エレベーター連携機能により建物内ラストワンマイルの課題解決に貢献
三菱電機ビルソリューションズとPreferred Robotics(以下PFRobotics)は、三菱電機ビルソリューションズのスマートシティ・ビルIoTプラットフォーム「Ville-feuille」(※1)を活用した「ロボット移動支援サービス」と、PFRoboticsが開発・販売する自律搬送ロボット「カチャカ」との連携の有用性を確認する実証実験を実施した。
※1 Ville-feuille:エレベーター、空調、照明、サービスロボット、入退室管理システムなどのさまざまなビル内設備の稼働データやセンシングデータなどを収集・蓄積し、データ処理を行うIoT プラットフォーム。
写真・左/自律搬送ロボット「カチャカ」 、右/「カチャカ」とエレベーターの連携
「ロボット移動支援サービス」のエレベーター連携機能により、「カチャカ」はエレベーターを利用して建物内のフロア間を自動搬送でき、稼働範囲の拡大により建物内のラストワンマイルの課題解決に貢献する。
両社は今回の実験に関して「今後も、両社は病院、オフィスビルなどのビジネスの場からマンションなどの一般家庭までの物流DX推進に向けた省人化や業務効率化の検討・実証を進め、物流の2024年問題などの社会課題解決に向けて取り組んでまいります」とコメントしている。
■実験の実施背景
近年の労働人口不足を背景とした省人化・省力化ニーズの高まりを受け、ビル・マンション内の物流の効率化・自動化が急務となってきた。そうした環境下、PFRoboticsの「カチャカ」は小型・安価なロボットとして様々なビル・マンションで普及が進んでいる。
ただし建物内における自動搬送の実用化に向けては、ロボットとエレベーターが連携したフロア間移動による稼働範囲の拡大が課題であり、その課題解決に向けて検討・実証が必要となっている。
■自律搬送ロボット「カチャカ」について
「カチャカ」は、多様化する人々の生活をより便利にするため、PFRoboticsがこれまで業務用ロボット領域で培ってきた技術を応用。人の指示どおりに自動で動く家具「スマートファニチャー」の実現を目指して開発された。
「カチャカ」は、自己位置推定とマッピング(SLAM ※2)、ナビゲーション、画像認識、音声認識、ハードウェア設計を高度に融合させ、これまで難しいとされてきた、環境変化の激しい居住空間での柔軟な自律移動を実現。
一般家庭のほか、人手不足が深刻化する医療機関、工場、飲食店など多種多様な業種における自動搬送ソリューションに活用されている。
※2 SLAM:Simultaneous Localization and Mappingの略。ロボット自身の位置の特定とマップ作成を同時に実現する技術。
■「ロボット移動支援サービス」(エレベーター連携機能)について
ロボットからのリクエストに応じて、「Ville-feuille」がエレベーターの呼び出しや行先階登録を行なう。ロボットに対しては、「Ville-feuille®」から配車する号機や乗降タイミングなどを通知することで、エレベーターを利用したロボットの縦移動を実現する。
ロボットの稼働範囲の拡大によりロボット導入台数が削減できれば、ビル内生産性向上やビル管理の省人化、運用効率化などが達成可能となる。
関連情報
https://www.meltec.co.jp/
構成/清水眞希