うほか、自動車用品やデザイン事業も行う会社だ。モータースポーツの最前線にいるからこそ、若者だけでなくクルマ離れを実感しているという谷本社長。モータースポーツに興味がなくても、クルマは自然に興味を持つ対象物のひとつのはずだとも話す。

「小さい子ども、特に男の子は、クルマ・電車にまず興味を持ちます。遊園地に行くと、ゴーカートに乗りたがりますし、乗ると楽しいと感じます。今では、ゴーカートがある遊園地も減り、経験する機会がなくなりましたね。」(谷本社長)

ゴーカートもだが、カートも大人が乗って楽しいレジャーでありながら、実際に乗っている人は少数派だ。クルマは、日本最大の産業であるにもかかわらず、それを活用したスポーツレジャーがないのは残念だとも感じているという。

現代の50代、60代は、スーパーカーや1995年ごろの第一次F1ブームなどの時期を体験し、バラエティ番組でカート対決が行われるなど、カートに興味を持つ機会も多かった。さらに、社会人になれば、デートはクルマでということが当たり前だったようで、気づけばクルマを購入していたという世代だとか。

現代もクルマ自体の魅力は変わらないが、スマホなど、他に魅力的なものが増えたことで、クルマに興味を持たず、接点もないまま育った若者が多いのがクルマ離れの原因のひとつではないかと分析している。

もう一度、クルマに接する機会を増やすと、興味を持つ人が増えるのではないかと考えたが、最大のネックは、手軽に始められないこと。

「郊外にまで行けば、カートサーキットはあります。実は、80か所以上もあるんです。ただ、地方にしかないため遠いんですよね。わざわざカートのために遠出しないと乗れないため、気軽にとはいきません。」(谷本社長)

郊外にしかサーキットがないのは、カートとはいえエンジン音はかなり大きい。郊外のサーキットでも、時間規制をして運営しているところもあるという。音のほか、都市部では、排気ガスの問題も出てくる。となると、屋内型にするのも現実的ではない。

そこで、ひらめいたのが、EVカートだ。さまざまな問題をクリアしてオープンしたのが、東京23区内唯一のカートコース「シティサーキット東京ベイ」だ。

EVだから実現した都市型サーキット

屋内ではキッズカートコースのほかシミュレーターでeモータースポーツが体験できる。

「シティサーキット東京ベイ」は、ゆりかもめ「青海」駅直結というアクセス抜群の都市型サーキットだ。専用に開発されたEVレーシングカートとシミュレーターを使用し、屋外、屋内のコースで本格的なレーシング体験とVRによるeモータースポーツが体験できる。

初めてカートに乗る人やドライビングの腕試しをしたい人に向けてだけでなく、全日本カート選手権EV部門も開催する本格的なコースがあり、誰もがそれぞれのレベルや目標に合わせた楽しみ方を提案している。

モータースポーツが遠い存在であった人々にも身近に感じてもらえ、スキルアップを目指す人には、ハイレベルなレースが可能なサーキット。また、マシンはすべて、全日本カート選手権EV部門の車両開発を担当し、国内外の最高峰レースでの実績のある「トムス」によるものだ。

EVカートコースの一部は屋内コースで、現在、キッズ用のカートコースになっている。プロジェクションマッピングによるゴーストカートとの架空の競争ができるなど、屋内のEVカートコースだからこそ実現できる期間限定イベントなども開催している。

平らに見えるが高低差もあり、全日本カート選手権EV部門も開催される屋外コース。

大人用の選手権も開催される屋外コースは、レベルが違うドライバーが同じ時間帯にコースに入ると危険も伴うのではないかと感じたが、1台ごと、時速1キロメートル単位で電子制御でき、安全に走行できるよう配慮されているとのこと。

「楽しい走行と安全面のバランスは非常にむずかしいですね。」と、谷本社長は話すが、電子制御してもらえると思うと、初心者も安心してコースに出られるのではないだろうか。

