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アメリカ大統領選挙で移民問題はどの程度影響を与えるのか?

2024.10.01

世界最大規模の世論調査会社であるイプソスは、2024年11月に行われるアメリカ大統領選挙に伴う米国内の世論調査を継続的に実施している。先日、同社が9月20日(現地時間)に発表したレポートをまとめたレターが到着したので、その概要をお伝えする。

移民問題は選挙にどの程度影響を与えるか?

ドナルド・トランプ前大統領が、オハイオ州でハイチ移民がペットを食べているという、その後誤りとされた話を全国的な舞台で取り上げたことで、移民問題は再び議論のテーマとなった。

政治的に分裂している今日の状況において、移民問題は特に二極化している。これは共和党員の間では大きな懸念事項となっているが、民主党員で同じことを言う人はほとんどいない。同様に、移民政策に関して共和党と民主党は大きく対立している。

しかし、移民問題は年初には主要な争点となっていたが、その後は消えつつあることを示す兆候がある。

以下は、移民問題に関するアメリカ人の立場、さまざまな移民政策に対するアメリカ人の感情、そして選挙に向けてメディアが移民問題をどのように話題化させようとするかを示す 5 つのグラフだ。

■1.移民に関する懸念が増減する時

移民に対する懸念は、米国国境警備隊と移民の遭遇件数が報告された後に増減する。 移民との遭遇数は2023年後半に過去最高を記録した後、減少し続けている。移民に対する懸念も同様に低下し続けるのか。

■2.トランプの強み

移民問題はカマラ・ハリス副大統領にとっては弱点であり、トランプ氏にとっては政治的な強みだ。トランプ氏が選挙の争点を移民問題にすればするほど、彼は有利になるだろう。しかし、移民に対する懸念が減り続ければ、ハリス氏がさらに有利となる。

■3.移民政策は分裂を招いている

移民問題に関して、アメリカ人は二つの対照的な考えを持っている。 共和党は米国とメキシコの国境の安全確保や強制送還を好む傾向があり、民主党は市民権取得への道筋の提供や亡命の提供を好む傾向にある。

■4.二極化が進む

わずか30年前、民主党と共和党は移民排斥主義的な感情で一致していた。 今では、それは二極化している。2016年、トランプ氏は支持基盤を動かす原動力として、自国中心主義の感情を非常に効果的に利用した。今回の選挙も例外ではないだろう。

■5.誤情報に陥りやすい

今年初め、私たちはメディアが移民関連の誤情報の大きな推進力となっていることを知った。アメリカ人は単に政治的に二極化しているだけではなく、現実感覚を変える二極化した情報圏の中で生きているのだ。

オハイオ州のハイチ移民が猫を食べているという虚偽の話が広まったことは、その重要な例である。センセーショナルな記事は移民問題に一時的に注目を集める可能性がある。選挙に向けて、さらなる動きがあるのだろうか。

選挙日に向けて移民問題が争点として薄れていく可能性

国境での移民との遭遇件数が減り続けていることから、選挙日に向けて移民問題が争点として薄れていく可能性が示唆されている。

しかし、トランプ氏にとって移民問題は有利な問題だ。選挙で移民問題が取り上げられれば取り上げられるほど、トランプ氏は有利になる。

国境で移民との遭遇が減少していることを考えると、トランプ氏が選挙の焦点を再び移民問題に向けたいのであれば、真実かどうかはともかく、移民に関する扇動的な話題の出現に頼らざるを得ないかもしれない。

しかしそれはトランプ氏にとってリスクでもある。ほとんどのアメリカ人はトランプ氏のような情報のサイロに縛られているわけではない。この問題は11月にどのように展開するのか?  動向を見守りたい。

関連情報
https://www.ipsos.com/ja-jp

構成/清水眞希

 

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