なぜ脳卒中が増加した?
では、なぜ脳卒中がここまで増加したのだろうか。研究グループの分析によると、多くの脳卒中のリスク因子に人々がさらされる頻度が上昇し続けていることが原因である可能性があるという。本研究では、1990年から2021年までの間に、高BMI、気温の上昇、加糖飲料の摂取、運動不足、収縮期血圧高値、ω-6多価不飽和脂肪酸が少ない食事に関連してDALYが大幅に増加したことが示された(増加の幅は同順で、88.2%、72.4%、23.4%、11.3%。6.7%、5.3%)。
Johnson氏らは、気温の上昇は、もう1つの脳卒中のリスク因子である大気汚染の悪化を意味していると説明する。同氏らは、「暑くてスモッグの多い日が脳卒中リスクに与える影響を最も強く受けるのは貧しい国である可能性が高く、その影響は気候変動によってさらに悪化し得る」と指摘する。実際、出血性脳卒中のリスクに関しては、現在、汚染された空気を吸い込むことは、喫煙と同程度のリスクをもたらすと考えられているという。脳卒中全体に占める出血性脳卒中の割合は約15%で、虚血性脳卒中(脳梗塞)と比べると大幅に低いにもかかわらず、世界のあらゆる脳卒中に関連した死亡や障害の5割が出血性脳卒中に起因するという。
「脳卒中に関連した健康被害は、アジアやサハラ以南のアフリカ(サブサハラ・アフリカ)で特に大きい。こうした状況は、管理されていないリスク因子、特にコントロール不良の高血圧や、若年成人における肥満や2型糖尿病の増加といった負担の増大と、これらの地域における脳卒中の予防およびケアサービスの不足によって生まれている」とJohnson氏は指摘する。
しかし、こうした状況を変えることは可能であるとJohnson氏は主張する。例えば、大気汚染は気温上昇に密接に関連するため、「緊急の気候変動対策と大気汚染を減らす取り組みの重要性は極めて高い」と言う。さらに同氏は、「高血糖や加糖飲料の多い食事などのリスク因子にさらされる機会が増えているため、肥満やメタボリックシンドロームに照準を合わせた介入が急務である」と述べている。(HealthDay News 2024年9月19日)
Copyright (C) 2024 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock
(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422(24)00369-7/abstract
Press Release
https://www.healthdata.org/news-events/newsroom/news-releases/lancet-neurology-air-pollution-high-temperatures-and-metabolic
構成/DIME編集部
自宅の改造が脳卒中患者の自立を助け生存率を高める シャワーを浴びる、階段を上るなどの日常的な動作は、脳卒中発症後に後遺症の残った人にとっては危険を伴い得る。 し...