ゆりかもめ「青海」駅直結で、手ぶらで手軽にカート体験ができる。

カート目的ではなく、ゆりかもめの「青海」駅直結という立地から、レジャーで訪れた人たちの目にも留まり、ちょっと乗ってみようという人もいるという。海外からの旅行者なども多く、運転を体験するというタッチポイントづくりとしては、成功しているようだ。

キッズ向けのほか、二人乗りカートもあり、身長150cm以上なら大人向けのカートに乗れるため、親子でタイムを競うこともできる。大人用カートの最高速度は時速50キロ。体感速度は、100キロくらいになるという。もともとクルマが好きなら、この体感はリピートしたくなるに違いない。

ちなみに、EVカート選手権当日、一般参加のタイムトライアルも開催される。こちらは、このコースで35秒未満のタイム保持者ならエントリーできる仕組みになっている。コーナーの攻め方など基本的な走行ができると35秒を切ることができるからだそう。運転好きなら、一度挑戦してみてはどうだろう。

モータースポーツを盛り上げてクルマを楽しむ人を増やす

全日本カート選手権EV部門は、6チーム12人が参戦。全5戦のポイントでシリーズチャンピオンが決定する。

手軽に体験できる場所を増やすだけでなく、モータースポーツ自体も広げていきたいとの考えから、全日本カート選手権EV部門では、各チーム2名体制のうち1名は、必ずルーキーを採用することに今年変更された。EV部門に参戦しているのは、6チーム。そのうち2チームは、2名ともルーキーというチーム体制だ。

「モータースポーツの競技人口も減少しています。今年は、プロ野球のようにドラフト会議を行ったのですが、指名選手が重なるなど盛り上がりました。スポーツとして人気が出ると競技人口も増えます。カートを始める子どもが増えて、スポーツとして続けるだけでなく、ホビーとして楽しんでもらってもいいので、クルマを好きになってもらいたいですね。」(谷本社長)

今回、47名の応募があり、書類選考で19名まで絞り込み、ドラフトが行われ、8名が選ばれた。14歳を迎える年から応募できるため10代ばかりかと思ったら、30代までと年齢層の幅も広く、さまざまなドライバーにチャンスがあるようだ。とはいえ、ライセンスが必要なため、こちらは手軽に始めるとはいかないだろうが、子どもの習い事としてはおすすめだという。

「カートでスピンすると、無理なハンドルの切り方は危険であることを体験します。自分の運転の限界値を知る機会になるんです。コンマ何秒の世界で集中力も養われます。」(谷本社長)

一般の道路でスピンするなんて経験はまずできない。カートとはいえ、自分自身の運転能力を体験できるのは、将来、安全運転を意識できるようになるのではないだろうか。レーシングドライバーたちが、一般道で安全運転なのと同じように。

マシンと選手の近くで応援できるファンサービスのひとつ、グリッドウォークも大賑わい。これもアクセスがいい都市型サーキットならでは。

選手権当日は、イベントも開催される。プロドライバーと同乗するタンデム走行やタイムトライアルのほか、取材で訪れたカート選手権第4戦当日は、ダンロップのサステナタイヤのでも走行のほか、キッズカート走行など、カートに乗る人も乗らない人も楽しめる工夫がされていた。

また、決勝スタート前にクルマがグリッドに並んでいるときに、コース内に入ってクルマや選手を身近に感じられるグリッドウォークも開催された。シティサーキット東京ベイのアクセスのよさからか、多数のファンが参加していて関係者も驚いたという。

このような体験から、カートが身近に感じられるためか、選手権が終わった後、すぐにエントリーしてカート体験をしている人も見かけられた。ちなみに、グリットウォークに参加する場合は有料だが、レース観戦は無料でできる。駅のデッキからでも見渡せるが、コース近くで観戦すると、より迫力を感じられる。今年度最終戦となる第5戦は、11月24日に開催。お台場でのレジャーと共に、観戦してみるのもおすすめだ。

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