借金の返済を滞納したり、債務整理をしたりすると「ブラックリスト」に情報が登録されます。ブラックリスト入りすると、新たにお金を借りられなくなったり、クレジットカードが利用できなくなったりするのでご注意ください。
本記事では、借金の返済滞納や債務整理などをした際に問題となる「ブラックリスト入り」について解説します。
1. 「ブラックリスト入り」とは?
「ブラックリスト入り」とは、個人信用情報機関のデータベースに異動情報が登録されることの俗称です。
「個人信用情報機関」とは、個人の借入れなどに関する情報を蓄積し、金融機関・貸金業者・保証会社・カード会社など(以下「金融機関等」といいます。)に対して提供する機関です。
金融機関等は、貸付けなどの与信判断を行う際に、個人信用情報機関のデータベースを参照しています。
「異動情報」とは、借入れなどの債務が通常どおり支払われなかったことを示す情報です。具体的には、債務の支払遅延や保証人による代位弁済、債務整理などが異動情報として登録されます。
2. ブラックリスト入りした場合のデメリット
個人信用情報機関のデータベースに異動情報が登録されると、その異動情報は、個人信用情報機関に加盟している金融機関等が参照できるようになります。
金融機関等が与信審査を行う際には、個人信用情報機関のデータベースを参照します。その際、顧客について異動情報が登録されていた場合は、与信を差し控えるケースが多いです。
具体的には、ブラックリスト入りによって以下のようなデメリットが生じることがあります。
・金融機関や貸金業者からお金を借りられなくなる
・クレジットカードが強制的に解約される
・商品を分割払いで購入することができなくなる(例:携帯電話端末など)
・保証人になることができない(例:奨学金、家賃の保証など)
など
3. ブラックリスト入りするケース
個人信用情報機関のデータベースに異動情報が登録されるのは、以下のような事由が発生した場合です。
(1)一定期間以上の支払遅延
借金などの債務の支払いを2か月から3か月程度滞納すると、異動情報が登録されます。
(2)保証人による代位弁済
借金などの保証人は、主債務者が支払いを滞らせた場合に、債権者に対して代わりに弁済する義務を負っています(=代位弁済)。
保証人が代位弁済をした場合は、その事実が異動情報として登録されます。
(3)任意整理
借金などの債務を支払うのが困難になった人は、金融機関等と交渉して、利息・遅延損害金のカットや支払期日の変更などを認めてもらうことがあります(=任意整理)
任意整理がなされた場合は、その事実が異動情報として登録されます。
(4)破産手続開始の決定
支払不能の状態にある人は、裁判所に自己破産を申し立てて、財産の処分と債権者への配当を行った後に債務を免除してもらうことができます。
裁判所によって破産手続開始の決定がなされた場合は、その事実が異動情報として登録されます。
(5)再生手続開始の決定
支払不能の状態にあり、またはそのおそれがある人は、裁判所に民事再生(個人再生を含む)を申し立てて、再生計画に基づき債務を減額してもらうことができます。
裁判所によって再生手続開始の決定がなされた場合は、その事実が異動情報として登録されます。
4. ブラックリストの登録期間
日本には「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」「株式会社日本信用情報機構(JICC)」「株式会社シー・アイ・シー(CIC)」という3つの個人信用情報機関があります。
異動情報の登録期間は、ほとんどのケースで登録後5年とされていますが、KSCでは官報情報(破産・民事再生)の登録期間が7年とされています。
登録期間中は、特段の事情がない限り、異動情報を削除してもらうことはできません。
特に任意整理・破産・民事再生などの債務整理を行う際には、ブラックリスト入りによるデメリットが生じ得ることにご留意ください。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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