カナダと聞くと、豊かな自然や文化的多様性が思い浮かぶ一方で、「物価が高い」という印象がある人も多いだろう。実際、日本で750円のビックマックセットはバンクーバーでは14.38カナダドル(約1510円)だし、ここ1年でバンクーバー市内のレストランでは10%以上も値上がりしたと報道されてもいる。カナダに限ったことではないが、コロナ後の欧米旅行の話となると、日本との物価の違いに驚かされることも多い。
しかし、そんなカナダ・バンクーバーでもリーズナブルで思いのほか楽しめる場所がある。
今回ご紹介するのは、バンクーバーの東に隣接する「バーナビー市」。バンクーバー中心部から電車で20~30分。この数年で大きく発展を遂げ、地元でも注目を集めているエリアだ。
遠くにノースショア山脈を望む雄大な風景は、まさにカナダらしい。この街で、無料あるいは格安で楽しめるスポットをいくつかピックアップしてみた。
バンクーバー旅行をお得に楽しみたい! と思ったときにぜひ参考にしてほしい。
物価の高いカナダで、お得な旅行はできるのか?
バンクーバーの「セントラルパーク」
ロンドンの「ハイドパーク」や「リージェンツパーク」、ニューヨークの「セントラルパーク」に代表されるように、欧米の大都市には美しく広大な公園がある。そしてバンクーバー近郊で「セントラルパーク」といえば、ここバーナビーにある。86ヘクタールもの広大な面積を誇る、美しき憩いの場だ。バンクーバーの中心地「グランビル駅」から電車で15分、「パターソン駅」から徒歩7分とアクセスもしやすい。
バンクーバー市街に隣接しながら、豊かな自然が広がる
公園内には散歩やジョギングに最適なトレイル、ピクニックを楽しめる芝生エリアが広がり、心ゆくまでリラックスできる。池にはカナダグース、木々や芝生には元気にかけまわるリスたち。愛らしい野生動物との出会いは癒し効果も抜群だ。
そして、このセントラルパークの隠れた魅力は、「ピッチアンドパット(Pitch and Putt)」と呼ばれる公園内のミニゴルフ場。1ホール100ヤード前後の小規模なゴルフ場だ。コース全体が美しく整備されていながら、18ホールでわずか14カナダドル(約1470円)とコストパフォーマンス抜群。日暮れ直前の時間帯や子ども・シニアならさらにお得で、10カナダドル(約1050円)前後でプレーできる。
ゴルフ初心者も気軽にトライ! 格安とは思えない美しいコースだ
服装も靴も自由、予約も不要と気軽さも大の魅力で、クラブのレンタル(1本190円程度)もあるので、旅行者でも気軽に楽しめる。ゴルフを「高級で敷居が高いスポーツ」と思っている人にこそぜひ体験してほしい、北米流のカジュアルなゴルフだ。
【参考】セントラルパーク(バーナビー市)公式サイト:https://www.burnaby.ca/explore-outdoors/parks/central-park
「バーナビービレッジミュージアム」
次にご紹介するのは「バーナビービレッジミュージアム」。1920年代のカナダ・ブリティッシュコロンビア州の小さな開拓村を再現した屋外型博物館で、ここは入場無料だ。
敷地内には当時の住宅や商店、鍛冶屋、教会などが再現されており、それらの建物内部も自由に見学できる。100年前の世界にタイムスリップしたかのような感覚を味わえるだろう。
店や映画館など、1920年代が再現された街並み
雑貨店の店内。置いてある道具や商品の一つひとつをつぶさに見るのも楽しい
すべての建物は細部まで再現されており眺めているだけで楽しいが、いちばんの見どころは当時の娯楽の象徴であるメリーゴーラウンドとジュークボックス。特に、C.W.パーカー社製の回転木馬は20世紀初頭の北米で大人気だった遊具の復元品で、歴史的価値も高い。1回2.65カナダドル(約280円)で実際に乗ることもできる。
延べ35000時間の作業により復元されたという。車いすの方も楽しめるようになっている
展示物の説明書きを読めばこの地の歴史も理解でき、知的好奇心も満たされる。カナダの歴史はアジア人との関わりも深い。歴史好き、うんちく好きな人にもおすすめだ。
季節によって開館日が異なるため、訪問前には公式サイトで開館日の確認を。
【参考】バーナビービレッジミュージアム公式サイト:https://www.burnabyvillagemuseum.ca/
カナダの国技・アイスホッケー観戦
そして、カナダといえばやはりアイスホッケー。バンクーバーのプロチーム「バンクーバー・カナックス」の試合は人気が高く、チケットもなかなかの高額だ。しかし、バーナビーなら無料で地元チームの熱い試合や練習を観戦できる機会が豊富にある。
例えば、バーナビーの「ビルコープランド・スポーツセンター」では、地元のアイスホッケーチームの試合や練習が頻繁に開催されており、入館料無料で迫力満点のプレーを間近で楽しめる。プロの試合ではないが、その技術力とスピード、迫力に目を奪われることに違いない。
アマチュアの試合でも日本で見慣れないスポーツの観戦はかなり楽しい
ちなみに夏期はこのアリーナから氷がなくなり、カナダのもう一つの国技である「ボックスラクロス」の会場として使用される。「カナダには国技が2つあって、夏の国技はラクロス」というのは、意外なカナダ・トリビアだ。
夏はラクロス、冬はホッケーと、カナダの2つの国技の会場となる室内アリーナ
冬季でアイスホッケーの試合や練習がない場合は、スケートリンクとして一般開放されている。シューズのレンタルもあるので、地元の人に混ざって楽しむのもいいだろう。スポーツがさかんな北米を体感できる。
【参考】ビルコープランド・スポーツセンター(バーナビー市)公式サイト:https://www.burnaby.ca/recreation-and-arts/recreation-facilities/bill-copeland-sports-centre
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カナダ旅行の最大のハードルは移動費用の高さだろう。日本からバンクーバーの飛行時間は9時間程度(往路)だが、渡航費用は高額になりがちだ。
しかし、2024年3月にZIPAIRがバンクーバー便を就航させたことでバンクーバー便は片道4万円台からと、非常にリーズナブルな価格設定で利用可能となった。。
便利で快適な都市と、絵画のような美しい自然が隣接するのが、カナダの特徴であり魅力だ。繁華街の中心地を少し離れることで、その「カナダらしさ」を無料や格安で満喫できる。
ゴルフや自然体験など日本では高額になりがちなレジャーこそ、カナダで安価に楽しめばお得感は大きい。「暮らすような旅」でより深くカナダの魅力を体感すれば、満足できる旅プランとなるだろう。
次のバンクーバー旅行では、ぜひバーナビーにも足を延ばしてみてはどうだろうか。きっと心身ともにリフレッシュするひとときが過ごせるはずだ。
※料金等は2024年9月筆者調べ
文・写真/佐知ゆりこ
小中学生の留学(マレーシア・カナダ)、海外情報、女性の生き方などについて各種メディアに執筆。情報発信プラットフォーム「note」では「Yuriko|バイリンガル海外子育て6年目」として教育移住のコツや海外びっくりネタ、英語の最新スラング解説などを発信し好評を博している。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員