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歯科医が嘆く「虫歯の原因=歯みがき不足」の誤解

2024.09.25

歯磨きよりも実は食生活の影響が大きい

むし歯の原因としては、歯磨きよりも食生活の方が影響が大きいことが知られています。むし歯菌が排泄物を出すにはむし歯菌が栄養分を摂取する必要があるのですが、最も栄養分となるのが砂糖(スクロース)です。その他の糖分も栄養素となり、果物に含まれる果糖(フルクトース)やご飯などの炭水化物に含まれるブドウ糖(グルコース)、穀物に含まれる麦芽糖(マルトース)までもなり得ます。

また、むし歯の穴(齲窩)からはビフィズス菌が高い割合で見つかっていますから、例え無糖だとしてもヨーグルトもむし歯を進行させる可能性があります。多くの食べる物にはこれらの糖質が含まれていますから、口に入れる物の殆どはむし歯の原因になると認識しておく方が懸命でしょう。

前述した様に、酸性の食べ物・飲み物もむし歯リスクを上げます。酸性度の高い食べ物ではレモンやオレンジの柑橘系などのフルーツはph3~4なので、最もむし歯リスクが高い食べ物です。また、意外かもしれませんがジャガイモやニンジン、キャベツなどの野菜もph4~6と比較的リスクは高くなります。他方、肉や魚はph5~6で、チーズはph6~7と、中性に近い食べ物なのでリスクは低くなります。

飲み物では最もむし歯リスクが高いのはコーラで、糖分も多くphも2.2と酸性が強い飲料水です。また栄養ドリンクやスポーツドリンクもむし歯リスクが高くph3~4ですから、「ファイトー一発!」と言っている場合ではないかもしれないですね。またお酒類もph3~4(5)の物が多いので、注意が必要です。赤ワインを口の中で転がしながら味わう人がいますが、むし歯対策の面からするとお口の中にある時間を短くするためにワインは「喉越し」で味わうようにしてください。

一方、お茶や牛乳、水はphが7付近で中性に近いので、むし歯においては安心して飲めるものです。特に、豆乳はph7~なのでむし歯にはなりにくい飲み物ですから「今夜はゆっくりと晩酌でも味わおうかな?」と考える時には、豆乳で晩酌することをご一考してください。こうやって見ていくと、仕事などで食べた後にすぐに歯磨きができない環境、加齢による唾液の減少、飲酒など、大人の方が虫歯になりやすい生活をしていることがわかります。

治療後の再発むし歯の本当の原因は?

治療後に数年してから、治療した詰め物の横あるいは下からむし歯が再発することは珍しくありません。そんな人は異口同音に「しっかり歯磨きをしていても、むし歯になってしまった!」と嘆きます。確かに自分では歯磨きをしっかりしていたつもりでも、やり方が自己流になってしまい、磨き残しが原因で同じところがむし歯なることはあるでしょう。

そもそも最初にむし歯になったのは磨き残しが原因の一つですから、治療後も歯磨きの方法が同じであれば、やはり磨き残しが出てむし歯になります。でも多くの患者さんは最初にむし歯になった時にその場所を磨き残さないようにやり方を工夫しますので、磨き残しでむし歯が再発することは多くはありません。

実は、むし歯の再発においては、歯磨きで対策できないことが殆どです。これまでの保険で銀歯を詰めて行う治療は、歯と銀歯の間の隙間を埋めるセメント(合着セメント)を使用していました。このセメントの特徴(欠点)の一つは時間と共に溶け出すことで、数年で銀歯と歯に隙間ができてしまいます。歯ブラシの毛先より隙間の方が狭く、毛先が隙間の奥に届かないので、隙間を歯ブラシで清掃することはできません。この隙間にむし歯菌が入り込み、むし歯の再発となります。つまり歯ブラシによるセルフ管理だけでは再発むし歯の対策はできないのです。

しかし近年は保険治療でも歯と同色のプラスティックのような樹脂素材治療が可能となり、歯にこれを装着する際に使用するセメントの特徴は詰め物(CAD/CAM冠)と歯を一体化させる(接着セメント)ことができることです。この材質により時間が経ってもセメントは溶け出さないので、隙間ができずにむし歯の再発の可能性は極めて低くなりました。しかし材質の強度が低いので、噛んでいるうちに詰め物が割れてしまう事も少なくありません。また歯ブラシにより表面が擦れてザラザラにより汚れが付きやすい環境になり、歯周病リスクが高くなる弱点もあります。

むし歯の再発防止のために接着セメントを使用する場合、噛んでも割れる心配がない強度で、表面の汚れのつきにくさが持続して歯周病対策になる材料はセラミックになります。ですから歯科医師のお勧めの材料はセラミック治療になるのですが、この治療は保険治療対象外となり自費診療ですから治療費がかかる側面があります。

しかし本音を言うと、再発むし歯を繰り返して歯を削り続けその度に治療費を払い、最終的に歯を失う原因を背負うことや、全身の健康に多くの悪影響を与える歯周病への予防効果を考えると、総合的には決してセラミックの治療費は高くないと考えています。「安物買いの・・」にならない様に、治療の際にはしっかりとご検討してください。

文/宮本日出
幸町歯科口腔外科医院(埼玉県志木市)院長。歯科医師。歯学博士。

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