裁判での攻防
攻防を見ていきましょう。
■LINE誤爆事件について
開廷!
――「ホースが届いた」という生活感あふれるLINEを送ってますが?
夫
「ただの世間話です。『新たにホースを購入したよ!』ってことを伝えただけですよ。A子から紹介されたガスファンヒーターを購入したんですが、ガス栓接続部の形状が違ってたんです。なので新しいホースを買ったのです」
――裁判所さん、この弁解はいかがですか?
裁判所
「まぁたしかにホースが届いたという内容に過ぎませんね。A子さんのことを『ちゃん』づけで呼んでるからといって不貞行為を推認することはできません」
夫
「(ほっ…)」
■ラブラブ散歩事件
――犬を連れてのラブラブ散歩はいかがですか?
裁判所
「このことから直ちに不貞関係を推認することはできません」
夫
「(ほっ…)」
「(これで私の勝ちですね)」
■お泊まりはNG
裁判所
「しかし!A子さんは夫の家に泊まってますよね」
「不貞行為をしたと認めます」
夫
「WHY!?たしかに夕方に私の自宅で食事したことは認めます。私はA子に旅行のお土産を渡そうと思っていたんです。泊まらせたのには理由があります。そのお土産が届くのが午後7時ころになってしまい、そのあとにA子を帰宅させるのは寒かろうと思ったからです」
・マメ知識
だいたい裁判では、追い込まれた側の【言い訳大喜利】が始まります。
――裁判所さん、この言い訳はどうですか?
裁判所
「A子さんを泊まらせる理由としては明らかに不合理です。夫の家とA子さんの家の交通事情を考えると、公共交通機関を使って帰宅することは容易だったっしょ」
夫
「ホント違うんですって!この写真を見てください。これまでにもイベントの時などに女性を含む来客が私の家に泊まったことがあります。女性が泊まる=不貞行為、ではないんです!」
裁判所
「シャラップ!複数の男女の客を泊めたこととA子さん1人を泊めたことは別の話です」
夫
「(あぁ神よ!)」
というわけで、不貞行為が認定され、裁判所は「夫は妻に慰謝料80万円を払え」と命じました。
以上、ホントウにあったLINE誤爆事件でした。あぁこわい。LINE誤爆を巻き戻せる機能があれば20万円でも売れるんじゃないでしょうか。
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取材・文/林 孝匡(弁護士)
https://hayashi-jurist.jp(←プロフィールもコチラ)
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