トライトンは1978年に発売されたフォルテをルーツとする、世界約150か国で販売される三菱自動車の世界戦略車でもあるピックアップトラックだ。その6代目となる、約9年ぶりの新型はPower for Adventureという商品コンセプトのもとに開発が進められ、内外装デザインからシャシー、ラダーフレーム、エンジンなどを一新。SUVの快適性とピックアップトラックに求められる堅牢性、実用性を備えていると謳われる。まずはタイで発売し、フィリピン、オーストラリア、ニューシーランドに続き、今後、世界約100か国に投入される三菱自動車の世界戦略車でもある。そんな約12年ぶりに日本に導入されたトライトンはタイから輸入される逆輸入車扱いとなる。
パワーユニットは三菱として初搭載の4N16型2.4L 4気筒ディーゼルターボエンジン
トライトンの日本仕様はマリンスポーツやウインタースポーツ、キャンプなどのアウトドアアクティビリティの可能性を広げるダブルキャブ、駆動方式は三菱自慢の4WDとしている。ボディサイズは全長5360×全幅1930×全高1815mm。三菱アウンランダーが全長4710×全幅1860×全高1745mmだから、とくに全長の長さが際立つ。なお、最低地上高はアウトランダーの200mmに対してさらに余裕の220mm。ただし、最小回転半径はアウトランダーの意外なほど小回りが効く5.5mに対して6.2mと大回りになる(同種のトヨタ・ハイラックスサーフは6.4m)。
基本骨格はもちろん、独自開発の強固なラダーフレーム。パワーユニットは三菱としては初搭載となる4N16型2.4L 4気筒ディーゼルターボエンジン、204ps/3500rpm、47.9kg-m/1500~2750rpm、WLTCモード燃費11.3km/Lというスペックの持ち主で、6速スポーツモード付ATと組み合わされる。サスペンションもまた新開発されたFダブルウィッシュボーン、Rリーフスプリング式。タイヤはSUV、ピックアップトラック用オールテレーンタイヤ(オフロードに対応する全地形タイヤの意味)、ヨコハマ・ジオランダーG94の265/60R18サイズだ。
トライトンの大きな特徴が、カーゴベッドと呼ばれるカバー(ソフトと電動あり)も付けられるオープンな荷室。内寸は奥行き1470mm、幅1525mm。2×4ランバーアタッチメントやフック付きと、ビッグで自由に使えるタフなカーゴスペースが用意されている。
意外かも知れないが、衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)などの安全装備はもちろん、e-Assistと三菱が呼ぶ先進運転支援機能も、ACCやブラインドスポットモニターを含む全9種類を搭載。さらにリモートエアコンやリモートドアロック、アンロック、カーファインダー(駐車位置確認)、SOSコールなどのコネクティッド機能まで用意されているのだからピックアップトラックも進化している。
そんな新型トライトンの上級グレード、GSRを間近で見ると、やはり、デカく、長く、幅広く、ワイルドだ。が、乗り込んでみると、ワイルドというより、極めて現代的と言っていい。GSRはレザーシートを備え(GLSはファブリックシート)、インパネの一部はソフトパッドで覆われ、世界の道で鍛えあげられた4WDシステム=スーパーセレクト4WD-IIのモード切替スイッチ、エアコンのスイッチなど、メカニカルに洗練されている。もっと言えば、フルオートエアコンだけでなく、リヤサーキュレーター(全グレードに標準装備)まで用意しているのだから、後席を含め、快適な車内空間のもてなしさえあるのだ。そう、エクステリアのワイルドさに対して、インテリアは極めて乗用車ライクなのである(乗降はやはりフロアの高さを感じるが)。
細かいことを言えば、ナビで目的地をセットすれば、2眼メーターの中央に、矢印で示される走る方向、目的地までの距離、到着予想時刻が表示されるのだから、有難い。