商用サービスロボットをグローバル展開するPudu Robotics(以下PUDU)から、同社初の汎用具現化インテリジェントセミヒューマノイドロボット「PUDU D7」が発表された。同社の説明によれば、本格的な商品化は2025年になるという。
PUDUのセミヒューマノイドロボット戦略
2024年5月、PUDUは、サービスロボット産業の長期的な戦略ビジョンの一環として、「セミヒューマノイドロボット」コンセプトを発表した。
PUDUは、特定のタスクのために設計された特殊ロボット、適応性と汎用性を持ち様々なタスクに対応可能なセミヒューマノイドロボット、人間との複雑なやりとりに対応可能な完全ヒューマノイドロボットという3つの異なるカテゴリーのロボットの開発に注力している。
各カテゴリーのロボットは、サービスロボット分野における様々なニーズに対応し、業務効率と顧客体験を向上させるだけではなく、この先進的な戦略は、ロボットが様々な環境で幅広いタスクをシームレスにこなす未来への扉を開き、同時にヒューマノイドロボットの革新的な進歩への寄与を目的としている。
セミヒューマノイドロボットである「PUDU D7」は、人間のような上半身、ロボットアーム、全方向シャーシを組み合わせることで、高度な機動性と器用さを実現。
飲食店、宿泊施設のようなサービス業から倉庫、工場のような工業まで、多様な環境での複雑なタスクに対応することが可能で、多業種向けに適応できる重要なロボットソリューションとなる。
■PUDU D7のコア仕様と革新的なAIについて
「PUDU D7」は、PUDUの研究開発部門であるPudu X-Labによって開発された。身長165cm、体重は45kgで、ロボットのバイオニックアームは65cmまで伸び、30自由度で操作可能だ。器用な手のアタッチメントを装着すると50自由度に拡張することも可能だ。
これらの機能により、「PUDU D7」はエレベーター操作、物品輸送、および仕分け作業において優れた性能を発揮する。
また、1kWhを超えるバッテリーを搭載しており、8時間以上の連続稼働を実現。360度の全方位移動、最高速度2m/秒での走行、10度までの傾斜での安定走行も可能だ。さらに、アームは10kgの物を持ち上げることができ、終点精度は0.1mmに達するという。
PUDUは、データ駆動型の具現化された知能と高度なAIモデル戦略を融合するよう設計された、多層インテリジェンスシステムを「PUDU D7」に装備した。
「高レベルプランニング」と「低レベルプランニング」と呼ばれることの多い階層型制御システムを採用することで、「PUDU D7」は、抽象的で戦略的なタスクとリアルタイムの感覚に基づくアクションの両方を、賢く管理できる。
この階層型アプローチにより、複雑なサービスシナリオを理解して対応するだけでなく、時間の経過とともに継続的に学習して操作を改良することが可能になった。
適応性と具現化されたインテリジェンスにより、複数の業界にわたってシームレスでend-to-endのタスク実行を実現し、セミヒューマノイドサービスロボットの大規模な商業化を推進していく。
■ヒューマノイドロボットに関するPUDUの展望
PUDUは、サービスロボットの未来への基礎を築きながらも、現在の顧客のニーズを優先していくと表明している。「PUDU D7」はこの使命を体現する存在であり、反復作業を合理化する先進的なソリューションを提供することで、企業はより戦略的な業務に集中できるようになる。
また、PUDUは、ソリューションの提供のみでなく、データセキュリティに関しても最重要であると考えており、匿名化されたデータの収集やISO/IEC認証により、顧客の信頼とコンプライアンスを確保する。
PUDUは、「PUDU D7」のような先進的なロボットをさらに開発することで、セミヒューマノイドおよびヒューマノイドロボットへの投資を継続するよう努めていきる。これらの技術を発展させることで、様々な業界で活躍する汎用性の高いロボットを生み出すことを目指しているという。
関連情報
https://www.pudurobotics.com/jp/
構成/清水眞希