介護業界の為、自分の為にSNSで介護の魅力を発信する
介護業界の人手不足が数年前から問題となっていることは多くの方がご存知だろう。
厚生労働省によると、2040年度に必要な介護職員数は約272万人で、現在より約57万人の介護職員を確保する必要があると推計されている。
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02977.html
少子化に加え、高齢者数がピークを迎える近い未来、介護業界の人材不足が深刻化するのはもはや避けられない状態だ。
また、低賃金や重労働などのマイナスイメージが先行し、人材不足の解消には程遠いという現実もある。
そんな暗いと思われがちな介護業界のイメージを覆そうと、たっつんさんが取り組んでいるのがSNSだ。
「介護で困っているご家族や現役介護士のために2年前から始めました。ぼくの発信によってイメージが変わり、少しでも介護士という仕事の魅力を感じてもらえたらと思ったんです」
今やフォロワー6万超。SNSを機に著書『認知症の人、その本当の気持ち』(認知症の人、その本当の気持ち | たっつん |本 | 通販 | Amazon)も出版された。たっつんさんがSNSを始めた、もう一つの大きな理由がここにある。
「介護士が副業で収入を得る事で、本業を辞めなくて済んだという人を増やしたいんです。離職する方を一人でも少なくできたらいいなと思っています」
介護士歴19年のたっつんさんだが、かつては貯金も出来ず、子供2人の学費もままならないような状態だった。
だから、SNSを始めた。介護士の仕事を全うしながら、自身が生きるためだ。
「本業である介護の仕事の低収入を補う為にSNSで副業をしたかったんです。今は実際に収入を得ることができていますし、ぼくの発信がきっかけで介護現場のリアルを知ってくださった方が多いと実感できています。今はSNSを始めて本当に良かったと思っています」
「ぼくたちのようなプロが影響力を持ってSNSで発信するということが、介護士の増加や介護業界に明るい未来をもたらすと思っています。ぼくと同じような介護士のプロにもっともっとSNSで介護の魅力を発信してほしいですね」
人手不足で低収入と言われる介護業界だが、何故このような状況になっているのか?
「介護は家族、特に女性がやるのが当たり前 という昔ながらの考えがなかなか根深いということが背景にあると思います。家族でもやれるものにわざわざお金を払ってまでやるべきこと?という思いも同時に根付いてしまっている」
「だからこそ「介護にかかるお金は安くしたい」→「介護事業所の収益が限られる」→「職員への給与に反映されないので低収入」→「人手不足」→「質の悪い職員(他の仕事で通用しない人)が増える」→「社会的地位が上がらない」→「低収入が改善されない」→「人員不足が改善されない」という負のスパイラルなんだと思います」
「未だに介護サービスを利用することを後ろめたいと思う方が多いんですが、『介護はプロに頼っていい』ということをもっと広く理解してもらわなければなりません。本当に介護で困っている方々に在宅サービスや支援などの有益な情報が届くような仕組みを作っていかなければならないと思っています」
――今後、介護業界をより良くするためにやっていきたいことは?
「SNSでの発信を続けることで、書籍の出版だったり音声配信だったりといろんな方面のお仕事をさせて頂くことができたので、今まで通りにSNSでの発信を続けて介護業界のリアルを知って頂くのがぼくの役割かなと思っています。その役割を担うことが、介護業界をより良くする為にぼくにできることかなと思っています」
たっつんさんX
@tattsun_cw
文/太田ポーシャ