ホンダの大型ミニバンとしてデビューしたのが1994年。当時、ホンダはミニバン系のシャーシを持っていなかったので「アコード」のシャーシを利用したミニバンを造りあげた。それのクルマは、それまでのミニバンとは異なり、乗用セダンと同じサスペンションを流用し、スライドドアでなく、前ヒンジのリアドアを採用。全高も1.6m前後と低いスタイリングのミニバンだった。
この普通のミニバンと違うコンセプトが、ホンダファンにウケて、大ヒットモデルとなった。全高は低めだが、床も低めの広い室内空間と、セダン並みの走りの良さで「オデッセイ」は人気を得てきた。最新モデルは6代目にあたるモデルとして2023年にデビュー。今回、内外装の手直しを受け、久々にミニバンニューモデルとして登場した。
走りの質を重視しながら、居住性を確保
新型「オデッセイ」は、フロントグリルの開口部を大きく、ホンダマークも大型化した。グレードは「e:HEV アブソルート」(車両本体価格480万400円税込)、「e:HEV アブソルート EX(500万600円)「e:HEVアブソルート EXブラックエディション(516万4500円)の3グレード。パワーユニットは直列4気筒、2.0ℓガソリン+モーターの組み合わせ。エンジンは145PS、174Nm、モーターは184PS、315Nmで、電気式無段変速機を経て、前輪を駆動する。
試乗したのはベースモデルの「アブソルート」。車両本体価格は500万600円だが、メーカーオプションの11.4インチコネクトナビ、ディーラーオプションのETC車載器、フロアカーペットマット、ドライブレコーダーを装着しており、総額550万9900円のモデルだ。3、4代目の全高1550mmに抑えた車高の低い走りのミニバンは、5代目ですっかり性格を変え、走りの質を重視しながら、全高を1.6m以上にし、居住性を確保した。
6代目もキープコンセプトで、全高は1695mmまで高くした。その効果は大きく、室内はフロント、セカンド、サードシートともにヘッドスペースも十分。2.9mのロングホイールベースと低床設計で、ベンチタイプ、3人掛けのサードシートでも大人3人掛けが可能だ。
セカンドシートはセパレートのキャプテンシート。それぞれ内側の肘かけは固定式で、折り畳みのテーブルを内蔵したしっかりとしたつくり。セパレートシートはレバー操作で前後と左右に動かすことができる。それぞれを外側にセットすれば、左右の乗員の距離もとれるし、中央部からのサードシートへのウォークスルーも可能だ。スライドドアからのセカンドシートやサードシートへの移動のときに気付いたのは、フロアカーペットの質感。足を置くと沈みこむ質感は、高級カーペットを敷いた乗用車のようだった。
例えば、ロールスロイスのように。座り心地もサードシートでもクッションは厚く、レッグスペースも足を組めるほど。この広さで、セカンドシートも足元の余裕は十分に確保されていた。セカンドシートは背もたれの上半分が前後にリクライニングするので、オットマンと合わせリラックスモードで、寛ぐこともできた。天井の高い高級ミニバンも良いが、適度な広さで、ホールドのよいシートでの走りも寛げる。
2.0ℓ+モーターでの走りだが、スタートはノーマルモードで。シフトはプッシュ式で、P/R/N/Dを操作する。ドライブモードは「ECO」「SPORT」とノーマルモードで、これは運転席右下のスイッチを押す。スタートからの動きは2.0ℓミニバンの中では速い。0→100km/hを7秒台で走り切る。エンジンとモーターのつながりも音や振動もなくスムーズ。中間加速はSモードを選択すれば、ワインディングでも楽しめる。
パドルシフトは、マニュアルモード切り替え用ではなく、エンジンブレーキと回生からの減速をコントロールするモード切り替え用。左パドルを手前に引けば3段階で減速レベルを大きくでき、右パドルで小さくできる。高速走行ではその効果を体感できる。