歴代クラウン最上のハンドリング
走り始めれば、すでに報告した、ステアリング操作の応答遅れのない” レスポンシブルな操縦性”によって、歴代クラウン最上のハンドリングを示してくれると断言できる。首都高のキツいカーブでも、ライントレース性は優秀。車体のロールは最小限で、まさにオン・ザ・レールで確実なタイヤの接地感あるコーナリングを決めてくれるのである(その分、上半身がシートの左右サポートに押し付けられるGは強めだが)。もちろん、高速走行時の直進安定性、車線変更時の安定感・安心感もハイレベルだった。もちろん、車内の静かさもクラウンならではだ。エンジンを高回転まで回しても、エンジンノイズは抑えられ、抑えられたノイズも決して耳触りじゃないからさすがである。※スポーツなのだからもっと快音を聴かせてほしい・・・という意見もありそうだが。
ドライブモードをSPORTにセットすれば、メーター盤面がレッドになり、加速性能は登坂路を除き、クラウンスポーツの名に恥じない痛快な加速力を発揮。NORMALモードでも十二分な動力性能の持ち主と言っていい。ただし、見た目のフェラーリ感からすれば、もう少しパワーはあってもいいと思える人もいるはずである。
街乗りでの乗り心地はやや硬めながら(21インチタイヤだから当たり前だ)、段差などを乗り越えても当たりはキツくなく、上質なストローク感あるタッチが顔を出す。細かく言えば、フラット感が増す高速走行がクラウンスポーツの乗り心地ベストなシーンと言って良さそうだ。総合的には、スポーティカーとクラウンの中間的な、欧州車風味ある乗り味と言えそうだ。
PHEVも揃える新世代クラウンの中でもっとも先鋭で、エクステリアデザインにも惚れこめるクラウンスポーツは、かつてクラウン嫌いだった人にも大いにアピールするはずだし、今や世界戦略車となったクラウンとして、若い世代のユーザーをエステートとともに取り込む起爆剤になりえるとも思える。さらに中後年のクラウンのロイヤルユーザーにとっては、最新のクラウンに乗り継ぎつつ、スーパースポーツ的ルックスもあって、クラウンのロイヤルドライバー!?として、自身の若さを取り戻すことができそうな1台になるに違いない。くどいようだが、クラウンスポーツのエクステリアデザインは、現時点の国産車ベストと言いたい。
文・写真/青山尚暉