2023年度より、少子化による生徒数の減少や指導にあたる教員の負担軽減などを背景に、全国の公立中学校を皮切りに、部活動を地域の文化・スポーツ団体の活動に移行していく「地域移行」が進んでいる。
こうした状況を受けてイー・ラーニング研究所はこのほど、子どもを持つ親、親族に子どもがいる人、計220名を対象に「部活動の地域移行における意識調査」を実施し、その結果を発表した。
子どもを持つ親の「部活動の地域移行」に対する認知度は約4割!
子どもを持つ親に「2023年度から3年間かけて、公立中学校の部活動を優先して段階的に地域移行していることを知っていますか<SA>」と尋ねたところ、「知っている」(95)と回答したのは約4割に留まった。
また、上記で知っていると回答した親へ「部活の地域移行が進んでいると感じますか<SA>」と尋ねたところ、「感じる」(30)との回答が約3割であったことに対し、「感じない」(22)「わからない」(43)と回答した親は約7割になった。部活動の地域移行は各地域で段階的に進められているものの、まだ取り組みが開始していない地域や学校もあるため、取り組みへの認知や実感が全国へ浸透しきっていないことがうかがえた。
部活動の地域移行により、子どもを持つ親は“専門家から質の高い指導を受けられる”
「(部活動の地域移行が進んでいることを知った上で、)学校での部活と部活の地域移行とで最も変化を感じる点はなんですか<MA>」と子どもを持つ親に尋ねたところ、「専門家などから質の高い指導を受けられる機会が増えること」(135)との回答が約7割で最も多く、次いで「地域のスポーツ団体や施設との連携で、より多くの交流がうまれること」(119)との回答が約5割となった。
また、「地域のスポーツ団体や指導者との連携に期待することはなんですか<MA>」の問では、第1位が「様々なバックグラウンドを持つ指導者から指導を受けられること」(148)が約7割、第2位が「スポーツを通じたボランティア活動やスポーツイベントなど、競技以外の活動にも参加できること」(111)で約5割となった。
このことから、部活動の地域移行により、教員の負担軽減だけでなく、質も高い指導を受けられることや子どもたちの交流の場が広がることなど、多くの可能性を感じている親が多いことがわかった。
そして、「部活動の地域移行による子どもへの影響についてどのように考えますか<MA>」との問では、「学外の人との関わりが増え、コミュニケーション能力が身につく」(137)、「学校以外の異なる価値観や文化に触れることができる」(132)、「異なる年齢やレベルの人々と活動することで、協調性が育まれる」(129)の回答が上位にあがり、いずれも約6割となった。